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停電の夜に の商品レビュー

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85件のお客様レビュー

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2024/01/01

ラヒリの作品を初めて読んだ。 時間の流れ方が美しい。 人の心の揺らぎの描写も独特で引き込まれた。 それぞれインドがルーツでアメリカに暮らす筆者の背景もあるのだろうか。癖になりそう。

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2022/11/22

インドにルーツを持つ人々のインドやアメリカでの暮らしを丁寧に描いた短編集。 等身大の登場人物たちが織りなす、余韻が残る奥深い物語であった。 大した出来事が起こるわけではないけれど、現実にはそういうことがほとんどである。そんな何気ない日常生活の中で胸の内にわきおこる名前のつけられ...

インドにルーツを持つ人々のインドやアメリカでの暮らしを丁寧に描いた短編集。 等身大の登場人物たちが織りなす、余韻が残る奥深い物語であった。 大した出来事が起こるわけではないけれど、現実にはそういうことがほとんどである。そんな何気ない日常生活の中で胸の内にわきおこる名前のつけられない感情を見事に描き出している。異国が舞台ではあるけれど、とても身近に感じられる物語。 私もこんな風に、日常生活で感じる喜びや悲しみを表現できるようになりたいと思った。

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2022/04/30

どこか寂しさや超えようのない切なさや滲むような可笑しさが丁寧に穏やかに描かれている短編たち。それでいて悪戯に童話的になることもなくて、リアルな質感というのか……人間たちが生きていて、その等身大の視点から物語が語られているのが心地よい。また読み返したい。

Posted byブクログ

2023/09/01

まさしく私の読書の原点となった本。何年経ってもこれがベスト本です。知的で悲しくて不条理で愛おしい。立ち読みして胸が震えて抱えて買ったのを今でも忘れられない。こんな出会いを求めてずっと本を読んでます。

Posted byブクログ

2021/07/18

アメリカが舞台でも、インドが舞台でも、インド系移民が登場する話でも、ラヒリが自らと向き合っている姿が垣間見えるようだった。 ピュリッツァー賞受賞のデビュー短篇集だが、既に、何作か書いてきているかのような熟練さを感じた。 そう感じた理由は、物語の設定の目の付け所が、ささやかで、よ...

アメリカが舞台でも、インドが舞台でも、インド系移民が登場する話でも、ラヒリが自らと向き合っている姿が垣間見えるようだった。 ピュリッツァー賞受賞のデビュー短篇集だが、既に、何作か書いてきているかのような熟練さを感じた。 そう感じた理由は、物語の設定の目の付け所が、ささやかで、よくそんな所を、みたいな細やかさがあったからだ。 そこに、ラヒリ自身の人生が反映されている様が加わっており、これだけ作家自身のパーソナリティーが小説に表れる方も、珍しいのではないかと思った。 視点を変えれば、それだけ自らと真摯に相対していることにもなる。 日常生活における、異国、移民、異文化間で起こる、悲喜こもごもな出来事。そして結末は、一見、やりきれない哀しさだけが残るようにも感じられるが、そこはラヒリの視点が素晴らしく、ちょっとしたシニカルさで切り抜けたり、おしゃれな喜劇になったり、母国の人がインド系移民の人に大切なことを教えられたりと、なるところに、ラヒリ独特のしたたかさを感じるのである。教えられる結末に関しては、ラヒリ自身の望みなのかもしれないと思うと、なんだか切なくなる。

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2020/05/19

ラヒリのデビュー作、そしてピュリッツァー賞受賞作品。  本人はインド人の両親を持ちながらアメリカで育った二世。ゆえにインド移民の視点で話を描いているが、それに閉じずに移民を受け入れる側の視点やインド本国での話など様々な視点の短編が用意されている。話は繋がっているわけではないが読了...

ラヒリのデビュー作、そしてピュリッツァー賞受賞作品。  本人はインド人の両親を持ちながらアメリカで育った二世。ゆえにインド移民の視点で話を描いているが、それに閉じずに移民を受け入れる側の視点やインド本国での話など様々な視点の短編が用意されている。話は繋がっているわけではないが読了後にテーマがふわっと浮かび上がってきて単純に短編をまとめただけでは出ない奥深い味わいがにじみ出ている。しかも移民の話だとカルチャーギャップでゴリゴリ押していきそうなものの、それはファクターでしかなくてあくまで人間同士の関係(特に夫婦)にフォーカスしている。インドだからといって身構える必要がない普遍的な物語としての強度がある。大きな事件が起こっているわけではないのに、ここまでオモシロく感じるのは生活の描写が丁寧だからなのか。思いもよらないところで話が終わるので独特の余韻が残って「おぅ…」と思わず言ってしまいそうになる。たとえば1つ目の「停電の夜に」というタイトルは「なんか心の温まりそうな話」というイメージを持つと思うけど派手に裏切っていく。これに限らず話を宙ぶらりんで終えてしまう潔さがかっこいいと思った。 僕が本著が特別だなと思うのは、一時的な関係性が人生にもたらす不思議な感覚のオモシロさを描いている点だと思う。学生が下宿した先にいたおばあさん、小学生の頃のベビーシッターのおばさん、旅行ガイドが遭遇する家族。思い出せばあんな人がいたなという人間独特の感覚がとても刺激されたし、市井で生きる人間の人生が一番魅力的でやっぱりオモシロい。

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2020/04/18

内容が似てるとかではなく、ヤマシタトモコさんの漫画とか、関係性や雰囲気を描く小説や漫画を好む方はこれも好きなんじゃないかと思うほどの描き方……文化の違いや国際性を振りかざす小説ではない。小説や海外の作品をそもそもそんなにという方も短編集だし読んで欲しいよ……。 幸せなだけでも悲...

内容が似てるとかではなく、ヤマシタトモコさんの漫画とか、関係性や雰囲気を描く小説や漫画を好む方はこれも好きなんじゃないかと思うほどの描き方……文化の違いや国際性を振りかざす小説ではない。小説や海外の作品をそもそもそんなにという方も短編集だし読んで欲しいよ……。 幸せなだけでも悲しいだけでもない、心の揺れ動きやすれ違いや思い合う関係性を描写した繊細さと大胆さというか。 表題作がいちばん好きだったかな……。以下、心に残った「ここをこういう風に描写するのか……」とセンスにうっとりしてしまったところを書いておきます。解釈が拙いのは気にせずに。 表題作『停電の夜』では、かつての妻の作り置き料理(とても凝っていた)を消費し作らなくなった妻に代わって作ってみたりする夫、という描写で2人それぞれと、関係性や時間の変化を描くところ。実際の時間の経過より遥かな時が経ったような。そして停電とそこでの打ち明け話という非日常に対する向き合い方の2人の違い。ネタバレしたくないけど安易にしないところが好き。 『ピルザダさんが食事に来たころ』は、ピルザダさんの描写が、その当時のわたしの幼い目線にきちんと合った印象しか語られないこと。もちろん多少の補足はあっても、ピルザダさんの真意が多く伝わってくるわけでもないし、始まりについても終わりについても感傷に浸りすぎてない。もらったお菓子、自分がコートをかけていたこと。その描写で語るところ。 『病気の通訳』は、登場人物のかっこわるさ。仲の悪さ。極悪でもなく善でもないままならなさ。動物も子供も可愛く描かないところ。 『本物の門番』と『ビビ・ハルダーの治療』は、どちらもメインになる人物がやっぱり決していかにも性格が良いタイプではないところ。こういう話を、性格の悪さ?を地の文章で感じさせず味がある話にできるのは書き手が決してキャラクターを見下していないからだなと思う。 『セクシー』『神の恵みの家』あたりは大人女性向けの漫画とかであっても不思議じゃないくらいだよね………家に置いてあるもの、服装、2人が食べるもの。一緒に過ごすこと、恋愛をすることの滑稽さと悲哀。大人っぽく振る舞っていても傍から見たら質の悪いおもちゃみたいな不倫での喜び。逆にどんなに子供っぽくても暮らしの匂いがする夫婦の喜び。そのどちらの描写も絶妙。 『セン夫人の家』『三度目で最後の大陸』は、夫婦の間での上手くいかないこと、他人とぎこちなく知りあったりすること、とかそういう描き方がお上手だなと思った。 どれも好きだけど、やっぱり表題作が好きだな。号泣してしまった。久しぶりに、胸がぎゅーーーっと苦しくなりました。絶対他の作品も読む。

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2020/01/29

すっごく良かった。 どの小説もとても静か。 こういう小説に出会えて心の底から幸せ。 「停電の夜に」 「ピルサダさんが食事に来たころ」 「病気の通訳」 「セクシー」 「セン夫人の家」 「三度目で最後の大陸」 が特に印象深い。 どれも情景が目に浮かぶ。

Posted byブクログ

2019/09/29

両親とも、カルカッタの出身。様々な視点、立場から人生の悲喜こもごもを見ている。 お涙ちょうだいというよりは、人生を客観的に見ており、不思議な感じがする。

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2019/05/11

やるせない。 9編の短編のうち、8編がやるせない。 やるせなすトップは 3番目の「病気の通訳」 タイトルになった「停電の夜に」を読んだ時、なぜか松田聖子と神田正輝の離婚を思い出した。 最後の「三度目で最後の大陸」で救われた。

Posted byブクログ