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美と共同体と東大闘争 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2023/12/28

三島由紀夫対東大全共闘、映画の原作。というか、69年の三島由紀夫が東大駒場で東大全共闘と討論した記録。討論のあとに三島由紀夫、全共闘の数名による文章も併録されている。 議論自体はいまからみると、なぜこんな議論をこんな言葉使いでしているだろう、という疑問がわくけれど、当時はこの言葉...

三島由紀夫対東大全共闘、映画の原作。というか、69年の三島由紀夫が東大駒場で東大全共闘と討論した記録。討論のあとに三島由紀夫、全共闘の数名による文章も併録されている。 議論自体はいまからみると、なぜこんな議論をこんな言葉使いでしているだろう、という疑問がわくけれど、当時はこの言葉づかいが彼らのアイデンティティだったんだろうと思う。言っていることはそんなに難しくなく、自己がより立つ基盤たる関係性をいかに脱却できるか、過去も含めてできるとする全共闘と、日本的なるもの=天皇からは抜け出せないとする三島の対立。三島が取り入れた持続の問題は運動の核心をついていて全共闘側はそれに正面から答えていない。それが彼らの闘争の弱点で68年前後で運動が途切れてしまったことの原因だと思う。 途中観念的過ぎると批判した学生がいるけれど、まさにその通りで言葉が難しすぎて一般には落ちないだろうから、ただの雰囲気にしかなってないという印象。いまだから言えることだけど、それが残念な点だったと思う。

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2023/05/22

三、四度目の再読。 結論から書くと「難しい」。 読む回数を重ねて漸く概念についての詳細と、事物についての詳細が理解できてきた。 まだまだ分からない箇所は山のようにあり、何よりも情報量が膨大で途中調べたり考えたりして足止めを食らうというのを毎回繰り返している位に半端な量で苦戦した。...

三、四度目の再読。 結論から書くと「難しい」。 読む回数を重ねて漸く概念についての詳細と、事物についての詳細が理解できてきた。 まだまだ分からない箇所は山のようにあり、何よりも情報量が膨大で途中調べたり考えたりして足止めを食らうというのを毎回繰り返している位に半端な量で苦戦した。 左翼学生の今では殆ど見かけないエネルギーの強さとパッションを随分前に書籍化してくれた事により何度も体感できるので、とても有り難い一冊。 敵対した者同士、相慣れない中で次々と展開される問題提起とその思想や哲学にかなり脳味噌を使う。 何とか三島を負かしたい!と息巻く学生たちの熱情は唯一確かなものだと思う。 最後の「討論を終えて」の芥正彦氏の思想が凶暴的で怖かった。 学生運動に命を賭ける若者たちの覚悟も偽物ではないと思うし、映画化されてこれもまた数回観ただけでは通常の人間では理解が及ばないとも思うので、だからこそ書籍化は救いになる。 何度も読み返したい本だし、まだまだその必要性があると感じている。

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2021/06/10

「美と共同体と東大闘争」三島由紀夫・東大全共闘著、角川文庫、2000.07.25 174p ¥420 C0195 (2021.06.10読了)(2006.06.23購入) 【目次】 討論・三島由紀夫VS.東大全共闘―<美と共同体と東大闘争> ・目の中の不安 ・自我と肉体 ・他者...

「美と共同体と東大闘争」三島由紀夫・東大全共闘著、角川文庫、2000.07.25 174p ¥420 C0195 (2021.06.10読了)(2006.06.23購入) 【目次】 討論・三島由紀夫VS.東大全共闘―<美と共同体と東大闘争> ・目の中の不安 ・自我と肉体 ・他者の存在とは? ・自然対人間 ・階級闘争と<自然>に帰る闘い ・ゲームあるいは遊戯における時間と空間 ・持続と関係づけの論理 ・天皇と民衆をつなぐメンタリティ ・<過去・現在・未来>の考え方 ・観念と現実における<美>  ほか 討論を終えて ・砂漠の住民への論理的弔辞  三島由紀夫 ・三島由紀夫と我々の立場―禁忌との訣別―  全共闘H ・あるデマゴコスの敗北  全共闘C ・時間持続と空間創出  全共闘A ☆関連図書(既読) 「東大―大学紛争の原点」生越忠著、三一新書、1968.. 「東大落城」佐々淳行著、文春文庫、1996.01.10 「仮面の告白」三島由紀夫著、新潮文庫、1950.06.25 「愛の渇き」三島由紀夫著、新潮文庫、1952.03.31 「潮騒」三島由紀夫著、新潮文庫、1955.12.25 「金閣寺」三島由紀夫著、新潮文庫、1960.09.15 「午後の曳航」三島由紀夫著、新潮文庫、1968.07.15 「青の時代」三島由紀夫著、新潮文庫、1971.07.15 「癩王のテラス」三島由紀夫著、中公文庫、1975.08.10 「春の雪 豊饒の海(一)」三島由紀夫著、新潮文庫、1977.07.30 「奔馬 豊饒の海(二)」三島由紀夫著、新潮文庫、1977.08.30 「暁の寺 豊饒の海(三)」三島由紀夫著、新潮文庫、1977.10.30 「天人五衰 豊饒の海(四)」三島由紀夫著、新潮文庫、1977.11.30 「三島由紀夫「以後」」宮崎正弘著、並木書房、1999.10.01 (「BOOK」データベースより)amazon 学生・社会運動の嵐が吹き荒れた1969年の5月13日、超満員となった東大教養学部で、三島由紀夫と全共闘の討論会が開催された!自我と肉体、暴力の是非、時間の連続と非連続、政治と文学、観念と現実における美…。互いの存在理由を巡って、激しく、真摯に議論を闘わせる両者。討論後に緊急出版されるやたちまちベストセラーとなり、いまだ“伝説の討論”として語り継がれる貴重なドキュメント、三十余年ぶりの復活。

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2021/05/24

学生運動が吹き荒れたあの時代。全共闘がどんなものであったのか、ネットで調べながら本書を読みました。三島由紀夫と学生達の討論はやや難解でしたが、両者共に今の社会では駄目だというのは一致していたように思います。学生達が言っていたことは頭で考えすぎてるきらいがあり、それに対して三島由紀...

学生運動が吹き荒れたあの時代。全共闘がどんなものであったのか、ネットで調べながら本書を読みました。三島由紀夫と学生達の討論はやや難解でしたが、両者共に今の社会では駄目だというのは一致していたように思います。学生達が言っていたことは頭で考えすぎてるきらいがあり、それに対して三島由紀夫はもっと具体的で、彼の理論の方が幾分か分かりやすい気がします。三島由紀夫の凄いところは、ひとりの大人として、真摯に学生達と向き合って対等に、時間の限り言葉を尽くしたことだと思います。去年、映画上映されてたのを見逃したので、何処かで見たい。

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2021/05/13

 5月9日にケーブルTVで『三島由紀夫vs東大全共闘』がオンエアされた。鑑賞。かくも難しいことをさっさと構文し、とっとと発語する学生がいるのか……。三島の言わんとすることはどうにか解る。生活者としての背骨があるから(生活感は無いけれど)。学生らの言うことになると皆目わからない。 ...

 5月9日にケーブルTVで『三島由紀夫vs東大全共闘』がオンエアされた。鑑賞。かくも難しいことをさっさと構文し、とっとと発語する学生がいるのか……。三島の言わんとすることはどうにか解る。生活者としての背骨があるから(生活感は無いけれど)。学生らの言うことになると皆目わからない。  以前、あまりの難解さに投げ出した本書をひもとく。やはり解らない。  映画と本書はあい補うものだろう。赤子を抱いて三島を論駁する芥正彦(全共闘C)の様子など、テキストでは伝わらない。またこの子が、紫煙たちこめる騒がしい中、泣きもしないで場を和ませてくれる。

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2020/10/20

反逆のエリート集団 VS 文豪 三島由紀夫 その時、何と何が衝突したのか❕  今、このような討論が出来る人は非常に少ないように思います。とにかく熱量がすごいです❗ めちゃくちゃ面白いので、ぜひぜひ、一度読んでみてください。

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2020/12/25

かじり読み。三島由紀夫との討論の映画を見たあたと、理解のための一冊。 両者ともにロジカルに観念的な議論をしているが、学生たちがスーパー概念的でまっすぐにあるべき論を語るのに対し、三島は自分の経験、自分の感覚、自分の信念を含めて語る。 学生たちの言葉は上滑りするが、三島の言葉は...

かじり読み。三島由紀夫との討論の映画を見たあたと、理解のための一冊。 両者ともにロジカルに観念的な議論をしているが、学生たちがスーパー概念的でまっすぐにあるべき論を語るのに対し、三島は自分の経験、自分の感覚、自分の信念を含めて語る。 学生たちの言葉は上滑りするが、三島の言葉は私たちの中に染み入る。なぜなら、三島が全身全霊で自分の言葉で語っているから。 価値観のゆらぎ、迷いが魅力的。 わたしは三島由紀夫好き!

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2020/08/18

こんなに熱くユーモアを交えて議論をぶつけ合う時代があったとは。。。驚きました。(内容は難しくてついていけませんでした。)

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2020/06/01

終戦から数えて24年目、今年2020年から遡れば、阪神淡路大震災、オウムのテロ事件よりも近い時代の話であることを、何よりも念頭に置いて考える必要がある。 諸々考えたが、両者が相入れない究極の原体験はを、「3時間微動だにしない天皇」(三島は学習院の卒業式で昭和天皇の臨席を経験)の...

終戦から数えて24年目、今年2020年から遡れば、阪神淡路大震災、オウムのテロ事件よりも近い時代の話であることを、何よりも念頭に置いて考える必要がある。 諸々考えたが、両者が相入れない究極の原体験はを、「3時間微動だにしない天皇」(三島は学習院の卒業式で昭和天皇の臨席を経験)のライブ経験の有無という極めて表層的な違いに帰結せしめる誘惑に駆られる。 本編は、三島と東大全共闘の2時間半に渡る討論の記録である。 本編終盤、全共闘E「ブルジョワ秩序体制の補完物としての天皇」この一言に、当時の900番教室の思いが込められているのであろう。打倒されるべきものとしてのブルジョワ、その神輿に乗っているだけの… 『グッバイゴダール』のゴダールは同様の学生集会で、5秒も批判されるとすぐに踵を返してしまっていたが、2時間、これだけの論を、歳は半分とはいえ東大きっての複数の論客に正面から対峙した三島は流石だ。 にしても、彼らが言外に驚くほど多くの共通する教養背景を形成していることに改めて驚きを禁じ得ない。うわべだけを読んでも、全く理解できない内容である。 後半の補遺で、三島が討論相手の学生たちが、わずか2時間の間に小便を我慢できずに会場を後にした様を描いているのは、のっぴきならない学生たちの、ありのままの姿として、今となっては微笑ましい。 「『われわれの目的は地上に戦争を絶滅することである。しかし、その唯一の方法は戦争である』これが毛沢東の独特な論理であって」…あれから50年、一貫しているかの国の凄まじさを感じるとともに、三島の未来を見通す卓見の力に今一度感じ入った。 「三島由紀夫 東大全共闘 ー 美と共同体と東大闘争」(KADOKAWA、三島由紀夫他) Day159 https://amzn.to/2TSkFIX

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2020/04/20

映画は表情や雰囲気や口調伝わるので、何となく理解できたような瞬間もあったけれど、活字だけだと観念的過ぎて笑。 東大生は、難解な観念的な事を羅列しようとしてるのが透けて見える。三島は時たまユーモアも交えてて余裕を感じた。 ただ粗暴な男達に囲まれる清らかな自分と言う状況は、三島の...

映画は表情や雰囲気や口調伝わるので、何となく理解できたような瞬間もあったけれど、活字だけだと観念的過ぎて笑。 東大生は、難解な観念的な事を羅列しようとしてるのが透けて見える。三島は時たまユーモアも交えてて余裕を感じた。 ただ粗暴な男達に囲まれる清らかな自分と言う状況は、三島の性癖的には望むところだったのではと思った。

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