妻ちひろの素顔 の商品レビュー
いわさきちひろの夫が二人の出会いからの日々を綴ったもの。いわさきちひろの夫が共産党の代議士・松本善明だったなんて全然知らなかった! いわさきちひろのことはこの世のなかで生活していると今でもわりと見聞きするし、私も嫌いじゃないから聞き流すだけじゃないとらえ方をしていたつもりだけど、...
いわさきちひろの夫が二人の出会いからの日々を綴ったもの。いわさきちひろの夫が共産党の代議士・松本善明だったなんて全然知らなかった! いわさきちひろのことはこの世のなかで生活していると今でもわりと見聞きするし、私も嫌いじゃないから聞き流すだけじゃないとらえ方をしていたつもりだけど、夫が共産党の代議士・松本善明だったなんて知らなかった。意図的だか忖度だか知らないけど、いわさきちひろが紹介されるときに夫が誰だか紹介されないバイアスがかかっているような気がする。 ちひろは二度目の結婚で7歳下の善明と人生をともにするようになった。自分も一共産党員としてふさわしい行動をしようと志高く生きていた様子が描かれる。ひねた自分としてはこんなに理想を追って生きていけるのがすごいと、善明氏の文調にやや鼻白む感じもするんだけど、ちひろは「人民の芸術家」たらんとし、善明氏とともに共産主義の理想に向けて活動するのを喜びとしていたらしい。二人がよしならそれでよいこと。終戦間もない時期から1970年代くらいまでは確かに今よりももっと共産党に共感できるという人も多かっただろうし。 どちらかというと浮世離れした世界で生きる天上の人のようだったいわさきちひろの印象が、地に足ついて踏ん張り主張しようとする人の印象に変わった。
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やさしさと強さを秘めた、人間いわさきちひろの人生 人類の幸せ、子どもの幸せを願って、画家として政治家の妻として生き抜いたちひろ。四半世紀をともに生きた夫だけが知る、ちひろの心、思想、人生観!! 十数年前のことですが、ある女子大生と話をする機会があり、話題がたまたまいわさきちひろ...
やさしさと強さを秘めた、人間いわさきちひろの人生 人類の幸せ、子どもの幸せを願って、画家として政治家の妻として生き抜いたちひろ。四半世紀をともに生きた夫だけが知る、ちひろの心、思想、人生観!! 十数年前のことですが、ある女子大生と話をする機会があり、話題がたまたまいわさきちひろのことになりました。私が「ちひろは私の亡くなった妻だ」と話したところ、彼女はなんと「ウッソー」と驚きの声をあげたのです。彼女にそれが本当だとわかってもらうまで、しばらくかかりました。彼女は、いわさきちひろのイメージと共産党の代議士とが、なかなか結びつかず、冗談をいわれていると思ったようです。──本文より抜粋
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ちひろさんの夫、松本善明さんが生前のちひろさんについて記した「証言」。 で、ありながら、とてもピュアなラブストーリーのような印象を受ける。それは、感動の涙が出るほど、純粋で真っ直ぐで、清らかだ。 ふたりの心が寄り添っている。 ふたりだけの結婚式の話が、とても素敵。 これまでは、彼...
ちひろさんの夫、松本善明さんが生前のちひろさんについて記した「証言」。 で、ありながら、とてもピュアなラブストーリーのような印象を受ける。それは、感動の涙が出るほど、純粋で真っ直ぐで、清らかだ。 ふたりの心が寄り添っている。 ふたりだけの結婚式の話が、とても素敵。 これまでは、彼女の絵でしかちひろさんを知らなかったので、今回、この本を読んでみて、はじめて知ったことに、たくさんの新鮮な驚きを受けた。 松本さんが、ちひろさんと交わして持っていたお互いの写真など、27歳の共産党員とは思えない、初々しい女学生らしい愛らしさに満ちている。 「人を愛したのだから、半年で別れることになってもすばらしいことだ」 「人を愛したのだから結果がどうなろうとよい」 という、お互い依存していないのに尊重しあっていて、おかしな執着がないところが、なかなかできることではないと思う。 信じるものと、愛するものがあるということは、大きな強みになるのだな。 とにかく、めげない人、という印象。 お子さんを長野の実家に預けることになたとき、またおっぱいがあげれるように近所でおっぱい不足の子を探してあげていたエピソードとか(そしてその子が三宅裕司さん)。 「水仙のある母子像」という絵が好きです。
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この夏30年ぶりに安曇野へ行き、岩崎ちひろ美術館を見学した。ちひろの絵はよくみてきた。しかし、彼女がどんな人生を送り、今ここにこんな美術館があるのかは、今回ようやく知った。彼女が共産党員である松本善明さんの妻であると言うことは知らなかった。本書は2人のなれそめから、彼女の死をみと...
この夏30年ぶりに安曇野へ行き、岩崎ちひろ美術館を見学した。ちひろの絵はよくみてきた。しかし、彼女がどんな人生を送り、今ここにこんな美術館があるのかは、今回ようやく知った。彼女が共産党員である松本善明さんの妻であると言うことは知らなかった。本書は2人のなれそめから、彼女の死をみとるまでの善明さんの回想記だ。ちひろも政治活動をするけれど、彼女の絵には政治くささは感じられない。不思議だ。善明さんの本は、ちょっとそのあたりが自分に引き寄せて書かれている気がする。
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