停電の夜に の商品レビュー
短編集苦手だけれど、これは読んでよかった。インド人男性の真面目で心優しくセクシーなところが描かれていて素敵だし、インド料理がどれも美味しそうでおなかが鳴る。 じぶんが、登場人物のように移民でなくても、ひとと出会い、悩み、別れるという誰しも遭遇することが丁寧に描かれているから感情移...
短編集苦手だけれど、これは読んでよかった。インド人男性の真面目で心優しくセクシーなところが描かれていて素敵だし、インド料理がどれも美味しそうでおなかが鳴る。 じぶんが、登場人物のように移民でなくても、ひとと出会い、悩み、別れるという誰しも遭遇することが丁寧に描かれているから感情移入できて、胸にあついものを感じる。
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CREA で、中谷美紀が紹介していたので借りてみた。 途中まで読んだけど、面白さがいまいちわからず、そのまま積ん読。
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今の勤務先には、たくさんのインド人がいる。IT、ファイナンスに特に多いようだ。エレベータに乗ると、インド人と乗り合わせる率がかなり高い。乗り合わせなくても、彼らの香水が残り香として”乗って”いることもよくある。 彼らを集団で見かける場所は社員食堂だ。うっかりすると、ぐるりと取り...
今の勤務先には、たくさんのインド人がいる。IT、ファイナンスに特に多いようだ。エレベータに乗ると、インド人と乗り合わせる率がかなり高い。乗り合わせなくても、彼らの香水が残り香として”乗って”いることもよくある。 彼らを集団で見かける場所は社員食堂だ。うっかりすると、ぐるりと取り囲囲まれてしまうことがあり、どぎまぎする。この社員食堂で初めて見たが、彼らの多くはカレーを弁当で持ってきている。四つにきっちり折りたたんだチャパティは箱型のジップロックに入れ、電子レンジであたためたカレーをつけて、食べている。 「停電の夜に」を読みながら、勤務先のインド人たちの心の内側を、初めてすこしだけ理解できたような気がした。異文化の地で暮らす心細さ、故郷の味や言葉、習慣への郷愁の強さを垣間見ることができた。 もちろん、「停電の夜に」の素晴らしさはそれだけではない。見過ごしがちな日常の些細なできごとへの観察眼、心配り、意味付けあってこその表現は、度々琴線にふれ、はっとさせられるものがあった。 折にふれ読み返したい、たいせつで香り高い物語がぎっしりと詰まった、スパイスボックスのような短編集である。
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『アメリカとインドの狭間に身を置いた人々の、いつもの暮らしの中に生じた悲劇や喜劇(訳者あとがきより)』を描いた短編集。 全く異質なものとの関わり(移民一世や二世のホームではない国での暮らし、他人との結婚生活等)を通じて、人生の節目になることや感情が揺さぶられた思い出が淡々と描...
『アメリカとインドの狭間に身を置いた人々の、いつもの暮らしの中に生じた悲劇や喜劇(訳者あとがきより)』を描いた短編集。 全く異質なものとの関わり(移民一世や二世のホームではない国での暮らし、他人との結婚生活等)を通じて、人生の節目になることや感情が揺さぶられた思い出が淡々と描かれている。 生活や心理の描写が緻密で、本当に表現が上手い。美化することも誇張することもなく、でも優しい目線で、人間一人ひとりのありのままの人生を伝える文章。 私のお気に入りは、若いOLが不倫関係にピリオドを打つ決断をする「セクシー」、アメリカ生活への適応に苦しむインド系夫人と、彼女の家に預けられた白人の少年の暮らしを描いた「セン夫人の家」。
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決して甘くない、日常の一場面を、淡々と描き、 それでいて、その中に生きる人々の感情を生々しく浮かび上がらせる筆者の筆致に、胸が騒いだ。 「停電の夜に」「セクシー」の2作には特に揺さぶられた。 「三度目で最後の大陸」には前向きな余韻をもらった。 全体的に、訳が物語の雰囲気に合ってい...
決して甘くない、日常の一場面を、淡々と描き、 それでいて、その中に生きる人々の感情を生々しく浮かび上がらせる筆者の筆致に、胸が騒いだ。 「停電の夜に」「セクシー」の2作には特に揺さぶられた。 「三度目で最後の大陸」には前向きな余韻をもらった。 全体的に、訳が物語の雰囲気に合っていたと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「その名にちなんで」を先に読んでいたので、この人の世界観が理解しやすかったです。 ”停電の夜に”では、会話がなくなってしまった夫婦に、停電をきっかけとして、会話が戻り、何かを期待する夫なのだけれど、数日で元に戻るほど、現実は甘くなかったと気づいた時の、妻への小さな仕返し・・・。 ”三度目で最後の大陸”は、遠い大陸からアメリカにやってきた主人公が、100歳を超える、すこしボケた家主との交流を通して、アメリカに、そしてインドからやってきた妻との生活に馴染んでいくというような、心温まる話でした。
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インド系アメリカ人女流作家のデビュー作。 異郷に暮らす家族たちの深い物語。留学していた時に何度も読み直した珠玉の短編集。 向田邦子のような些細な日常を見事に小説にした手法は、秀逸。 それ以上に、お腹が空く短編集だとおもう。
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停電の夜に、ボタンをかけ違った夫婦が一つずつ秘密を打ち明ける。 少しずつ距離を縮めてきたと思っていたが、最後に妻から打ちけられるのは、悲しい事実。そしてそれに応じて夫も一生黙っているつもりだった事実。。寂寞たる気持ちにさせられた。 少し物悲しく、心の琴線にふれる短編集。長編が読ん...
停電の夜に、ボタンをかけ違った夫婦が一つずつ秘密を打ち明ける。 少しずつ距離を縮めてきたと思っていたが、最後に妻から打ちけられるのは、悲しい事実。そしてそれに応じて夫も一生黙っているつもりだった事実。。寂寞たる気持ちにさせられた。 少し物悲しく、心の琴線にふれる短編集。長編が読んでみたい。
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今年のマイベスト小説 人間はこんなにも悲しみと切なさに満ちあふれているんだな、としみじみ思いました。 切り取られた場面は、どれも何気ない日常なのに。 それでいて、読み終わった後 自分の周りの景色が少し変わったような気がします。 既婚者におすすめ
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アメリカ社会で生きるインド人の日常、感じる悲哀やせつなさを上質に描く。 心理小説だ。 普段みかけるインド人は日本人と表情が違う。やたら微笑んでいないし、じろりとみられる感じはしないだろうか。ところ、その心は日常の機微は全く変わらないことがわかる。著者の観察眼が光る。 こういう小説...
アメリカ社会で生きるインド人の日常、感じる悲哀やせつなさを上質に描く。 心理小説だ。 普段みかけるインド人は日本人と表情が違う。やたら微笑んでいないし、じろりとみられる感じはしないだろうか。ところ、その心は日常の機微は全く変わらないことがわかる。著者の観察眼が光る。 こういう小説なら何冊でも読みたい。 ラヒリは美人に見えるぞ。
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