女たちのジハード の商品レビュー
登場する女性たちがみんな個性的でキャラが立っている。それぞれの意志があり、長所と短所があり、人生は上手いこといかなくて、それでもなんとか足掻いて前に前に進んでいこうとする。 人生設計が急展開すぎて、えっ?と思ってしまう場面もあったけれど、とにかく全員の前向きなパワーに魅了された。
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中堅保険会社に勤める5人の女性たちの生き様を描いた小説。 500ページを超える分厚い本ではあるが、それぞれの女性を主人公とした短編仕立てになっているので、それほどボリュームは感じさせない。 1997年に直木賞を受賞。 その頃の日本は、会社に勤める女性は「女の子」と呼ばれ、オフィ...
中堅保険会社に勤める5人の女性たちの生き様を描いた小説。 500ページを超える分厚い本ではあるが、それぞれの女性を主人公とした短編仕立てになっているので、それほどボリュームは感じさせない。 1997年に直木賞を受賞。 その頃の日本は、会社に勤める女性は「女の子」と呼ばれ、オフィスの机で、男性だけがタバコが吸えた。「女の子」は交代で毎朝早く出勤し、男性陣みんなの机を拭き、前日の灰皿を片付けて洗い、部長にお茶を持っていった。食事に行っても遊びに行っても、男性がお金を払うのは当たり前だった。 そんな時代に、女性が自分の人生を自分のために生きるのことは難しい。 自分のことを棚にあげて心無いことを言う男の人がたくさんいて、会社は女性に若さしか求めていない。女性は「人間」ではなく、「女性という生き物」として、限定された狭い場所でもがくしかない時代だ。 ジハードとは、アラビア語で『ある目標を目指した奮闘』という意味のようだ。タイトルの響きの格好良さは秀逸だと思う。 ここに出てくる5人全員が、自分らしさを求めて悩み、傷つき、苦しい戦いの上に勝ち取ったそれぞれの勝利が爽やかな読後感をもたらしていると思った。
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内容(「BOOK」データベースより) 中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗...
内容(「BOOK」データベースより) 中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。直木賞受賞作品。
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読むのに時間がかかった。 物語と同じ時代にOLだったから、そのときに読めば共感できたのだろうか。 できなかったと思うけど。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
篠田節子作品 第117回 直木賞受賞作 この作家さんは「肖像彫刻家」に続き2作目 1997年に直木賞をとっているということで、読んでみた。 篠田節子のWikipediaを読むと ホラー・SFと出てくるのだが、 この作品はお年頃のOL 女性5人(メインは康子とリサと紗織)の生き様が興味深い それぞれのキャラが立っていて、 様々なエピソードに対する行動や考えが話を推し進めていき、 読んでいるものが 共感したり、 (いやいや それ駄目でしょう)なんてツッコミを入れたくなったりする。 私が面白かった章は「シャトレーヌ」 気弱な康子が自分の城を獲得すべく、裁判所の競売で危ない輩と渡り合う。 勉強にもなったし、その後のエピソードにも続いていく。 人生の選択を迫られた時 あなたならどうするか? 一緒に ドキドキしながら悩んでいくのも楽しい。 働く女性におすすめの1冊。 (ドラマチックな内容なので、なかなか現実には起きないけどね)
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時はバブル崩壊直後。康子・リサ・紗織・紀子・みどりの保険会社OL達の生きざまを描く。メインは康子とリサと紗織の三人の物語で、三人とも迷い、悩み、それでも邁進する姿はたくましい。時にヤクザまがいの男との戦い、時に死体とも対面し...男らしさすら感じる。ありがちな女同士のいざこざが描...
時はバブル崩壊直後。康子・リサ・紗織・紀子・みどりの保険会社OL達の生きざまを描く。メインは康子とリサと紗織の三人の物語で、三人とも迷い、悩み、それでも邁進する姿はたくましい。時にヤクザまがいの男との戦い、時に死体とも対面し...男らしさすら感じる。ありがちな女同士のいざこざが描かれていない所もサバサバしている。惜しむらくは紀子とみどりの描写が極端に少ない。みどりは影が薄すぎるし、紀子は確実に女に嫌われるタイプ。つっこみ所は多々あれど、女性が社会で生きることに勇気をもらえるような、なかなか面白い話だった。
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6月-14。4.0点。 直木賞。損保会社の一般職女性4人の奮闘を描く。 結婚やら、夢やら。面白い。吸い込まれるように読んだ。 さすがの筆力。時代は少し前だからOL像も少し古いが、心理描写が秀逸。
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途中までは、「こんな女いるよね~」みたいな冷やかしあり共感ありで、なかなか面白く読んでたけど、だんだん飽きてきちゃった。途中で読むの止めちゃった。
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七人の侍ならぬ、五人のOL。それぞれの日常に、少しばかりの(ある時は大きな)事件。毎日、懸命に生きていて、それは「聖戦(ジハード)」なのだ。三十四歳のOL、康子が出会った「シナリオライターの卵」という男は「ナイーヴ」な奴だった。それは裏を返せば、感性を解さない、ひとりよがりの。男...
七人の侍ならぬ、五人のOL。それぞれの日常に、少しばかりの(ある時は大きな)事件。毎日、懸命に生きていて、それは「聖戦(ジハード)」なのだ。三十四歳のOL、康子が出会った「シナリオライターの卵」という男は「ナイーヴ」な奴だった。それは裏を返せば、感性を解さない、ひとりよがりの。男と別れた康子はマンションを買って、一国一城の主となる。そこに突如転がり込んできた、大量のトマトと初対面の男。転機。突然目の前に見える、「結婚」の二文字。『世の中に「普通のOL」などという人種はいないし、「普通の人生」もない。』ラストの康子の思い、今の私には非常にリアルに迫ってくる。この他の四人にもそれぞれの物語。特に「紀子」は、「いるかも!こんな子」という感じ。解説で田辺聖子氏が『女の性をよりどころに男に依存することで、人生の花を咲かせようという、いわば女の根源的な・・・』と書いているように、自立指向の女性にとっては『唾棄すべき』タイプ。私もこーゆー女性は苦手だぁ。でも実際は、いわゆる『可愛い女』だよね、きっと。直木賞受賞作品。篠田節子さんのこういう作品は珍しいのですが(ミステリー系が多い)、すごくすごくリアルで印象的な作品です。
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結婚や仕事、夢といった人生の岐路に立ち、 幸せを掴もうと奮闘するOLたちの物語。 東京タラレバ娘の一時代前のような作品。 女が自分の城を持ち、定年まで勤め上げてなにが悪い。 男を諦め、1人で生きていくと息巻いた矢先、 トマトに引き寄せられて、 仕事も恋も、予想外の実りを見せて...
結婚や仕事、夢といった人生の岐路に立ち、 幸せを掴もうと奮闘するOLたちの物語。 東京タラレバ娘の一時代前のような作品。 女が自分の城を持ち、定年まで勤め上げてなにが悪い。 男を諦め、1人で生きていくと息巻いた矢先、 トマトに引き寄せられて、 仕事も恋も、予想外の実りを見せていく康子 自分が本当にやりたいことを模索し、 飛び出したアメリカで新たな夢を見つける沙織 スペックもルックスも完璧... やっと巡り会えた運命の人には、 未開の地で、どうしても叶えたい夢があった。 理想の結婚を追い求めた先に、大きな決断を迫られるリサ みんなが羨む結婚の裏には、夫の暴力? 家事能力0、社会適合力0でも生きる道を探す紀子 社会人の抱く多くの悩みは、彼女たちも同様。 仕事なんか辞めて留学でもしようか、 農家に嫁いで田舎暮らしはどうだろうか、 想像はしても、実現するには1歩が踏み出せない、 そんな決断を彼女たちを通して体験できる。 そこに失敗も含めたリアリティがあるからおもしろい。 あらゆる選択肢と可能性に囲まれている今だからこそ、 やりたいことへの熱量がどれほどのものか、 より試される時代なのかもしれない。
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