狐罠 の商品レビュー
旗師(店舗を持たない骨董商)である主人公・宇佐見陶子が、同業の橘薫堂から贋作を売りつけられたことで意趣返しの罠を張るが、橘薫堂の外商の女性が殺されたことで殺人事件に巻き込まれてしまう長編の古美術ミステリーです。 陶子が意趣返しの罠を仕掛ける過程で登場する贋作家やその贋作家を紹介し...
旗師(店舗を持たない骨董商)である主人公・宇佐見陶子が、同業の橘薫堂から贋作を売りつけられたことで意趣返しの罠を張るが、橘薫堂の外商の女性が殺されたことで殺人事件に巻き込まれてしまう長編の古美術ミステリーです。 陶子が意趣返しの罠を仕掛ける過程で登場する贋作家やその贋作家を紹介した元夫(芸術大学の教授を務める英国人)、殺人事件を調べる二人の刑事等々、登場人物たちがそれぞれ行動していく中で、陶子の作戦や殺人事件事件の真相が解き明かされていく過程にワクワクしましたが、意趣返しの決着に関してはアッサリと片付いてしまった印象がありました。とはいえ、巻末にある参考資料一覧の量からもわかるように古美術商や骨董商の話や陶器や漆器の制作について詳しく書かれており臨場感がありました。
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骨董業界の 騙しあい、ミステリー作品。 最初から 最後まで、 面白い。 骨董好きには、おすすめ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
骨董商の「旗師」宇佐見陶子は、同業者の橘薫堂(きくんどう)の主人・橘から贋作のガラス器をつかまされる。 プライドを傷つけられた彼女は報復を決意するが、目利きの橘の目をごまかすことは容易ではない。 そこで彼女は、別れた夫のつてを頼り、贋作の天才・潮見老人に協力を求める。 一方、橘薫堂に勤める女性が殺され、陶子も殺人事件に巻き込まれてしまう。 骨董の世界を舞台にした、古美術ミステリ。 骨董業界という特殊な業界の事情をわかりやすく描いているのでとても読みやすかったです。 贋作をつかまされるのは見る目が無いから、つまり騙される方が悪いという非情なルールがまかりとおる業界。 そんな素人の想像を絶する古美術業界を舞台に、人の飽くなき欲望や駆け引きが描かれ、読み手はどんどん作品世界に引き込まれ、読み始めたら止まらないジェットコースターストーリーとなっています。 陶子がどのようにして復讐を果たすのか、殺人事件の捜査が陶子にどのように絡んでいくのか、一筋縄ではいかぬ手に汗握る展開や途切れのない緊張感に最後まで気が抜けません。 刑事のでこぼこコンビのしたたかさとか、潮見老人の不気味で迫力のあるキャラクターとか、脇を固める登場人物も個性豊かで魅力的でした。 ただ、最初の導入部分はちょっとわかりづらかったです。 まず主人公の陶子が橘に贋作をつかまされ、保険会社の調査員によって騙されたことに気づいた彼女は、その恨みを晴らすべく、復讐(目利き殺し)を決意する・・・という流れになっているのですが、彼女の心情が説明されないので、なぜリスクを冒してまで復讐を決意するのかが読み手には伝わらない。 一筋縄ではいかない世界で一人で仕事をする女性が並々ならぬ気概を持っていて、そのプロ意識の高さゆえに復讐をするのかな?とも思うのですが、贋作作りに手を染めるというのは、明らかに「犯罪者側」に行ってしまうことなので一度そうなったら絶対に元の立ち位置には戻れないし、職を失う可能性もある。 序盤の展開が早すぎて事情がのみこめず、陶子にも共感できないので読者が置いてかれる気がしました。 お話自体は面白かったので続編も読んでみたいです。
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蓮丈那智フィールドファイルで出て来た狐のねえさん「旗師」宇佐見陶子が主役の古美術ミステリ。殺人事件のほうがなんとなくぬるめでとってつけた感あり、差し迫らない感じはする。ちょっと話のとっかかりの陶子が贋作をつかまされてリベンジというモチベーションが無理矢理じみていて臭いが、陶子のキ...
蓮丈那智フィールドファイルで出て来た狐のねえさん「旗師」宇佐見陶子が主役の古美術ミステリ。殺人事件のほうがなんとなくぬるめでとってつけた感あり、差し迫らない感じはする。ちょっと話のとっかかりの陶子が贋作をつかまされてリベンジというモチベーションが無理矢理じみていて臭いが、陶子のキャラが存外下世話なので、ま、いっかと最後のほうは慣れて読めた。贋作師もかっこいいしねぇ、全体的にやたらとリベンジ色が強いのが非常にネガティブな印象。おもろいことはおもろかった。
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抜けていたシリーズものを。最初になるのかな。 古美術の世界は魅惑的だけれども、どうなんでしょうか。 いずれにしろ、歴史学出身らしい、ちりばめられたあれやこれやが楽しませてくれる。
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美人旗師宇佐美陶子が、贋作を掴まされ、その相手に「目利き殺し」を仕掛けるが、殺人事件に巻き込まれる話。登場人物が全員個性的。そして過去の因縁話や、真相がとても入り組んでいて最後まで気を抜けない読み応えのある作品です。
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ラストまでドキドキさせる骨董界ミステリー。 同じ骨董系のお話だけど、「孔雀狂想曲」とはうってかわってシリアスでシビアな話です。 丁々発止のやりとりは「孔雀~」でも出てくるけれど。 それから「花の下にて春死なむ」のビアバー「香菜里屋」が登場したり、別シリーズの主人公蓮丈那智も話の端...
ラストまでドキドキさせる骨董界ミステリー。 同じ骨董系のお話だけど、「孔雀狂想曲」とはうってかわってシリアスでシビアな話です。 丁々発止のやりとりは「孔雀~」でも出てくるけれど。 それから「花の下にて春死なむ」のビアバー「香菜里屋」が登場したり、別シリーズの主人公蓮丈那智も話の端に出てきたりでニヤリとさせられることしばしば。 シリーズでこの先も続くので、読むのが楽しみ(※2010年以前の感想。
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蓮杖那智シリーズをずいぶん前に読んで、おもしろかったのを覚えていたので、手に取りました。 本筋より、古美術の世界の常識というか、考え方の違いのようなものに惹かれました。 せりがどのように行われるか、とか科学鑑定のしくみとか、鑑定書の不確かさとか・・・ また、主人公の女性の仕事人...
蓮杖那智シリーズをずいぶん前に読んで、おもしろかったのを覚えていたので、手に取りました。 本筋より、古美術の世界の常識というか、考え方の違いのようなものに惹かれました。 せりがどのように行われるか、とか科学鑑定のしくみとか、鑑定書の不確かさとか・・・ また、主人公の女性の仕事人としてのかっこよさにも惹かれました。
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再読。 骨董に詳しくないのでどこまでリアリティーがあるのかは判断できませんが、そんなことは関係なく楽しめる緊張感に溢れた描写はさすがです。 陶子さんの無理して突っ張っているところは無敵の蓮杖那智とは違う魅力がありますが、共通する凛とした雰囲気に最近のキャラ重視のトレンドとは違う北...
再読。 骨董に詳しくないのでどこまでリアリティーがあるのかは判断できませんが、そんなことは関係なく楽しめる緊張感に溢れた描写はさすがです。 陶子さんの無理して突っ張っているところは無敵の蓮杖那智とは違う魅力がありますが、共通する凛とした雰囲気に最近のキャラ重視のトレンドとは違う北森氏のこだわりを感じます。
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20140831 全体の盛り上がりは良かったが最後のまとめ方がどうか。続編もあるので良かったのかもしれないがなんとなく逃げられたような気がする。
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