漆の実のみのる国(上) の商品レビュー
恐るべき貧乏藩を受け…
恐るべき貧乏藩を受け継いだ慈悲深い君主・上杉鷹山とその家臣たちの苦闘の物語。最後が尻きれトンボなのは、著者の遺作であり、最後まで書く体力がなかったためらしいが、そこが惜しまれる。
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江戸時代の米沢藩藩主…
江戸時代の米沢藩藩主上杉鷹山の物語です。上杉謙信を祖に持つ昔大国、今貧乏藩の米沢藩に青年藩主として上杉治憲(後に鷹山)が苦闘しながら藩政改革に取り組む様は、現代でも庶民が求める政治家のあるべき姿に思えます。しかしいつの時代も天災は人の思惑を超えたところで起こり、人の生活は振り回さ...
江戸時代の米沢藩藩主上杉鷹山の物語です。上杉謙信を祖に持つ昔大国、今貧乏藩の米沢藩に青年藩主として上杉治憲(後に鷹山)が苦闘しながら藩政改革に取り組む様は、現代でも庶民が求める政治家のあるべき姿に思えます。しかしいつの時代も天災は人の思惑を超えたところで起こり、人の生活は振り回されます。また藩政改革にともに取り組んだ人の心の移ろいもあります。とりあえず読んで損はない一冊と思います。
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印象に残った箇所については、以下のとおり。 【P17】膝に十月の冷えが這い上がってきた。しかし家老の部屋に暖をとる火が配られるのは、まだ崎になるはずだった。 【P22】兼続は領民に勤勉を説いたが、搾取はしなかった。年貢もこの時代に言う三ツ七分、三七パーセントほどで、当時として...
印象に残った箇所については、以下のとおり。 【P17】膝に十月の冷えが這い上がってきた。しかし家老の部屋に暖をとる火が配られるのは、まだ崎になるはずだった。 【P22】兼続は領民に勤勉を説いたが、搾取はしなかった。年貢もこの時代に言う三ツ七分、三七パーセントほどで、当時としては低い率だったと言わざるを得ないが、兼続の経営策は、目前の困窮を脱するために領民をしぼることを排し、むしろ領民を育て、暮らしむきをよくすることで、領土の潜在的な富をふやして行こうとするものだった。 【P162】また同じ論達の中で、治憲は座して滅びを待つより、君臣力をあわせて心力の尽きるまで大倹約令を行えば、あるいは国の立ち行くこともあろうかと、このことを屹と思い立った、と述べた。 【P231】郷村出役の諭告は農の困苦を理解し、少しは酒ものみ、遊びもした上ではげめと言っている。農民に対する藩のこの態度の変化は、単純に時代の差では片づけられないものがあり、こうしたことあるいは藩主みずからの雨乞い祈願などから、庶民は為政者の側から新しい風かま吹いてきたことを鋭く感じ取ったに違いない。
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米沢藩中興の祖である上杉鷹山公の物語。名君として有名ですが、こんなに上杉家が大変だったなんて、としみじみ。
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上巻読了。 「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも・・・」の名言でお馴染みの、上杉鷹山(治憲)を中心に、貧困に苦しむ米沢藩の財政再建に挑む物語です。 この巻の中盤までは、治憲はまだ若君なので、家老の竹俣当綱がメインな感じで進みます。 贅沢三昧の前藩主・重定を隠居させて、秀才で...
上巻読了。 「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも・・・」の名言でお馴染みの、上杉鷹山(治憲)を中心に、貧困に苦しむ米沢藩の財政再建に挑む物語です。 この巻の中盤までは、治憲はまだ若君なので、家老の竹俣当綱がメインな感じで進みます。 贅沢三昧の前藩主・重定を隠居させて、秀才で清廉な治憲が藩主になり、自ら倹約をして、財政立て直しに挑みますが、昔からの格式を重んじる(ぶっちゃけ、自分たちの生活のレベルを下げたくない)重臣たちに反発されたり、幕府の普請手伝を命ぜられたりと、前途多難です。 絶望的な状況の米沢藩、果たして再生は成るのか、下巻に続きます。
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上杉鷹山その人の物語(事績)も然ることながら、ナチュラルで読み易い文体が興味深かった。良い作品だと思うので、多くの人に読んでほしい。
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貧窮にあえぐ米沢藩の苦悩。 幼名直丸から藩主治憲となり、藩の立て直しを図っていきます。 改革を進めていきますが、その道は困難を極めます。 強固な反対にもあいますが、藩の立て直しに心血を注ぐ治憲と執政たち。 ケネディに尊敬する日本人と言わしめた、上杉鷹山の物語です。
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当時の貧窮ぶりや政治組織の内情が緻密に描かれています。 膨大な資料と時間を費やして執筆されたんだろうなと思わせる作品でした。 藩の貧困や支配層の浪費ぶり、各派閥の駆け引きなど物語全体を通して重苦しい雰囲気ではありますが、ユーモラスな場面もあり積読することなく読めました。
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読み始めて、まず詳細な調査、莫大な時間をかけて準備してから書かれていると思った。 明るい未来が全く見えない貧困のため閉塞感のある米沢藩。 普通だったら逃げ出したくなるような役割を与えられたのに頑張り続ける姿に感動。 最初は剣劇小説のようで、中盤は史実に基づくルポタージュのようだっ...
読み始めて、まず詳細な調査、莫大な時間をかけて準備してから書かれていると思った。 明るい未来が全く見えない貧困のため閉塞感のある米沢藩。 普通だったら逃げ出したくなるような役割を与えられたのに頑張り続ける姿に感動。 最初は剣劇小説のようで、中盤は史実に基づくルポタージュのようだった。以降は上杉鷹山が主人公の小説のようになった。 下巻ではどうなるか楽しみ。
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藤沢さんの遺作。後3回の連載を残して、病魔に倒れ、已む無く数ページの追加で終了させた作品とのこと。もっと書きたかったでしょう無念は感じます。 うーん。嫌いではないが、いまひとつ、感動までは来ない。藤沢さんは私には、少しずれているのか?でも、重ねて言うが、悪くはない。 下巻の途...
藤沢さんの遺作。後3回の連載を残して、病魔に倒れ、已む無く数ページの追加で終了させた作品とのこと。もっと書きたかったでしょう無念は感じます。 うーん。嫌いではないが、いまひとつ、感動までは来ない。藤沢さんは私には、少しずれているのか?でも、重ねて言うが、悪くはない。 下巻の途中までは、童門冬二の「上杉鷹山」の方がいいかと思った。藤沢さんのイメージは、寡黙な男性の心情を細やかに描くという感じだが、政治的状況の説明はお得意でないのか、繰り返しが多く、またわかりにくい。 ずっと重苦しい雰囲気が立ち込めて、前向き感は低いが、下巻の途中でこれが現実なのかもと思いだして、おとぎ話のような童門さんとどちらがいいのか迷ってきた。でも、私は基本ハッピーエンドが好みなので、☆3つ。 「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」が彼の言葉だとは知らなかった。
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