女たちのジハード の商品レビュー
篠田節子の小説にしては読後感がよい。 20代から30代の女性の、自分探しが積極的でよい。 いくつかの失敗を重ねながらも、 その人の一番本質的なところを仕事と結びつけていく。 著者の人生の自信が感じられる。
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『プライベートライアン』が現役軍人に刺さるがごとく、『桐島、』が現役高校生に刺さるがごとく、結婚適齢期に差し掛かかりつつある私には、この『女たちのジハード』がものの見事に刺さってしまった。 お話の主人公は、ある損保会社に勤める5人のOLたち。女の幸せは結婚か、はたまた仕事か...
『プライベートライアン』が現役軍人に刺さるがごとく、『桐島、』が現役高校生に刺さるがごとく、結婚適齢期に差し掛かかりつつある私には、この『女たちのジハード』がものの見事に刺さってしまった。 お話の主人公は、ある損保会社に勤める5人のOLたち。女の幸せは結婚か、はたまた仕事か。この絶対命題の間を揺れる20~33歳の女性たちの生き様を描いている。 男社会の色が未だ根強い日本。会社は「華やぎ」要員の若い女性社員だけを求め、年をとったら使い捨て。さらに不況で男性社員さえリストラに遭うような状況で、女性が生き残る道は会社にはない。だから「売り手市場」の時に結婚して寿退職か、自活の道を自ら切り開くしかない。 そうした背景のもと、それぞれがそれぞれの信念に従い、自己実現のためのプランを立てては見るものの、なかなか思うようにいかない。社会にはこういった、女にだけ向ける厳しい顔というものがある。 主人公たちは厳しい現実に泣いて、悩んで、苛立って、もがいて、ズタボロになる。がむしゃらになって、つまずいて、ぺしゃんこになって、またべそをかく。そうしてその先にようやく自分の生きる道を見つけ出し、現状を乗り越えていく様は勇ましく、読むものの「生」を力強く鼓舞してくれる。 彼女たちから感じた強さとはいったい何なのだろう?よく、「人生は選択の連続だ」と言われる。選択の裏には必ず捨てるものがある。彼女たちが新しい扉を開くことができたのも、大きな「選択」ができたからこそ。つまり捨てることができた。みな、決断の時には各々に巡ってきた出会いによって、これまで自分がもっていた凝り固まった考えや信念を捨てて、新しい道に歩み出して行った。そういった意味の強さが、ひいては生きることの強さでもあるのだろう。 そして人生は思うようにいかないものでもあり、思いがけないものでもあるようだ。その「思いがけない」ということを、恐れず楽しむのも彼女たちの強さなのだ。 様々な生き方を通して女の生の辛さと、生本来の喜びや楽しさを教えてくれるというところが実に魅力的な作品だった。
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女性たちが元気である。 その元気さは、この小説を読んで理解した。 康子という女性が、鮮やかな生き方をしている。 バラを作っている「男の品位」のなさ 女性の位置とマンション購入をめぐる闘い ボランティア活動のあり方。ファーストクラスの客。 個人のネットワークの大切さ。 女性が生...
女性たちが元気である。 その元気さは、この小説を読んで理解した。 康子という女性が、鮮やかな生き方をしている。 バラを作っている「男の品位」のなさ 女性の位置とマンション購入をめぐる闘い ボランティア活動のあり方。ファーストクラスの客。 個人のネットワークの大切さ。 女性が生きていく上での方向性。 英語を勉強して。
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中堅保険会社に勤める5人のOLの、それぞれの‘戦い’の物語。条件のよい結婚をして優雅なミセスライフを手に入れようと目論む者、すでに男を求めることをやめ、自分の城を持つことを決意する者、OLを脱して英語で食べていこうと悪戦苦闘する者…。ぞれぞれ、こうありたい、と望む未来はあるものの...
中堅保険会社に勤める5人のOLの、それぞれの‘戦い’の物語。条件のよい結婚をして優雅なミセスライフを手に入れようと目論む者、すでに男を求めることをやめ、自分の城を持つことを決意する者、OLを脱して英語で食べていこうと悪戦苦闘する者…。ぞれぞれ、こうありたい、と望む未来はあるものの、現実とのギャップは大きい。客観的に見ると、現実認識が甘いんじゃないの~?と説教の一つもしたくなってしまうというもの。そして案の定、つかみかけたかと思えばたちまち運命に裏切られ、振り出しに戻る。しかしそこでへこたれないのが彼女たち。感嘆するのは彼女たちのそんな打たれ強さなのである。 ☆直木賞
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この本が出て13年、彼女たちを取り巻く状況は変わったのだろうか。少しは変わったように思うが、まったく同じところもある(特に国外の日系企業の経営者の多くは、そのままの考えが当たり前だと思っている)。嘘がなく、最後はとにかくさわやか。いい本です。
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OLの話。結婚とかキャリアとか自分の夢とか・・・ 同年代のリアルな話。 リアルなんだけど、共感はできなかった。 読み物としてよかったけど。 こんなふうにアツく生きてないなぁ~
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どんどん話が飛躍していって、おいおいおいーと途中思いつつも、 各々の成長、旅立ちが心地いいので読了感はすっきり。 「やれば出来るはず」的な女子思考は身につまされる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
OLさんの小説、あまり好きではないんだけど、 (何だか自分のOL時代を思い出して、本の世界にとべない) この小説は面白かった。 落ち着いて考えると極端過ぎだよね?という気もするけど、 読んでいる時はどんどん入り込んでいけて、上手いなぁと思います!
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直木賞受賞作。中堅保険会社に勤める五人のOL。 家事能力がなかったり、結婚に失敗したり、結婚に対して策略をめぐらしたり、自分の城を持つことを生きがいにしたり・・・それぞれの人生に立ち向かう姿が、生き生きと描かれ、身近にいる人に投影できる。
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読んだのはハードカバーで。たぶん初めて読んだ篠田作品。細かいことは忘れたけれど、面白く読んだ記憶がある。
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