「わからない」という方法 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
内田樹の「私の身体は頭がいい」つながりで読んでみた。本人が言うように確かに話がくどいが、結論はオイラの期待を裏切らないものだったのでホッとした。でも、まさか最後のページでまとめてくるとは思わなかった。下手したら結論はあとがきになるところだったのではないだろうか。身体と経験と友人。なるほどである。 脳味噌を過大評価しちゃいけないね。情報収集は全部身体がしてるんだし、現場のことは身体がいちばんよくわかっているというのは面白い。職場を例えにしたところも納得だ。 桃尻娘シリーズをきっかけにファンになったけど、もう30年くらい前のことだ。テレビドラマにもなっていたけど、もう一度観たいなぁ。ビデオに残して残しておかなかったのがとても残念。相築あきこが可愛かったんだよなぁ。
Posted by
私が、何度も読み返してしまう本です。 出版されて結構年数が経ちましたが、内容は全く古びてありません。 それは、読者に対して、橋本氏の一連の著作のメッセージが、「現在の自分は、どこにいるか?」を 考えさせるものだからだと思います。 橋本氏は、この本できっぱりと、「正解がある時代...
私が、何度も読み返してしまう本です。 出版されて結構年数が経ちましたが、内容は全く古びてありません。 それは、読者に対して、橋本氏の一連の著作のメッセージが、「現在の自分は、どこにいるか?」を 考えさせるものだからだと思います。 橋本氏は、この本できっぱりと、「正解がある時代は、終わったよ」とさらり言っています。 これは、私自身を振りかえっても、痛い一言です。 なぜなら、どこかに「正解」があると思って、 「ノウハウ」や「理論」や「考え方」を、私自身が探しているからです。 橋本氏は、「そんなのないよ」と言ってのける。 もちろん、橋本氏は、根拠がなく言っているわけではありません。 日本そして過去の歴史を振り返り、説得力ある言葉で読者に語りかける。 以下、こんな感じです(筆者推測) 君は、今どういう状況にいるの?それを正しく認識しているの? 俺はこう思うけど、じゃあ、仮に、君の認識が正しいと仮定して、君が本当にいたい状況って、 どういう感じ?それは、今の君の状態と同じ?違うなら、その状態を自分で「建設」しているみるのはどう? 結局は、自分の人生は、自分自身で建設するんだよと、何か理論とか、ノウハウとか、 どこどこの会社とか、国とか、そんなものを探したって、そして、すがったって、 自分は建設できない。 これを、橋本氏は、この著作ならびに、80年代後半に言ってのける。 橋本氏のエッセー、評論は、たくさんありますが、 今でも、時代の風化に耐えているのは、人が生きる上で、 大切なことは、何かを語っているからでしょう。
Posted by
20世紀はわかって当然の時代で、21世紀は「わからない」が原点の時代、というのはなんかこじつけくさい。そんなこと言わなくても、「わからない」のにどんどん進めていく、「わからない」からむしろそこを入り口にする、という橋本さんのスタンスはよくわかる。「わからない」ではじめるから始めは...
20世紀はわかって当然の時代で、21世紀は「わからない」が原点の時代、というのはなんかこじつけくさい。そんなこと言わなくても、「わからない」のにどんどん進めていく、「わからない」からむしろそこを入り口にする、という橋本さんのスタンスはよくわかる。「わからない」ではじめるから始めは10兎くらいいっぺんに追かけ、はなはだ効率が悪い。でも結果的に出来てしまう。しかも「わかってる」人が思いつきもしないようなどえらいものが。
Posted by
読書録「「わからないという」方法」4 著者 橋本治 出版 集英社 p99より引用 “そして、初心者にとってなにが一番いやか と言えば、「基礎を確実にマスターする」の 間のチンタラした時間である。” 目次より抜粋引用 “「わからない」は根性である 「わからない」という方法 ...
読書録「「わからないという」方法」4 著者 橋本治 出版 集英社 p99より引用 “そして、初心者にとってなにが一番いやか と言えば、「基礎を確実にマスターする」の 間のチンタラした時間である。” 目次より抜粋引用 “「わからない」は根性である 「わからない」という方法 なんにも知らないバカはこんなことをする 知性する身体” 小説・評論・演出など多方面で活躍する著者 による、挫折の乗り越え方や物事の上達に対す る方法を記した一冊。 わからないことを知ることから身体を使って 覚えることについてまで、著者の実地をもとに 書かれています。 上記の引用は、わかることと納得することに ついて書かれた項での一文。 一足飛びに都合のいいところだけつまみ食い するような物のやりかたでは、その場限りの やり過ごしになってしまうのかもしれません。 自分にしっかりと言い聞かせておきたいところ です。 何かをわかろうとするならば、自分で一から 始めなければいけないということなのでしょう ね。 ーーーーー
Posted by
「わからないからやる」という方法。 21世紀は「わからない」時代。 「わからないからやる」が日本社会の膠着を突破する。 「わからない」を方法にするのは、度胸と覚悟である。「自分の体は頭が良い」 脳は信用しないが、自分の身体性は全面的に信ずる。
Posted by
20世紀は、どこかに「正解」があるのが当然であり、「わからない」というのは「正解」を知らない、恥ずかしいことだという理解が蔓延していたと著者はいいます。しかし、最初から「正解」がきまっているということが成り立たなくなったいま、「わからない」ということをスタート地点にして考える時代...
20世紀は、どこかに「正解」があるのが当然であり、「わからない」というのは「正解」を知らない、恥ずかしいことだという理解が蔓延していたと著者はいいます。しかし、最初から「正解」がきまっているということが成り立たなくなったいま、「わからない」ということをスタート地点にして考える時代がやってきたと著者は考えます。 本書で著者は、「わからない」という方法にもとづいてこれまでおこなってきたさまざまな仕事振り返っています。『男の編み物―橋本治の手トリ足トリ』(河出書房新社)から、テレビ番組のために執筆されたドラマ・シナリオ「パリ物語―1920's 青春のエコール・ド・パリ」、そして『桃尻誤訳枕草子』の仕事の回想を通じて、「わからない」というスタート地点からはじめて、経験を通して身体が理解することをめざす著者の方法が語られています。 橋本治の発想術ないし仕事術といった趣の本です。自著解説のようなところもあるので、著者の仕事に興味のあるひとには、おもしろく読めるのではないかと思います。
Posted by
こないだ読んだ『わかりあえないことから』に引き続き、 「わからない」がどう方法になりえるのか、 興味を持って読んだが、それはわからなかったのだ。 しかし、新書を読みながらこんなにくすくす笑ったのは初めてだった。 途中からの内容は、正直よくわからないことが多かったが、 出だしから...
こないだ読んだ『わかりあえないことから』に引き続き、 「わからない」がどう方法になりえるのか、 興味を持って読んだが、それはわからなかったのだ。 しかし、新書を読みながらこんなにくすくす笑ったのは初めてだった。 途中からの内容は、正直よくわからないことが多かったが、 出だしから著者の脱力した文体に引きこまれて、最後まで一気に読んだ。 「わからなくて、これでいいのだ」 的な脱力感には、老子に通じる居心地の良さを感じた。 あとがきにあるように、著者はからだを使って思考する人である。 現代は多分に脳化しすぎていて、「俺には全てわかっている」という前提で話す人が多すぎる。 そしてそういう人の話は得てして退屈なのである。 ひさしぶりに楽しい話を読めた。 内容は今のところわからないが、それでいいのである。
Posted by
わからないことは恥知らずである。 日本人は元来、恥の文化があり、分からないということは恥であるとされてきた。であるので分からないことを分からないままでいることが多い。日本人は分からないけどやるという文脈である。しかし、変人、外人は分からないからやるである。 分からないことを分かる...
わからないことは恥知らずである。 日本人は元来、恥の文化があり、分からないということは恥であるとされてきた。であるので分からないことを分からないままでいることが多い。日本人は分からないけどやるという文脈である。しかし、変人、外人は分からないからやるである。 分からないことを分かるには地を這う方法と天から行く方法がある。 例えば編み物の場合、一目見ても分からないものはだめ。女ではないという偏見が出来ている。そこで筆者が一つ一つ写真などを用いて説明する編み物本がとてもウケる。
Posted by
フォトリーディング後、高速を交えて熟読。 「桃尻娘」と言う小説を書いた作家の、自分の幅を広げる方法についての書。「わからない」と言う事を原動力に進む事を示している。 著者を知っている人はもっと楽しめたのだろう。なるほどと納得する部分も多くあったが、著者を知らないので「セーターの...
フォトリーディング後、高速を交えて熟読。 「桃尻娘」と言う小説を書いた作家の、自分の幅を広げる方法についての書。「わからない」と言う事を原動力に進む事を示している。 著者を知っている人はもっと楽しめたのだろう。なるほどと納得する部分も多くあったが、著者を知らないので「セーターの本」について半分くらいを割いて説明されてもちょっと戸惑ってしまう。 その他には「エコールドパリ」のなんたるかを知らずにそれをドラマ化するに至った話や、「枕草子」を桃尻語訳(現代少女訳)した話。 それぞれの中に著者の世界観があって面白かった。ただ、著者を知っている人向けなのでは?と思わされた。 星は三つ。
Posted by
さっぱりわからない。 この本は「わからない」ことを肯定的に捉えて、行動を起こす原動力にすることについて述べた本である。 それは良くわかる。 理系(に限らないのだろうが)の美談には、必ずその手のエピソードが含まれる。 時には偉大な発明・発見に繋がることもある。 だが、この本に登...
さっぱりわからない。 この本は「わからない」ことを肯定的に捉えて、行動を起こす原動力にすることについて述べた本である。 それは良くわかる。 理系(に限らないのだろうが)の美談には、必ずその手のエピソードが含まれる。 時には偉大な発明・発見に繋がることもある。 だが、この本に登場する「わからない」エピソードは、筆者の「男性向けセーターの本を書いたこと」「エコールドパリをドラマ化したこと」「枕草子を翻訳したこと」が、なぜそのエピソードに繋がるのかがどうもわからない。しかも本の6〜7割はセータ本の話である。はっきり言って筆者のエッセイである。 ただ、それらエピソードを通じて、「わからない」を利用して、一見まとまらなさそうな話をまとめる方法を述べている。 筆者によれば、企画がまとまらないのは、「全体像が見えないから」である。 情報が少なかったり、自分が知らない分野では、企画を組み立てる材料がない。だから全体像が見えてこない。 そのため、企画をまとめるにあたり「わかる」状態にしなくてはいけない。 だが、情報が無い、材料が無い状態を「わからない」状態と定義づけてやれば、ひとまとまりになる。全体像が見えてくる。 「わからない」を「わかる」ためのスタート地点にすれば、地図を描けるのである。 「わからない」ことは恥ではない、むしろ情報を簡単に手に入れられるこの時代、積極的に「わからない」を活用しよう、な姿勢の1冊。
Posted by