プラハの春(下) の商品レビュー
プラハ初訪を前に再読。 全身が脱力するほど哀しい。理想の社会主義の可能性を独善的、利己的な軍事介入で潰した超大国ソ連が憎い。プラハの夢と希望を打ち砕いて、目の前の自国と自分の利益を追求する歪んだ社会主義に未来なんてあるはずもなく、ソ連はいずれ崩壊する。しかしそれはまた別の話で、少...
プラハ初訪を前に再読。 全身が脱力するほど哀しい。理想の社会主義の可能性を独善的、利己的な軍事介入で潰した超大国ソ連が憎い。プラハの夢と希望を打ち砕いて、目の前の自国と自分の利益を追求する歪んだ社会主義に未来なんてあるはずもなく、ソ連はいずれ崩壊する。しかしそれはまた別の話で、少なくともこの時の絶望は全世界で共有すべきもののはずだ。 なぜならそれに変わる資本主義が達成した未来は、多くの社会主義者が予言した通りの格差と犯罪を伴うものであったのだから。 あの「プラハの春」で本当の理想的な社会主義が実現していたら、効率や利益追求ではない、人間らしい幸せを社会で共有する世界が達成できていたのかもしれない。 でも歴史の必然、流れ、絶対的に腐敗する権力、やはりチェコでの夢も夢想に過ぎないのか。。。
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住み慣れた土地に戦車が侵入し、威嚇発砲の銃が鳴り響く混沌とした世界。自身の置かれた立場とのあまりの違いに身の詰まる思いがした。 後、国家という巨大権力に屈しず立ち向かうカテリーナやヤンの姿に感動。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1968年チェコスロバキアの社会主義改革「プラハの春」の渦に飲まれる男女の物語。ソ連の軍事介入が始まる。引き裂かれる。 権力で抑圧するとはこういうことだ。 現代の自分達からすると、この権力で人々を握りつぶせるということが非現実すぎる感じがしてしまう。でも、こういったことが本当にあったというのは、リアルで、今でも可能性はあるということである。 こんな横暴が許されるなんて…と思ってしまう。でもそれは、、、そんなことができるというのは、裏にそれに賛同していた人がいたからである。 このやりかたに協力し、努力した人がいたということのエビデンスである。 人って、頭いかれてる。そう思わざるをえない。
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プラハの春の実際が臨場感を伴って迫ってきた.そして外交官という立場でその国に関わることの困難も垣間見えた.生きる事,よりよく生きる事への思いも含めて,いろいろな問題を含んだ物語だ.
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実話に基づく臨場感。その犠牲になった人達の息づくプラハを旅してみたいと思った。ここまでの思いをしてしか得られない自由もあるのだ。
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プラハの春については、歴史上そう呼ばれる民主化運動があったということしか知らなかったので、プラハを旅行したことを機会にこの小説を読んでみた。史実に基づくフィクションということで、全てを鵜呑みにはできないが、当時の出来事や雰囲気は伝わってきた。ソ連を中心とする共産主義国、いわゆる東...
プラハの春については、歴史上そう呼ばれる民主化運動があったということしか知らなかったので、プラハを旅行したことを機会にこの小説を読んでみた。史実に基づくフィクションということで、全てを鵜呑みにはできないが、当時の出来事や雰囲気は伝わってきた。ソ連を中心とする共産主義国、いわゆる東側の国だったチェコスロバキアの自由化への道のりが、日本大使館に勤める日本人外交官の目を通して、東ドイツの女性との禁断の愛を絡めて描かれている。
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最高に面白い。 チェコスロバキアの第二次世界大戦後の情勢がわかりやすく描かれていて、その中での民衆もよく描かれている。 今のウクライナから目が離せなくなっているのは、この本のおかげ。 あの中で、命を燃やして生きている人がいて、もがいている。 その心のガソリンが自分にはあるか....
最高に面白い。 チェコスロバキアの第二次世界大戦後の情勢がわかりやすく描かれていて、その中での民衆もよく描かれている。 今のウクライナから目が離せなくなっているのは、この本のおかげ。 あの中で、命を燃やして生きている人がいて、もがいている。 その心のガソリンが自分にはあるか...
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重い話だし政治用語がたくさん。 ヘタすれば途中で諦めてしまいそうな字の細かさ だけど、 面白い!名作です。 カテリーナの美しさ、二人の愛の深さ、プラハの春にかける人々の熱情。 すべてを完璧なまでに描きだせたのは 作者が実際に立ち会った人間だからか。 世界史を勉強しただけではわ...
重い話だし政治用語がたくさん。 ヘタすれば途中で諦めてしまいそうな字の細かさ だけど、 面白い!名作です。 カテリーナの美しさ、二人の愛の深さ、プラハの春にかける人々の熱情。 すべてを完璧なまでに描きだせたのは 作者が実際に立ち会った人間だからか。 世界史を勉強しただけではわからないものを得られた気がする。 亮介も言ったけれど事件後 非難を浴びることになったチェコスロバキア大統領の反革命派を制した一言が凄くかっこよかった。 人それぞれ国を守るやり方があった。 それが理解されてもされなくとも貫き通した愛国心は変わらない。 物事は必ず流れ繰り返す。 それでもわたしたちはプラハの悲劇を繰り返してはならない 今度こそ冬が終わり本当の春が来るように…
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何度でも読んでしまう。恋愛描写には賛否あるかもしれないが、現場にいた外交官出身の著者が描く時代のリアルには惹きつけられる。
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ブルタバ(モルダウ)の流れはすべてを見ていた。 1968年、プラハの春と呼ばれるチェコスロバキアの変革運動。 わたしたちは、日本国大使館員堀江亮介とDDRの反体制活動家、カテリーナ・グレーベの恋を追いながら、歴史の中へと踏み出すことが出来る。 自由を求める人々の思いの強さには、...
ブルタバ(モルダウ)の流れはすべてを見ていた。 1968年、プラハの春と呼ばれるチェコスロバキアの変革運動。 わたしたちは、日本国大使館員堀江亮介とDDRの反体制活動家、カテリーナ・グレーベの恋を追いながら、歴史の中へと踏み出すことが出来る。 自由を求める人々の思いの強さには、強く心を打たれた。 東欧の現代史には明るくないため、時間を掛けて読んだ。 とても良かっただけに、続編の「ベルリンの秋」「ウィーンの冬」は読むことを迷っている。 宝塚で舞台化されたこともあるそうだ。
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