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すべての雲は銀の… の商品レビュー

3.9

83件のお客様レビュー

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2013/07/12

大和が「おいしいコーヒーのいれ方シリーズ」の勝利に似ていて ストーリーは違うのにどこか重なった。 大和に起こったことはどうしたっていつまでも終わらない。 相手がそこにいるのだから。 よっぽど会わないように、連絡をとらないようにするか、 果ては縁を切るぐらいしないと無理だ。 けれ...

大和が「おいしいコーヒーのいれ方シリーズ」の勝利に似ていて ストーリーは違うのにどこか重なった。 大和に起こったことはどうしたっていつまでも終わらない。 相手がそこにいるのだから。 よっぽど会わないように、連絡をとらないようにするか、 果ては縁を切るぐらいしないと無理だ。 けれどそれは物理的にであって そうしたところで結局終わりはしないのだ。 大学を休んででも「かむなび」にいることにした時間は 大和にとって必要だった。 大なり小なり、だれかを傷つけるつもりはなくても そうなってしまうことがある。 でもこれはわかっていてそうなったのだ。 人はだれかを傷つけないようにと生きているものだと思う。 けれどこれは傷つけるのをわかっていて先へ進んだのだ。 ・・・と第三者だから思うのだろうか。 人には止められない感情というものもあるけれど それをその瞬間に理解するのは難しい。 だからそれは起こったのだろうか。 桜ちゃんと母親のやりとりもたまらない。 どんなに言葉にしても 理解してもらえないときがある。 それはとてもつらく、切ない。 小学生の桜ちゃんには、その時間がどんなに長かったのだろう。 村山さんの描く人物描写がとても好きだ。 この作品や「翼」のような作品がまた読みたい。

Posted byブクログ

2013/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公の「僕(祐介)」は大学生。 ひょんなことから、ここ菅平高原にある一風変わった宿「かむなび」でアルバイトをすることになった。傷心の祐介を見かねて親友のタカハシが取りはからってくれたのだ。  傷心の原因は失恋。それも恋人が心変わりして祐介の兄と一緒になってしまったというイタイ話。  「かむなび」は、経営者、従業員、そして客たちも、それぞれが心に深い傷を持っていた。  と、ここまで書くと、とても暗い話になりそうなものだが、この著者村山由佳の手に掛かると見事なまでにさらりと描ききっている。 軽く、すっきりとした読後感がある。  登場人物では、健太の母瞳子が印象に残った。それに反して「僕」の昔の恋人由美子は描き方はやや物足りないな。  失恋して僅か半年やそこらで、立ち直れる訳がない。男でも女でも、振った傷は数日で癒え、数ヶ月で忘れる。しかし、振られた傷は、新しい恋がなければ、癒えるまで1年以上かかる。新しい恋があっても、前の傷を完全に覆い尽くすことができるのは希だ。 何かのときにふと、心に埋もれていた古い傷が疼く。それを素知らぬ顔をし再び胸の奥へと押し込む。そんなことを何十年も繰り返すこともあるのだ。 "そんなものは「愛」ではない。単なる「執着」だ"  そう笑う奴には笑えせておけばいい。 自分の心を痛めたことがある人にしか理解できない、深い心もある。

Posted byブクログ

2013/03/18

恋人の裏切りに心を引き裂かれ、大学生活を捨て信州菅平にやって来た僕。 明るさの奥にさまざまな傷を隠し持った人々との出逢いと、信州の自然に身を置くことで僕が少しずつ変わっていく。 健太くん可愛い。良い子。

Posted byブクログ

2013/03/10

菅平高原に行きたくなったし、かむなびみたいな宿に泊まってみたくなった。 ストーリーの展開が良かったと思うし、沢山の登場人物たちの複雑な心模様がうまく描き出されていて、一人一人に感情移入しながら、想像力を高めることもできた。 ケンタかわいすぎるvv

Posted byブクログ

2013/02/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村山さんの本は、「天使の卵」「天使の梯子」を読んで以来かな? あまり読みませんが、なんとなく懐かしくて借りてみた。 この写真はハードカバーですが、実際は文庫本で上下巻だった。 でもあっさりと読めたな。やっぱりこの人の本は読みやすい。 物語は、兄に彼女を奪われて傷心の主人公が長野の宿で働きながら癒されていく話。。 と書けば単純だが、ちょっとヘビーな内容。(ネタバレ入ってます) そこにはいろんな人がいる。登校拒否児童、母親の前の旦那さんの宿で働く女性、 友達同士で花屋をやってる女性二人、友達のタカハシ。。。 主人公祐介の失恋から始まるこの物語だが、気持ちの描写がうますぎてこっちまで苦しくなる。 長野の自然や不登校児の桜ちゃんとの交流に癒されて、やっと立ち直ってきた矢先、 元凶となった兄がやってきて、元カノに、彼女を許すと言えとせまる。 二人はもうじき結婚する。元カノのお腹の中には兄の子が。。。 ちょっと現実だと考えられないぐらいヘビーな話だ。。 人間って、こんなことがあっても生きていかなくてはいけないのだよね。。 さらに落ち込む祐介。それを慰める宿で働く瞳子さん。 ひそかに祐介に思いをよせる花屋の花綾ちゃん。。 瞳子さんとの一夜をきっかけに祐介の取った行動とは。。。。 村山さんの本は、天使の卵、梯子もだけど、「妊娠」が必ずと言ってよいほど出てくる。 (あ、3冊しか読んでないので必ずとは言えないが) そこで大きく話が展開するのも一緒だ。 そして、青年から大人へと主人公は変っていく。。。 この話も、瞳子さんとの一夜で祐介が立ちなおるというのは、 なんかありきたりで負に落ちなかったけど、そういう事があるのも人生かも。 と、村上さんの話は普通に納得できる。後書きにもあったのだが、 普通の日常、人の感情が書いてある普通の小説なのかもしれない。

Posted byブクログ

2012/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

彼女と兄に同時に裏切られた主人公が、信州の『かなむび』で自然や人の中で変わっていく話。 それぞれに悩みや痛みを持つ人たちが、お互いに上手く相手を導いていく・・・そんな感じでした。園主の言葉に、生き方のヒントみたいなものが込められています。 全体的には好きな感じなんだけど、結末がなんとなく、うーん・・・

Posted byブクログ

2011/10/18

傷心の主人公に感情移入してしまう、とても細かい心情描写。心をえぐられるような想いが暖かい人間関係の中で時間をかけてゆっくり癒えていく表現が気持ちよくも痛々しい。

Posted byブクログ

2011/09/18

主人公と関わる人々の優しさと一生懸命さ、そして主人公の弱いけれど純粋なところが 素朴な感じで書かれているように思いました。 私も『かむなび』のようなところでアルバイトしてみたい!

Posted byブクログ

2011/09/15

傷心の主人公が信州のペンションに住み込みで働きながら、立ち直って成長していく…。 ドラマでありそうな青春恋愛小説ですが、爽やかな読後感は筆者ならでは。

Posted byブクログ

2011/05/15

大学生の頃に読んで、当時一番好きだった本。 何度読み直したかわからない。 失恋が理由で東京から信州菅平の宿「かむなび」に逃げてきた大学生の話。 かむなびで働く内に人とのつながりを確認し自然に癒されていく。 上下巻の長編で読み応えばっちり。登場人物のキャラクターも面白く、田舎...

大学生の頃に読んで、当時一番好きだった本。 何度読み直したかわからない。 失恋が理由で東京から信州菅平の宿「かむなび」に逃げてきた大学生の話。 かむなびで働く内に人とのつながりを確認し自然に癒されていく。 上下巻の長編で読み応えばっちり。登場人物のキャラクターも面白く、田舎暮らしの情景も微笑ましい。 後半に息を飲むような山場があり、はっきりと「悔しい」と感じさせるほど感情移入して読んでしまう。 何か特別なことが書かれている訳ではなく、内容はあくまで「日常」。長野県の田舎の自然や仕事や普通の生活が描かれる。 「日常」をここまで面白く書けるなんて何度読んでも凄いなと思う。 僕の好きな本。

Posted byブクログ