偶然の音楽 の商品レビュー
人生に行き詰まるとアメリカ人はとりあえず車を走らせるものらしい。 主人公が目的もなく車を走らせ続ける所がいかにもアメリカ的だと思った。 日本人は部屋に引きこもるか、車を駆っても島国だからすぐ崖にぶちあたって昼ドラ展開もしくは演歌になる。 車というのは要するに動くひきこもり空間なん...
人生に行き詰まるとアメリカ人はとりあえず車を走らせるものらしい。 主人公が目的もなく車を走らせ続ける所がいかにもアメリカ的だと思った。 日本人は部屋に引きこもるか、車を駆っても島国だからすぐ崖にぶちあたって昼ドラ展開もしくは演歌になる。 車というのは要するに動くひきこもり空間なんだなと。アメリカ人は引きこもるにしてもエネルギッシュで大仰だなぁと。 相方のポーカー師ポッツィがとても魅力的。 ジャック・ポットという名前と小柄な体躯、跳ねるように生き生きとした肉体のリズム、それらからトランプに描かれた道化師のような印象の男だと思った。 主人公ナッシュを人生の賭けに誘う為に現れた道化師、それがポッツィのこの物語において与えられた役割だと思う。 感想を一言で言うなら男性版「テルマ&ルイーズ」という感じ。 最後にはポッツィと主人公ナッシュ二人ともにとても憐憫の情を覚える。 この小説のラストはぼかされていて、ナッシュとポッツィともに結局の所どうなったのかの判断は読者にゆだねられている。 私はなんとなくポッツィは生きていると思う。
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こうなって欲しくない、という展開になる 不条理 金持ち二人組が、途中から姿を一切見せなくなるのが奇妙 それも、二人の模型を焼き払ってから こわいこわいこわい それでも確実に追い詰めて、追い詰めつくす 人間への不信感をこんなにもリアリティ溢れる描写で描けるものなんだなあ、 誰かと感...
こうなって欲しくない、という展開になる 不条理 金持ち二人組が、途中から姿を一切見せなくなるのが奇妙 それも、二人の模型を焼き払ってから こわいこわいこわい それでも確実に追い詰めて、追い詰めつくす 人間への不信感をこんなにもリアリティ溢れる描写で描けるものなんだなあ、 誰かと感想を共有したくなるような、そんな話 さすが、巨匠+巨匠
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いつもオースター的空気をまとうオースターの作品ですが、この話はなんだかやるせないというか、ちょっと主人公の行動が意味が分からなかったり、あと、終わりがすごい唐突。
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内容(「BOOK」データベースより) 妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、“十三ヵ月目に入って三日目”に謎の若者ポッツィと出会った。“望みのないものにしか興味の持てない”ナ...
内容(「BOOK」データベースより) 妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、“十三ヵ月目に入って三日目”に謎の若者ポッツィと出会った。“望みのないものにしか興味の持てない”ナッシュと、博打の天才の若者が辿る数奇な運命。現代アメリカ文学の旗手が送る、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。
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いつものかんじかなと思って読み進めていくと、突然投げ出されたラストにしばらく「えー?!」としか言えなくなった。大好き。
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妻に去られ、遺産を手にした男。彼は、すべてを捨てて当てもない放浪の生活を始める。ようやく資金も尽き果て八方塞になった時、賭博師の若者に出会う。男は賭博師の若者に導かれるようにある計画を試みる・・・ 結末に希望はないかもしれないし、多くの謎を隠したまま、希望の片鱗を時折かいま見せ、...
妻に去られ、遺産を手にした男。彼は、すべてを捨てて当てもない放浪の生活を始める。ようやく資金も尽き果て八方塞になった時、賭博師の若者に出会う。男は賭博師の若者に導かれるようにある計画を試みる・・・ 結末に希望はないかもしれないし、多くの謎を隠したまま、希望の片鱗を時折かいま見せ、孤独と絶望を覆すかと思うと一息にかたをつけてしまった。救いはないのかもしれないが、きっと過程においていくつもの光を得ていたのだろうと思いたい。 一つの転落の物語といえるが、その転落の最中における他者との関係を掘り下げた、全作品中最もリアルなテーマを扱っている。 アンチアメリカンドリーム。マイナスからのスタート。俺をコレでもかと打ちのめしてくれ。
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物語が思わぬ方向へとねじれていく居心地の悪さと虚脱感。奪われていく実感。徒労。挫折ではなく諦め。僅かな予感があって、圧倒的な瞬間があって、虚しくなっていく。寒気がする。 人生に余裕のある時に読む方がいい。重たい時に読むとこれはもう途轍もなく重たくのしかかってくる。やれやれ、別のタ...
物語が思わぬ方向へとねじれていく居心地の悪さと虚脱感。奪われていく実感。徒労。挫折ではなく諦め。僅かな予感があって、圧倒的な瞬間があって、虚しくなっていく。寒気がする。 人生に余裕のある時に読む方がいい。重たい時に読むとこれはもう途轍もなく重たくのしかかってくる。やれやれ、別のタイミングで読むべきだった。 それにしてもよくもまあこんな不思議な物語をオースターは紡ぎ出すものだ。
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後半、ちょっと怖い・・・かな。 同じオースターの「ムーンパレス」とは、話は逆に向かってる・・・かな?
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途中に出てくる「本来の居場所から引きずりだされてなんの理由もなく存在し続けることを強いられている。既に生を終え目的もなくなったまま、時の終わりが来るまでひとりぽつんと存在させられている。和らげようのない、何ものからも切り離されているという感触。(途中若干省略)」これが印象的。城で...
途中に出てくる「本来の居場所から引きずりだされてなんの理由もなく存在し続けることを強いられている。既に生を終え目的もなくなったまま、時の終わりが来るまでひとりぽつんと存在させられている。和らげようのない、何ものからも切り離されているという感触。(途中若干省略)」これが印象的。城であった石が壁になる。独りになって混沌とする。最後に衝撃はなかったが、虚脱感はあった。でも開放感を伴っていたのは読み方を間違ったか。
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何かを為そう。そうすると躓く。すべてが未完成で、すべての期待を裏切られる。本当の物語は、動くのをやめたところからはじまる。そして、彼は動くのをやめなかった。止まる時間はなかったのだ。
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