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遠い山なみの光 の商品レビュー

3.5

167件のお客様レビュー

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2009/10/04

カズオ・イシグロという作家は長崎出身の作家です。 長崎出身の作家が英語で書いた日本の物語を日本語に翻訳して読むという行為は不思議なことのように感じます。 イギリスの日本人作家のお言葉 ▲緒方さんは笑って首をかしげた。「どこかよそへ行ってそれなりの仕事をしたとしても、けっきょく」...

カズオ・イシグロという作家は長崎出身の作家です。 長崎出身の作家が英語で書いた日本の物語を日本語に翻訳して読むという行為は不思議なことのように感じます。 イギリスの日本人作家のお言葉 ▲緒方さんは笑って首をかしげた。「どこかよそへ行ってそれなりの仕事をしたとしても、けっきょく」と言いさして彼は肩をすくめると、淋しげに微笑した。「けっきょく、自分の育った土地へ帰りたくなるものなんですな」▲ そして、解説で池澤夏樹はこう述べます。 ▲人間は互いに了解可能だという前提から出発するのが哲学であり、人間はやはりわかりあえないという結論に向かうのが文学である▲ 読了 2007/8/5

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2009/10/04

イシグロの実質的なデビュー作。たんたんとした雰囲気や乾いた会話に、小津安二郎の映画を思わせたが(イシグロ自身も小津作品を観たらしい)、それは池澤夏樹氏も解説で触れていた。訳はやや古臭い。改題前は『女たちの遠い夏』。このタイトルの方が好み。本作品以前の短編もぜひ読んでみたい。

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2009/10/04

日本生まれのイギリス文学者。日本の話なのに翻訳されてる不思議。淡々と綴られる物語。一定のトーンで描かれる戦後の日本は、細かい説明がないのに、リアルに胸にせまるものがあります。

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2010/11/03

時代の変化と価値観の変化。新旧上書きされるもの、繰り返し。思い出しながら描くとこんな感じになるのか。長崎弁で訳してくれればよかったのに。

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2009/10/04

夏に読み始めたのだけれども、読了までにけっこう時間がかかった…。淡々として、本当に霞がかった遠景を眺めるようなかんじ。これが作風なんだろうけれども、痒いところに手が届かない、すっきりとした起承転結のないストーリー。が、まあ、読了してみれば、これはこれで…とも思うのだけれども、うー...

夏に読み始めたのだけれども、読了までにけっこう時間がかかった…。淡々として、本当に霞がかった遠景を眺めるようなかんじ。これが作風なんだろうけれども、痒いところに手が届かない、すっきりとした起承転結のないストーリー。が、まあ、読了してみれば、これはこれで…とも思うのだけれども、うーん、私の性質にはあわないのかなぁ…。アイボリー監督の映画になっていると、けっこうしっくりはいくんだけれども…。(2002 Mar)

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2009/10/04

終戦後の日本. いろんな価値観が急激に変わったとき. その流れに乗っていく人と,古い価値観を持ち続ける人. 成功する人,失敗する人. 対照的な人たちが登場します. また,そうした転換期の女性の難しい立場がよく伝わってきました.

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2009/10/04

内容は、大戦後、イギリスに暮らす女性の、娘(ニキ)との会話や、日本での生活の回想。女性の心情も、彼女に何が起きたのかも、戦後の日本に対しての考えも、読んだからといって何も分かりません。ただ、それがまた、人づてに話を聞いているような、ある種のリアリティを生んでいるようにも思います。...

内容は、大戦後、イギリスに暮らす女性の、娘(ニキ)との会話や、日本での生活の回想。女性の心情も、彼女に何が起きたのかも、戦後の日本に対しての考えも、読んだからといって何も分かりません。ただ、それがまた、人づてに話を聞いているような、ある種のリアリティを生んでいるようにも思います。何かが問題な気がするけど、それが何だか分からない。何をすべきだった気もするけど何をすべきか分からない。他人の心情は(主人公の心情すら)読者も想像でしか分かり得ない書き方は、まさに私達の日常で、どんなことも、忘れることはなくても、人生の山も谷も時間に隠れてただ過ぎ去ったこととなるのだなぁ、と。読後感は"日の名残り"と通じるものがあって、カズオ イシグロさんの文章力に敬服します。 話に起承転結を求める人には向きませんが、内面的で心に残る話が好きな人にはお勧め。 作者は、確かハーフで、日本にいたのは五歳までらしいです。幼少の記憶というのは曖昧なものなので、主人公たちの台詞は外人が考えた日本的会話、だそうですが、違和感は感じませんでしたね。

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