数奇にして模型 の商品レビュー
「正常」と「異常」の違いは何か? 例としてリンゴの皮むきが挙げられていたけど、なるほど、確かに視点を変えるだけで、それは奇妙なほど「異常」だし、それは甚だ「正常」だ。 この作品は「正常」というバイアスを取っ払って考えないと、最後までもやもやするなと思う。だからこそ、ページを割いて...
「正常」と「異常」の違いは何か? 例としてリンゴの皮むきが挙げられていたけど、なるほど、確かに視点を変えるだけで、それは奇妙なほど「異常」だし、それは甚だ「正常」だ。 この作品は「正常」というバイアスを取っ払って考えないと、最後までもやもやするなと思う。だからこそ、ページを割いてまで「異常」とは何かについて語られている。私はそれでも、最後までその靄を払拭できなかったけど。。。
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今回も最後まで犯人が分からず…。 このシリーズはいつも哲学的というか、それまで見ていた世界を新しい視点で眺めることを教えてくれる。 普通ってなんだろう、とか、自分にはない趣味や価値観を持っている人がどんなことを考えているんだろう、という一端を垣間見させてくれた作品。 今までのキ...
今回も最後まで犯人が分からず…。 このシリーズはいつも哲学的というか、それまで見ていた世界を新しい視点で眺めることを教えてくれる。 普通ってなんだろう、とか、自分にはない趣味や価値観を持っている人がどんなことを考えているんだろう、という一端を垣間見させてくれた作品。 今までのキャラクター総出演や意外な繋がりも楽しかったし、大御坊さんみたいな性に関する自分と違ったパーソナリティやオタクと言われる(コスプレや模型への偏愛)人たちもたくさん出てきて、改めて「自分と似ているけど違うところのある人」に大して、思い込みでラベルを貼ってはいけないなと。 当時の時代背景などは詳しく調べていないので分かりませんが、今では当たり前になってきている「多様性への理解」みたいな価値観はまだまだの時代に書かれた小説だと思います。今読めばそれなりに受け入れられている他者との違いだって、当時はもっと隔たりのあったものかもしれない。 あとは、普段は安楽椅子探偵的なポジションの犀川が、こんなに活動的なのはシリーズ初めてでは?と感じた。萌絵の影響は多分に受けていると思うし、萌絵への気持ちが大きくなっていることの表れなのかも。 なんだかシリーズが終わってしまうことが悲しいけれど、真賀田四季も絡んでくるとのこと、最後の1冊を楽しみにしたいと思います。
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大好きなS&Mシリーズ。 一作ずつ大切に読んできたが、あと一作で終わってしまうのが今からとても寂しい。 今までのシリーズの中で、一番登場人物それぞれの個性が出ていた気がする。 個人的に大御坊さんが好きなので登場が多く嬉しかった。笑 こんなに犀川先生が体を張ったことあった...
大好きなS&Mシリーズ。 一作ずつ大切に読んできたが、あと一作で終わってしまうのが今からとても寂しい。 今までのシリーズの中で、一番登場人物それぞれの個性が出ていた気がする。 個人的に大御坊さんが好きなので登場が多く嬉しかった。笑 こんなに犀川先生が体を張ったことあったっけ? そういう意味でもとても新鮮な作品だった。 最初から森先生の誘導に引っかかりつづけたまま読み進めていた私は、第6章から、そう来たか〜!とワクワクが止まらなくなった。 読了して本を閉じた後も、最後の1ページに書かれていた内容をしばらく考えてしまう。 私には謎は解けないけど、読み終わってもなお楽しい、素敵な作品だ。
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とても面白かった。 シリーズの基本フォーマットに戻った感じ。犯人もわからなかった。 でもこれ、結果的に萌絵ちゃん殺人手伝ってるよなぁ。死体遺棄か、、、。
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2023 読書メモ ▼冒頭からネタバレ。 夏のレプリカ、今はもうない、の前2作同様に、最初に犯人っぽい対象が明確に提示される。 で、その認識をどう覆すのか?それともやっぱりそうなのか?を悩みながら読み進めていくことになる。 『次おれグー出すからな!』というジャンケンのアレである。 あまりSMの会話劇が多くはない回。しかし他の登場人物の魅力がでてくる。 ▼物語の大筋 一晩に別々の場所で起きた密室殺人事件。そして圧倒的な容疑者が1人。条件的にはそいつしかいないが、明らかな犯行に及ぶか?というバイアスがかかる。 物事を説明するための理屈は、結論ありきで作られる。というあまりビジネス的には大きな声で言えないが、みんな理解しているこの世の摂理みたいなことを改めて考える内容。 仮説思考、と、結論ありきの議論。の違いは、再検討が行われるかどうか。 確証バイアスのかかりまくった仮説思考は、結局結論ありきの会議と一緒になってしまうよね、というのがこの本での感想。 一番単純と思われがちな子ども、幼い時代こそもっとも複雑で、教育や成長によって型にハマり、単純化されてしまう、シンプルになる。 だからラベル貼りすぎるのよくないな、と思った。 ▼以下メモ 理解できないということは、なぜそのままにできないのか。不安だから。せめて身近なことくらいは理解したい。というMの表現。 →これこそわかったつもりの人々に認識してほしい。 コテンラジオで沢山でてくる無知の知の必要な要素。 わかった。知っている。自分が正しい。そう直結してしまうのは、自身が不安定だからに他ならない。わからないことをわからないまま放置できない、なぜ?プライド? 分類して、記号化、単純化することも同じ。思考するに楽な方に変換して、理解したつもりになって安定をもとめている。 国枝先生の、感情も思考も分類されて平均的なイメージに名称がつけられる。というやつ。 大多数の分類に漏れたものに例外、としてレッテルを貼ることでしかコントロールした気になれない。 笑う泣く怒るというパターンは、成長する過程で教え込まれる。本来の感情の複雑さは、成長過程でコントロールされて単純化される。 道徳が単純化の最たるものだ、知識のない子供や頭の悪い大人にルールを教えるための記号。まるばつ付けといたほうがバカでも教育者になれる。という国枝先生。 →ここまで沢山セリフがあった回があるだろうか笑 女の子の遊びそのものが、社会から与えられたもので、限られた狭い将来像を見せる模型。おままごとも、人形遊びも。 単純化されて、統一された思考に身を任せたい。 →まさにこの通りである。 自由な不自由というか、選ぶ余地がないほうが楽。ナッジもそんな感じ。 Sの理屈の機能は2つ。行為自体が選択や決断をする上で正当化するため。先に決定があり、後から理屈が構築されるもの。ふたつ目は他の理屈を撃退する機能。 ひとまとめに単純化された概念だけが、それを異常と呼ぶ。複雑さへの尻込み。、根拠のない幻覚。 世の中にコモンセンスと呼ばれる幻覚はどれだけあるのだろう。
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突如現れたラヴちゃんとは誰なのか。 西之園萌絵はなぜこれほど毎回危機に瀕して生き残っているのか。 今回は、お嬢さんの思考が冗長だった気がするね
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犯人を見つける物語ではないんだよね ミステリィの形をとっているから 犯人はいるし その犯人を明確にするために文章は綴られていくし 犯人を明確にすることが本筋なんだけど そこに描かれている 考え方 思い 思考 今生まれているように感じるものの一端を 感じられる文章を読みたいから 犯人を知りたいだけなら 何度も読まない 誰だったってことは忘れないからね しかしながら、作者が描くキャラクタの考え方に触れたいから 何度かそうやって思い出すように読んでしまいます。 また読みたくなります。
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動機に納得感がないのは特に気にならなかった。すべてがFになる の時の方が「こんなのありー?」と思った。 すべてがFになるを読んだ当時より、今の方が異常や正常、常識にとらわれてない自分に気がついた感じもする 犯人については最初から予想がついたのは、私が単純だから。今回はそんなお話だった。 ただ、首を切った理由はわからなかった。聞けばなるほどなと納得。
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第9弾 大長編で、事件は複雑。同日の、そんなに離れていない時間に起こった殺人。モデルと学生、女性がひとりずつ殺される。容疑者も殴られ、密室で倒れている。関係者の範囲が狭いので、犯人の見当がすぐにつく。 でも、異常者が多くて、迷う。 喜多先生が出てくると嬉しい。 ただ、被害者が兄妹っていうのが、親からしたらやるせなかったし、Mや金子くんの家族の話も切ない。 やっぱり嫌悪感がすごい。事件のおかげで薄れているけど、敬意とか感じられないし、自分本位過ぎて苛々する。 作品が面白いから助かっている。
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結末を知ってしまえば、うーんとあまり納得のいかないものだったが、普通と異常の違いを上手く認識できていなかったため、真相に途中で気づくことができなかったと思う。
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