銃・病原菌・鉄(下巻) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ジャレド・ダイアモンド博士第二弾。 先の「銃・病原菌・鉄」が示唆に富み、知的好奇心をくすぐる内容であったため、長編発表論文の第二弾の本著をすぐさま読んでみました。 本著は文明が崩壊していくメカニズムに焦点を絞り、様々な時代・場所・環境で様々なプロセスを経てゆく滅亡を多角的に詳述しています。 最盛期には滅びなど誰しも気づかないですが、勃興さの由にこそ衰退の理由が潜みます。 また明白に衰退しつつあるにもかかわらず、人は文化的要因に束縛されてしまい滅亡を止められない。 イースター島でモアイを部族ごとで競ったから森林伐採に歯止めが係らなかったにもかかわらず作り続けた。 グリーンランドに植民したノルウェー人は頑なに漁食を拒み、イヌイットを蔑視したためその優れたカヤックや漁法を模倣せず、キリスト文化を保持したまま滅びたと喝破されています。 「ギリギリの段階になれば人はなんでもする」は間違いで、そういったときでも正常性バイアスがかかって、抜本的解決から逃げるんだということが本著でよく理解できました。 翻って、現在の人類のもつ危険性、とりわけ環境破壊には警句になるべこれらの先立つ文明崩壊が今もって抜本的に解決できていることを慨嘆されています。 マルサスの人口論では「「幾何級数的に増加する人口と算術級数的に増加する食糧の差により人口過剰、すなわち貧困が発生する。これは必然であり、社会制度の改良では回避され得ない」とされています。現実に第三世界で起こっており、次世代には全世界規模で起こる現実です。 本著に挙げられて幾つもの事例、グリーンランド・イースター島などのように、人類は崩壊を前にしても止められないのか、それとも良心を結集して止めることができるのか。 本著を読むと希望よりも、人類の歴史に学ばない愚かさに暗澹とした気持ちになります。
Posted by
とても読みやすかった ヨーロッパ人がアメリカ、アフリカ、オーストラリアを征圧できたのはなぜか 中国がある時点で発展を止めてしまったのはなぜか ていねいな説明で分かりやすく書かれている
Posted by
話題の中心はヨーロッパ以外の場所。オーストラリアとニューギニアの違いになるほど、となった。あとアフリカも知られていない事実が明らかに。
Posted by
下巻も終了でハイライト。 なぜ新大陸を席捲したのは中国ではなくヨーロッパだったのか。中国は同じ面積のヨーロッパと比べると歴史上統一されている期間が長い。明代にはアフリカ遠征までしていたが、その後が続かず清代に領土は最大となったがガラパゴス化し技術の発展したヨーロッパと力関係では差...
下巻も終了でハイライト。 なぜ新大陸を席捲したのは中国ではなくヨーロッパだったのか。中国は同じ面積のヨーロッパと比べると歴史上統一されている期間が長い。明代にはアフリカ遠征までしていたが、その後が続かず清代に領土は最大となったがガラパゴス化し技術の発展したヨーロッパと力関係では差が開いた様だ。
Posted by
人類の文明的な進歩は、栽培・飼育可能動植物の有無、大陸の形状、気候などといった環境の違いによって差が生まれた。 単純なことだけど、考古学、言語学といった見地から情報が整理されていて、やや繰り返しが多いものの、そのせいか理解が深まって満足した。 文字を始めとして優れた発明が生まれる...
人類の文明的な進歩は、栽培・飼育可能動植物の有無、大陸の形状、気候などといった環境の違いによって差が生まれた。 単純なことだけど、考古学、言語学といった見地から情報が整理されていて、やや繰り返しが多いものの、そのせいか理解が深まって満足した。 文字を始めとして優れた発明が生まれるのも環境、人口、受け入れる文化の違いなどによる。 選ばれた民族・生まれながらにして優秀な民族はいないということ。 オーストロネシア人の広がり方など想像するだけで楽しかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・何故世界はかくも不均衡な状態(ヨーロッパとアメリカを中心とした先進国と発展途上国)にあるのだろうか?スペイン人はインカ帝国・アステカ帝国を滅ぼしたが何故、逆にインカ帝国・アステカ帝国がヨーロッパを滅ぼすようなことが起こらなかったのかを突き詰めた本。 ・最終氷河期が終わった1万3000年前の地球は、食料採集民族しか存在せず似たりよったりであったはず。どこで差が生じたのか。 ・着眼点を民族としての優劣ではなく、環境に当て根本原因から解き明かしている力作。 ・多様な家畜、食料の野生→東西に伸びる大陸→食料生産の開始(容易性)→人口の増加・集中→疫病への発生・免疫性の獲得→政治組織・分業・道具・武器のイノベーション→文字の発明といった流れで全体が説明されている。 ・中国も西アジアと同様の時期に食料生産を開始しながら、世界の覇権を取れなかった原因が、統一国家であるが故に唯一の王が間違った判断をしたためイノベーションが停滞した時期があったことによる(ヨーロッパは統一されたいたことは一度もない。)といった理論が面白かった。この部分はもっと掘り下げて考えてみたい。 ・橘玲氏も「(日本人)」で、大陸が横に長いユーラシア大陸が、食料生産が伝わるという上では有利だった(気候帯が似ているから)と記述しており、本書を参考にしていると思われる。
Posted by
同じ内容の繰り返しが多い上に、展開が急で強引という感じがして、学術的な文章とは思えなくなりました。上巻は良かっただけにとても残念です。
Posted by
栽培・牧畜の発達により人口の稠密が起こりそれに付随して技術・政治制度も発達する。その発達の鍵となる栽培・牧畜だが、気候が似通ってる東西には伝播しやすく北南には伝わりにくい。結果として東西に長いユーラシア大陸と、北南に長いアメリカ大陸などにおいて技術の差が生まれる事になった。 ま...
栽培・牧畜の発達により人口の稠密が起こりそれに付随して技術・政治制度も発達する。その発達の鍵となる栽培・牧畜だが、気候が似通ってる東西には伝播しやすく北南には伝わりにくい。結果として東西に長いユーラシア大陸と、北南に長いアメリカ大陸などにおいて技術の差が生まれる事になった。 また家畜と人口の稠密により新しい病気が生まれ、その病気に対する抵抗力の有無で歴史が変わってくる点も大変興味深かった。
Posted by
下巻です。 上巻では文明の成り立ちと衝突の根本的な要因に関して紐解きまして、下巻ではまず文字の成り立ちから始まります。次に発明に必要な土台に関して、社会の成り立ち、と言う話題が続きます。 そして最後に世界各地に関するポイントポイントの議題、オーストラリアとニューギニアの関係性...
下巻です。 上巻では文明の成り立ちと衝突の根本的な要因に関して紐解きまして、下巻ではまず文字の成り立ちから始まります。次に発明に必要な土台に関して、社会の成り立ち、と言う話題が続きます。 そして最後に世界各地に関するポイントポイントの議題、オーストラリアとニューギニアの関係性、中国の成り立ち、太平洋文明、旧世界、アフリカはどうして黒人の世界なのか…なのかと言う議題で終わります。 多少というか割と、上巻を読んでいれば冗長と言う文章が結構増え始め、少し読むのが億劫になってしまう下巻でした、otimizedしてくれれば☆5でも良かったのかなぁと思います。
Posted by
企画コーナー「私の本棚―健康栄養学部1年Kさんの場合」(2Fカウンター前)にて展示中です。どうぞご覧下さい。 展示期間中の貸出利用は本学在学生および教職員に限られます。【展示期間:2012/9/20-11/10】 湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo...
企画コーナー「私の本棚―健康栄養学部1年Kさんの場合」(2Fカウンター前)にて展示中です。どうぞご覧下さい。 展示期間中の貸出利用は本学在学生および教職員に限られます。【展示期間:2012/9/20-11/10】 湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1395276
Posted by