殉教カテリナ車輪 の商品レビュー
図像学ミステリという新たな可能性を示したデビュー作。図像学という聞きなれない言葉に躊躇するかもしれないが、小説内できちんと解説してくれるので何の問題もない。なかなか面白かったので他作品も読みたい。
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表紙をめくったところにあるカラー絵に目が釘づけになり、いろいろなことを隅々まで見ながら想像しました。文字を一文字も読まないうちに取り込まれてまった感じです。「黒と愛」「堕天使拷問刑」を読んできたので一筋縄ではいかないストーリーだろうとは想像していましたが、図像解釈学とは!とはいえ...
表紙をめくったところにあるカラー絵に目が釘づけになり、いろいろなことを隅々まで見ながら想像しました。文字を一文字も読まないうちに取り込まれてまった感じです。「黒と愛」「堕天使拷問刑」を読んできたので一筋縄ではいかないストーリーだろうとは想像していましたが、図像解釈学とは!とはいえ説明がとても分かりやすく絵の解釈の過程はとても面白かったです。絵画の世界にどっぷり浸かっていたら後半はガッツリ本格ミステリ。この融合もとても好きでした。鮮やかに過去の二重密室殺人を解いた後、切ない余韻まで十分堪能しました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
評価が高いのですよね。 そう。とってもしーなの周りの評価が高くてずっと読んでみたかった本の一冊だったのです そして今ではもう本屋さんで売っていない。 ネットで調べてみると、7000円とか付いてたりするのですよねヒエエ ダメ元でブクオフを回っても見つかる分けもなく もしかしたら……と、図書館を調べてみると閉架図書扱い。ですが貸し出しはしてる感じ……!!1 と言う事で図書館で借りれたのですよ!やったああああ!!1 2日で読んでしまったのですけど これは、この評価はネタバレせずにはいられない評価なのです。 20年前の鮎川哲也賞なのですよね それはとっても分かるのです 20年前のミステリだと思って読めば、とっても斬新!!1ってなるのですよね 最近多く感じる多重推理を読んでいると この『殉教カテリナ車輪』はかなり消化不良に感じるのです まず読み始めて、かなり読みやすい文章で 蘊蓄や説明に関しても、特に苦は感じないまま読み進めることが出来たのです が。 手記なのですよ 手記に入ってからがモニョる。 何と言うか、生理的な物もあるのでしょうけど どうして手記なのに会話的なの?とモロに感じてしまったのです それまでの一人視点はとてもスムーズだったのに 手記になった途端、手記なのに、まるで実録的な書き方になってしまっているのです セリフが入ったり、会話になっていたり。普通にそう言う手記はこれまであったのですけど どうしても不自然でむむむm……と思ってしまったのですよ 手記をモニョりながら読み進めていくと、事件が起きて、推理が始まる。 この手記のトリックはとても面白かったのです 恐らく読んでる人たちは、この3章で色々な事を疑問に思ったはず しーなもあれこれ推理したのですよ カセットテープも、お風呂の換気口も、スポイトも、居ない人説も。 居ない人説に関しては、奥さんもだし、桂の子供まで怪しんだのです そして、手記が終わってからの解決編。 ミスリードの伏線が、すべてほったらかし!!1 こんなんありなのですか!? 例えば。 例えば、スポイトは一つしかあの日持って来ていないことが判明してて、 血液の反応は無かった。とか カセットテープは、誰かが当日用意したものだから、細工は無理だった。とか。 一つ一つ、そうやってばら撒いたミスリードをハズレ籤だとちゃんと回収せずそのまま放置。 20年前はありかもしれなかったのですけど 昨今の多重推理物を考えると、ミスリードの為の撒餌はちゃんと回収して欲しいのですよ そして事実はただの事故だった。とか。 これは評価できないのです あんな恥ずかしい思いして、この本をカウンターに持って来てもらって借りたのに……!11 ありなのですか!これって!!1 もう一冊借りてきたのですけど、ちょっと読むのを躊躇ってしまうのですね…… けど、返却期限前に読まないと……!!1
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自殺した画家、東条寺桂が残した2枚の絵の主題とは? 図像学を用いたミステリ。なるほど。本格ミステリと相性抜群。 正直、絵画に興味がなく知識不足なので、解釈を全て理解できた訳ではないのだが、『殉教』『車輪』に込められた意味に辿り着くまでの謎解きには、今迄にない興奮があった。 二重密...
自殺した画家、東条寺桂が残した2枚の絵の主題とは? 図像学を用いたミステリ。なるほど。本格ミステリと相性抜群。 正直、絵画に興味がなく知識不足なので、解釈を全て理解できた訳ではないのだが、『殉教』『車輪』に込められた意味に辿り着くまでの謎解きには、今迄にない興奮があった。 二重密室トリック…バカミス!!真実もさることながら、とある推理のおバカっぷりにも感激してしまった。○○機大活躍じゃないか。 ある種の大掛かりなトリック。わたしはこういうのに弱い。よく騙される。気持ちよく作者の思惑にに乗ってしまっていた。 東条寺桂が絵に振り回されたように、我々も彼の人生に振りまわされるだろう。 窓辺さんよりお借りしました。感謝。
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よくある「偶然の流れ」で 今頃ではあるが古書店から購入し、著者のデビュー作を読了。 飛鳥部氏については例の「事件」に関して様々な意見があるようだが、 それはひとまず脇に置いて――。 美術館事務員・井村は、 気難しそうだと思っていた学芸員・矢部と、 ふとしたことから気安く言葉を交...
よくある「偶然の流れ」で 今頃ではあるが古書店から購入し、著者のデビュー作を読了。 飛鳥部氏については例の「事件」に関して様々な意見があるようだが、 それはひとまず脇に置いて――。 美術館事務員・井村は、 気難しそうだと思っていた学芸員・矢部と、 ふとしたことから気安く言葉を交わすようになり、 無名のまま早逝した画家・東条寺桂を知る。 矢部は二年前に企画展の準備をしていて目に留まった作品の 制作者・東条寺が気にかかって購入者たちを訪ね、 一枚の絵に隠蔽された手記を読み、 二十年前の連続密室殺人事件の謎に触れたという……。 単純に面白かった。 無骨で自己表現の下手だった男が、 偶然出会ったミューズを渇仰し、 絵画制作に没頭するようになったが、 年少の師であり巫女のようでもある乙女は 暗い影に包まれていた――といったところ。 不器用な絵描きたちの魂の交流を 美しいと思うか「気持ち悪い」と感じるか……が、 本作の評価を分ける一つの基準になるかもしれない、 そんな気がする。 私は美香ちゃんを、 いじらしくて可哀想な女の子だと受け取ったので、★4つ。 ところで、 密室トリック推理合戦にて、洗濯機の話が出てくるところで、 中井英夫の「聖父子」(@『幻想博物館』)かっ! とツッコミを入れたのは私だけではないと思うが(笑)。
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私は殉教カテリナ車輪を気に入った。理由はない。 表紙をめくると、著者自ら描いたという4枚の人物画が嫌でも目を引くでしょう。この中でも「殉教」「車輪」という絵画は、後々事件の真相を解く鍵になってきます。 本格ミステリでありながら、むしろ男女の悲劇を描いた恋愛小説として強く心を...
私は殉教カテリナ車輪を気に入った。理由はない。 表紙をめくると、著者自ら描いたという4枚の人物画が嫌でも目を引くでしょう。この中でも「殉教」「車輪」という絵画は、後々事件の真相を解く鍵になってきます。 本格ミステリでありながら、むしろ男女の悲劇を描いた恋愛小説として強く心を打たれました。作中作、絵中絵といった手法を用いることで、読者を迷宮の奥深くへ連れていってしまう魔力を秘めています。 そんなバカなと唖然としてしまう仕掛けもありつつ、用意周到に伏線を張って真っ向勝負を挑んでくる、憎たらしい程よく出来た作品です。
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本格ミステリのガジェットを多数盛り込み、綺麗に纏まっている印象。 二つの部屋で同時に、同じ凶器で、しかも同じ犯人によって密室で殺されるという魅力的すぎる謎の吸引力は抜群で、文章も読みやすいので一気に読めました。 図像学の解説もわかりやすく、それを用いて絵画の構図を解いていく過...
本格ミステリのガジェットを多数盛り込み、綺麗に纏まっている印象。 二つの部屋で同時に、同じ凶器で、しかも同じ犯人によって密室で殺されるという魅力的すぎる謎の吸引力は抜群で、文章も読みやすいので一気に読めました。 図像学の解説もわかりやすく、それを用いて絵画の構図を解いていく過程はミステリの謎解きのようなわくわく感を与えてくれます。 核となる事件の答えは十分納得のいくもので、そこにサプライズまで仕込んであるのは嬉しい限り。 ただ、そのサプライズの部分の伏線は若干親切すぎる部分もあり、ミステリを読み慣れた読者なら違和感を感じ、気づいてしまうかもしれません…
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※このレビューにはネタバレを含みます
人から借りて。なかなか自分では発見できない本だと思う。 美術館で働く主人公は、なかなか心を開けないが、ある日職場の矢部から、ある画家の手記を渡される。それは殺人告白だったー。 著者自身が絵を書くそうで、鍵となる文中の絵画も自分で書き、説明するという珍しいスタイル。
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自殺した無名作家が残した「殉教」と「車輪」という題名の奇妙な絵。これらは何故描かれたのか、何を意味しているのか、そして、どのような画家の想いがそれぞれにはめ込まれているのか。これらに魅力を感じ、最後まで一気読みでした。 密室トリックについては意見が分かれるかもしれませんが、作者の...
自殺した無名作家が残した「殉教」と「車輪」という題名の奇妙な絵。これらは何故描かれたのか、何を意味しているのか、そして、どのような画家の想いがそれぞれにはめ込まれているのか。これらに魅力を感じ、最後まで一気読みでした。 密室トリックについては意見が分かれるかもしれませんが、作者の本格ミステリへのこだわりが窺えますし、絵の謎と綺麗に結びついていたので、私は好感が持てました。全体的に目配りの利いた作品だと思います。
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暗く物悲しい雰囲気が支配する本格ミステリ。 犯人云々よりも手記に関係する二人の職員に関心がいった。 伏線が見事にはってあるが、その叙述トリックもお見事。 最後のセリフも感慨深い・・・・・。
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