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黒と茶の幻想 の商品レビュー

4.2

153件のお客様レビュー

  1. 5つ

    63

  2. 4つ

    52

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2018/10/19

学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子の四人は、卒業後十数年経って、Y島に旅をする。四人の心に当時の彼女の影が現れる。闇の中に閉ざされたあの頃に出来事。それぞれが一人称で語る物語。

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2018/06/20

幻の奇書『三月は深き紅の淵に』の第1章となる作品という位置づけのようですが 短編集「三月は深き紅の淵に」の第1章待っている人々で語られるものとは 似て非なるもので、ずいぶんがっかりしながら読んでしまった。 “砂漠の外れの塔で三人の修道士が首を吊る話とか、霞が関の電信柱に小人の手形...

幻の奇書『三月は深き紅の淵に』の第1章となる作品という位置づけのようですが 短編集「三月は深き紅の淵に」の第1章待っている人々で語られるものとは 似て非なるもので、ずいぶんがっかりしながら読んでしまった。 “砂漠の外れの塔で三人の修道士が首を吊る話とか、霞が関の電信柱に小人の手形が付いている話とか、祭りの最中の密室状態の広場から子供たちの集団がいなくなる話とか。”など、不思議な話を語り謎を解きながらのワクワクする作品と思っていたから、しょうがない。 昔話に花が咲き、甘くて苦い男女4人の話。それだけだった。 少しはミステリーまがいの話もでてくるけど、昔はああだった、あの人は昔からこういうところは変わらないというだけの話だった。それだけの感想。すみません。

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2017/08/18

学生時代の友人である男2人と女2人が、日常を離れ、とある島の有名な杉を見る旅をする。旅のエッセンスは「美しい謎」。4人に影を落とす憂理という女、彼女は今どうしているのか。 憂理は他作品に理瀬のルームメイトとして登場する。私は彼女がけっこう気に入っていたので、今作での思い詰めた描か...

学生時代の友人である男2人と女2人が、日常を離れ、とある島の有名な杉を見る旅をする。旅のエッセンスは「美しい謎」。4人に影を落とす憂理という女、彼女は今どうしているのか。 憂理は他作品に理瀬のルームメイトとして登場する。私は彼女がけっこう気に入っていたので、今作での思い詰めた描かれ方に切なくなった。

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2017/07/02

いまと年齢が半分だった頃、インフルエンザで学校休んで読んだ本。 屋久島にいったので再読。 当時はミステリーが、ただただ面白かったのに いまは利枝子のひきずり具合に共感しすぎて、読後が息ができないほど切ない。 また十数年後によんだら、まったく違う印象を受けるんだろうな。 ...

いまと年齢が半分だった頃、インフルエンザで学校休んで読んだ本。 屋久島にいったので再読。 当時はミステリーが、ただただ面白かったのに いまは利枝子のひきずり具合に共感しすぎて、読後が息ができないほど切ない。 また十数年後によんだら、まったく違う印象を受けるんだろうな。 人はそれぞれ屋久島みたいな森をもっていて、 ひとりで森を歩いていく。 他者と森を一緒に歩けるなんて幻想で、 それでも強く生きていけることを 教えてもらいました。

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2016/08/29

図書館で。600頁超えの大作。でもおもしろく最後まで4人の登場人物それぞれに気持ちを乗せながら読むことが出来ました。40歳を目前にしたかつての同級生達。過去を振り返りながら現在を語る物語。私はりえこの気持ちもせつこの気持ちもよくわかるなと同姓目線で感じながら読めました。

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2016/04/06

言うなれば大人版の「夜のピクニック」。 学生時代を共に過ごした男女4人が40歳を目前に屋久島へ旅行する事になる。テーマは「過去と向き合う」。 恩田陸の作品は登場人物に感情移入しやすい。章ごとに語り部が変わるため自分自身の心理描写も4人分描かれているが、ちょっとずつ似てる部分があり...

言うなれば大人版の「夜のピクニック」。 学生時代を共に過ごした男女4人が40歳を目前に屋久島へ旅行する事になる。テーマは「過去と向き合う」。 恩田陸の作品は登場人物に感情移入しやすい。章ごとに語り部が変わるため自分自身の心理描写も4人分描かれているが、ちょっとずつ似てる部分があり楽しい。特に薪生には共感を感じる。 3章まではミステリ色が強いがほぼ3章で解決し4章はエピソードに近い。 全体に共通してるのは旅に出る事で非日常を得る。

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2015/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高校時代から大学まで恋人だった利枝子と薪生。薪生と幼稚園からの幼馴染の節子。薪生と大学からの友人で、妙にウマが合う彰彦。四人は思い付きとのような成り行きと、必然で四泊の屋久島旅行へ。 『利枝子』 彼女はかつて自分の出会う最上の男と付き合っていた。自分たちはこのままうまくやっていけると思っていた。それがかなわなかったのは、薪生の心変わりが原因だった。彼は利枝子の親友、憂理に心を奪われたのだ。小さいころから子役として舞台に立ってきた彼女は美しく、脆く、そして強い女だった。利枝子は薪生との一件があってなお彼女と会いたかった。しかし彼女が大学の終わりに集大成として立った一人舞台の夜以降、彼女は利枝子の前からいなくなってしまった。彼女が自分に会いたくないのか、いやそんなことは考えられない。利枝子は疑っている。あの夜、薪生が彼女を殺したのではないかと…。 利枝子はこの旅で彼女と薪生と自分との過去の事実をつきとめる決心をする。 『彰彦』 彰彦はこの旅のプランを立てながらほかの四人に、提示した。“この旅行の目的は非日常だ。”"過去の中に潜む美しい謎をみんなで解き明かし、過去を取り戻そう"と。 彰彦は資産家の一族に生まれ、容姿も淡麗、資質も持ち合わせていたが、ほかの四人に言わせれば口を開かなければ完璧な男だ。彼には姉がいる。顔のよく似た、淫乱な姉。彼女は彰彦の友人の何人かと関係を持ち、彼らをぼろぼろにして捨ててきた。彰彦は彼女に親しい友人を紹介するのを控えていたが、それでも被害は出る。 三日間かけて屋久島の一番古い杉を見に行く。そのための体作りをかねて前二日間はゆるめの森を散策する。深い森を歩きながら、彼らはしゃべり続ける。いくつかの謎。いくつもの雑談。その中から彰彦は自分に眠る謎を思い出す。それは高校時代に仲良くなった友紀が殺された真相だった。 『薪生』 彼は半年ほど前から妻と別居をしている。理由は"誰かといることが嫌になったから"。薪生は自分のことを"ひとでなし"であると理解しているが、だからといって何とも思わない。周りから"寛いでいる""リラックスしている"といわれるが、それはどうでもいいからだ、そしてポーカーフェイスがうまいから。 彼は憂理の秘密を知っている。彼女の押し秘めた熱情。 そしてほかの三人はこの秘密の告白を待っている。 そして薪生自身は、告白から得られる解放を。 役を演じるように、そのスポットライトの下に立つ時を待っている。 『節子』 節子の旦那は今末期の癌と戦っている。今年の冬は越せないだろうといわれている。そんな彼がこの旅行を快く送り出してくれた。それを受け取って旅を楽しむことが彼女の愛の証だった。 節子は昔から何度も見る夢があった。場所はばらばらだが、紫の割烹着を着たおばさんが追いかけてくる。節子は必死に逃げる。 旅の最終目的の杉を目指しながら、彰彦はこの工程の終わりまでにその夢の謎を解くと息巻く。 彼女は深い森に魅せられながら、一本の杉を目指す。今は何の利害関係も持たない友人たちと。 そしてもう一つの目的の"三顧の桜"の姿を探して。 ずっと読みたくて、なのに機を逃し続けていた一冊。 初期の恩田さんらしさ炸裂。美しい情景と心理描写の一体となった文章。危ういのに端正な登場人物たち。軽妙な会話、ぐさりと刺さる言葉。ものすごく好きだと感じた。読み終わって、また読むとそれぞれの章でまた見えてくるものがあるのだろうな。 ラストは涙ぐんでしまった。 恩田さんの描くノスタルジーは、肉体を持つ前に一時解けていられる完全なものに思いを馳せるような、還れるけれど今は帰れない場所に向かっていて切ない。

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2015/03/20

大人の遠足、大人の修学旅行。不思議な謎は持ち込まれたり、その場で出会ったり。それぞれが納得できる答えを探していく中で、4人の過去にまつわる謎もほどかれて…。タブーの恋愛を織り混ぜて、そこは恩田さんらしいと感じました♪四人ともが魅力的で、確実に老いながら過去に触れる様は私も経験して...

大人の遠足、大人の修学旅行。不思議な謎は持ち込まれたり、その場で出会ったり。それぞれが納得できる答えを探していく中で、4人の過去にまつわる謎もほどかれて…。タブーの恋愛を織り混ぜて、そこは恩田さんらしいと感じました♪四人ともが魅力的で、確実に老いながら過去に触れる様は私も経験してみたい程の強い友情が存在していました。一癖も二癖もある蒔生と紫織の存在が光りました。決して気持ちの良い人達ではなかったけれど。自分が優しいと思っている人より、自分は優しくないと知っている人の方が優しいのよ…そうであって欲しいです。

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2015/01/04

興味深いミステリー とある島に旅行に行く男女4人組 その道中、過去に起こった不可解な出来事を「美しい謎」と称し、紐解いていく 美しくない事実も多いが全体として美しくまとまっている さすがは恩田陸

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2014/10/12

[ 内容 ] 目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。 どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。 学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。 卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。 太古の森林の中で、心中に...

[ 内容 ] 目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。 どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。 学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。 卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。 太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた『過去』の闇。 旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか…? 華麗にして「美しい謎」、恩田陸の全てがつまった最高長編。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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