遠い山なみの光 の商品レビュー
(「BOOK」データベースより) 故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷...
(「BOOK」データベースより) 故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を端正に描くデビュー作。王立文学協会賞受賞作。
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(⌐■-■)とにかく佐知子がムカツク話 ⊂|⊃ [ಠ_ಠ]オチもねえけど大丈夫、、、
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とにかく会話内容のズレに?の違和感が続く。それがなぜかは、稲佐山登山の描写で読み手として受ける感情でよくわかる、ほんとうに。 価値転換機の身の処し方、フェミニズムの投影がされていると解説。なるほどと思う。 当たり前だが、よく読む小説の中の会話が、いかに整理されているものかを痛感、...
とにかく会話内容のズレに?の違和感が続く。それがなぜかは、稲佐山登山の描写で読み手として受ける感情でよくわかる、ほんとうに。 価値転換機の身の処し方、フェミニズムの投影がされていると解説。なるほどと思う。 当たり前だが、よく読む小説の中の会話が、いかに整理されているものかを痛感、しかも翻訳してこの機微が表現されていることに驚く。
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この人とは価値観が違うと思っていたのに、気づけば自分も同じ生活となっている。自分で思っているより人は変わり続いている。
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ノーベル賞作家カズオ・イシグロの長編デビュー作。 封建的社会や戦争の理不尽さや不幸に翻弄されながらも歩んできた自身の来し方を主人公は想う。終戦前後の価値観の劇的な転換の中、主人公の新しい時代の生き方はフェミニズムでもあり、自由奔放な末娘もそんな母の生き方を誇らしく思っている。子供...
ノーベル賞作家カズオ・イシグロの長編デビュー作。 封建的社会や戦争の理不尽さや不幸に翻弄されながらも歩んできた自身の来し方を主人公は想う。終戦前後の価値観の劇的な転換の中、主人公の新しい時代の生き方はフェミニズムでもあり、自由奔放な末娘もそんな母の生き方を誇らしく思っている。子供は決して親の思う通りにはならないが、新しい価値観や考えを尊重する寛容さを持ちたいと思う。 日本にルーツを持つイシグロの長崎が舞台の英語小説を日本語訳で読む。何ともややこしい。終戦直後の地方都市らしからぬ言動や心情に若干の違和感を覚えるが、解説にもある通りこの小説は万国普遍の心性として描かれているのである。
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長崎に旅行に行く前の下調べとして読む。 面白くていっき読み。しかし結局一番知りたいところは最後まで明かされないというのがカズオの手法なのだろうか(二郎とどうして別れるに至ったのか、佐知子たちは本当に神戸やアメリカに行ったのか、一番保守的で何も考えていないように思える悦子がなぜ日本...
長崎に旅行に行く前の下調べとして読む。 面白くていっき読み。しかし結局一番知りたいところは最後まで明かされないというのがカズオの手法なのだろうか(二郎とどうして別れるに至ったのか、佐知子たちは本当に神戸やアメリカに行ったのか、一番保守的で何も考えていないように思える悦子がなぜ日本からイギリスへ行くことになったのか、などなど。あと景子の人柄についてもう少し知りたかった)。
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怖かった。。特にラスト。 全体的に描写が負のエネルギーに満ちてるものの、決してそれには触れない、しんどいとか辛いとか感情を一切吐露しない感じがイシグロ作品らしかった。
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長編デビュー作ながら、イシグロ作品を読むのは、これが五作目。 事件らしい事件は起こってないようで実は色々起きている。景子の自殺、悦子の再婚と渡英、万里子が見た(見知らぬ)母による嬰児殺し、万里子の母による子猫殺し。勿論、原爆とその後遺症による大量死も。 佐知子が夢見た海外渡航...
長編デビュー作ながら、イシグロ作品を読むのは、これが五作目。 事件らしい事件は起こってないようで実は色々起きている。景子の自殺、悦子の再婚と渡英、万里子が見た(見知らぬ)母による嬰児殺し、万里子の母による子猫殺し。勿論、原爆とその後遺症による大量死も。 佐知子が夢見た海外渡航を悦子が果たすも、景子の自殺という代償を払うこととなりながら、「女性の自立」が、徐々に進んで、娘のニキに至っては、結婚制度の意義に全く賛同出来ない現代的女性となっている。(発表は1984年)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
カズオイシグロの本、一度も読んだことがないなと思って手に取ってみた。語り手である主人公の娘が自殺していて、その娘を妊娠中だった戦後長崎での思い出を振り返るという内容。登場人物の仲というか相性も皆良くなく、終始不穏な空気で、大体のことは遠回しに暗示されるか、最後までよくわからない。舞台である湿地の団地のむしむしした息苦しさが不安感を増幅している。繰り返しの多い、かみ合わない不毛な会話が続くけれど、つくりものでない生っぽい会話でもあってなんだか魅力がある。読んでいて楽しくはないのだが、面白い。 物語の構造として妊娠中に付き合いのあった佐知子・万里子親子が後の主人公と娘に重なっているのは分かるのだが、徐々に主人公の思い出語りにほころびが生じ、どこまでが本当の思い出なのか、娘と万里子を重ねた空想なのかよく分からなくなる。この宙ぶらりん感と、ずっしりした読後感が同居している不思議さ。これがノーベル賞作家のすごさなんだろうか。もうちょっといろいろ読んでみたいと思う。
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読んでる間、常に付きまとう不気味さと違和感。 これは単にカズオの書き方の特徴なんかなと思ってたら。 それが終盤、決定的な不整合で一気にその背景がわかる。 えええええええええええ! カズオの表現とかクセの問題じゃなかった。 こんな仕掛けの小説は初めて。 ふだん小説をさもよく読ん...
読んでる間、常に付きまとう不気味さと違和感。 これは単にカズオの書き方の特徴なんかなと思ってたら。 それが終盤、決定的な不整合で一気にその背景がわかる。 えええええええええええ! カズオの表現とかクセの問題じゃなかった。 こんな仕掛けの小説は初めて。 ふだん小説をさもよく読んでる風に言ったけども。 面白すぎる。 これ映画にしませんか?? でも怖い。 カズオイシグロはまる〜〜〜! 太宰治が好きな人はヒットするんじゃないか? 人間失格みたいな薄暗い暗澹たる空気感が好きな人には。 なんかタイトルが退屈そうだ思ったけど、全然そんなことはなかった。
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