プレーンソング の商品レビュー
やっと保坂さんのデビュー作を読みました!遅くなってしまい、とってもごめんなさいって感じです!Oくんが、「保坂の文体は色気がある」と仰っていて、そこを意識して読むと、ああ、確かにこれは色気があるのかなあって思うわけです。でも、色気を感じるには私はまだまだいろんな作家、いろんな本の読...
やっと保坂さんのデビュー作を読みました!遅くなってしまい、とってもごめんなさいって感じです!Oくんが、「保坂の文体は色気がある」と仰っていて、そこを意識して読むと、ああ、確かにこれは色気があるのかなあって思うわけです。でも、色気を感じるには私はまだまだいろんな作家、いろんな本の読み込みが足りていなくて、比較対象として島田雅彦を置けば、確かに島田さんの文章には色気はないなあというのはわかるんだけど、保坂さんのがどんだけ色っぽいかっていうのがわかんないのね、まだ。それって、とってももったいないよね。今まで保坂さんとか、島田さんとか、そういった現代も生きてる日本の作家の本ってあんまり読んできてなくて、だから苦手分野だったんだけど、みなさんにいろいろ教えてもらって、とっても関心が芽生えてきているところなので、これはきっとチャンスですね。チャーンス。就職活動を言い訳にして、本を読まなくなる事態はなんとしても避けたいところです。 再読。2014年6月29日、Yさんがちょうど大阪から泊まりにきてた朝に読了。こんな話だったけか。ラストのたゆたうような心地よさ。 四方田犬彦の解説の中から、 ・・・わたしは少し意地悪くのっけから一九八六年と記しておいたが、小説の本文にはそれを明言する記述はひとつもなく、読者はそこに散乱している様々な記号から、曖昧に時代を設定することを求められるのである。保坂和志と村上春樹を決定的に隔てているのは、この点である。同じ過ぎ去った過去を描くにしても、村上は一九七二年とか、三島由紀夫事件といったふうに、厳密に歴史的時間軸を導入し、それに依存する形でノスタルジアを紡ぎあげていく。保坂はその逆に、すべてを曖昧に朦朧として場所に置いてしまい、いうなればノスタルジアの心性を結晶化させない。彼の言葉を借りるならば、これは「からだのどこかにしまい込まれていた記憶が何か形あるものとしてではなく全体の何かのように侵み入るようにか浸み出すようにかして戻ってきた」感じで書かれた作品なのだ。
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困ってしまいますね。 著者自身が作中人物に語らせているように、何事も起こらない物語を書こうとしているので、あらすじを書くことさえ諦めるしかなく。 では、文章が良いかといえば、むしろ悪文でしょうね。途中で否定が入りながらだらだら続く独特の文体で、読み始めは苦労します。慣れると独自の...
困ってしまいますね。 著者自身が作中人物に語らせているように、何事も起こらない物語を書こうとしているので、あらすじを書くことさえ諦めるしかなく。 では、文章が良いかといえば、むしろ悪文でしょうね。途中で否定が入りながらだらだら続く独特の文体で、読み始めは苦労します。慣れると独自のリズム感が出てくるのだけど。 でも「何か」があるんですよね、引き付けられるものが。まあ、空気と言うしかないようモノなのですが。 変な小説です。
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これは、なんだ ふつうなのに新しい 空気かん?なんなんだろう・・・すごいな とうめいなかんじの空気を吸ってしまう ねこのはなし ねこと、ねこといっしょにはくらしていないひとびとのそれぞれのはなし みんなリビングにそろったときにしかそれぞれを発揮しない ひとりしかしゃべっていないの...
これは、なんだ ふつうなのに新しい 空気かん?なんなんだろう・・・すごいな とうめいなかんじの空気を吸ってしまう ねこのはなし ねこと、ねこといっしょにはくらしていないひとびとのそれぞれのはなし みんなリビングにそろったときにしかそれぞれを発揮しない ひとりしかしゃべっていないのにみんないる とおくからみているみたいなのにそこにいるみたい よくわからない この新しい感はおぼえていたい こういう文章もありなのか、これもありなのか、これもありなのか 90年代のわかものたちも十分にカジュアルでとうめい ディスコにばかりはひたっていない ていうかちょっと想像していた時代じゃなかったんかなーというかすごいふしぎ とにかく新しい これよんであたらしいとおもわんくなったらわたしはだめだとおもうくらい
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いちいち描写が細かい。 でもなんか、のんびりしている。 ずっと終わらなければいいなと思える、 可愛い猫も出てくる小説。
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阿部ちゃんの対談集や、高橋源一郎が絶賛しているのを読んで、読もう読もうと思っていた保坂和志のデビュー作。 やっと読みました。 実は学部の先輩だったりして。 解説にも書いてあるけど、これは「究極のリアリズム小説」です。 僕にとっては、初体験の非常に新しいジャンル・...
阿部ちゃんの対談集や、高橋源一郎が絶賛しているのを読んで、読もう読もうと思っていた保坂和志のデビュー作。 やっと読みました。 実は学部の先輩だったりして。 解説にも書いてあるけど、これは「究極のリアリズム小説」です。 僕にとっては、初体験の非常に新しいジャンル・文体の小説でした。 「何てことない日常を何てことない日常としてリアルに描きつつ、焦点を絞らぬ独特の「注意深さ」を発揮して、言語に頼っていては決して届かない日常の微妙な「細部」の発見に成功する。」 (解説より) この解説の言葉にあるように、一見この小説は「何も起きない」のだ。 一見と言うか、実際に「何も起きない」。 ただただ日常を書き連ねている。 それが新しいし、「フィクション」である「小説」にとって革命的な試みなのかもしれない。 って事で評価の難しい小説。 決して「おもしろい」とは思わない。 でも「すごい」かもなぁ。
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明日地球が滅びようとも、私は朝起きて、朝食を食べ、ピアノを弾き、昼食を食べ、昼寝をし、犬の散歩に出かけ、夕食をつくり、家族で夕食を食べ、読書をし、眠りにつくだろう。 日常の小さな幸せにこそ、私は魅力を感じる。
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もう5回は読んだんじゃないだろうか、これは。高校時代か大学入ってすぐの頃かいつか忘れたけれど、この本を読んでからこのおっさんの虜になってしまった。スラムダンクの最後の方ってのが、全く台詞無しで本当に画の力だけでどばーっと突き進んでしまうことで漫画の極みを魅せてくれたのに対し(そう...
もう5回は読んだんじゃないだろうか、これは。高校時代か大学入ってすぐの頃かいつか忘れたけれど、この本を読んでからこのおっさんの虜になってしまった。スラムダンクの最後の方ってのが、全く台詞無しで本当に画の力だけでどばーっと突き進んでしまうことで漫画の極みを魅せてくれたのに対し(そう考えるとそこから井上さんがバガボンドでどんどんカムイ伝みたいな方向に走り出したってのはあの頃からある程度の布石があったのかもしれないなぁ)、このプレーンソングの最後の方ってのは、登場人物たちの台詞だけで小説を進行させるというスラムダンクとは対極の方法で小説の極みを僕に魅せてくれたと思う。あと、特に好きな台詞ってのがあって、それっていうのは主人公がよく電話をかける相手のゆみ子さんのこの台詞。「そうかあ。いままでそういうことも知らなかったんだ。猫なんかどうでもいいと思ってる人は、見ないものね。それはたいした進歩かもしれないなあ。でもね。あなたの事情は猫には関係ないから。もともと猫は、猫の見えてない人相手に歩き回ってるわけじゃないから。あなたに猫が見え出してはじめて、猫にもあなたが存在するようになっただけだから。やっと、あなたは存在をはじめたばかりなのよ。初心者」そういう考え方があったのか、と驚いた、これは。(06/9/10)
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やっぱテンポいいんだ。ラストの方でヨットだかボートに乗ってみんなで海にでかけるんだけど。ページで言えば7〜8分、ぜんぶ会話。ずっと途切れないで会話だけ続いてる。共同生活の部分もいいけど、海のシーンは実にいい。猫が登場してくるっていうかキーになるんだけど、文庫本の最初のページめくる...
やっぱテンポいいんだ。ラストの方でヨットだかボートに乗ってみんなで海にでかけるんだけど。ページで言えば7〜8分、ぜんぶ会話。ずっと途切れないで会話だけ続いてる。共同生活の部分もいいけど、海のシーンは実にいい。猫が登場してくるっていうかキーになるんだけど、文庫本の最初のページめくると、保坂和志さんはちゃんと猫抱いて写っているんだ。これがまたすんごい似合っている。猫好きなんだろうなあ。著者の作品を見たのはこれが初めてだったんだけど、その前にこの方のエッセイを読んでたんだ。「小説をかきあぐねている人のための・・」これがいい。岡本太郎先生みたいなんだ。「書きゃいいんだよ。書きゃ!それでいいのだ。」みたいな。ボクは、プレゼンで使う資料のまたその補足資料みたいな細々したやつがあんま好きじゃないんだけど。まあいいか。あの資料の文面みてるとちょっとわざわざ難しくしているような、やった気になってるだけじゃねえか?って気がしてならないと常々思っているんだけど。誤魔化されちゃう。保坂和志さんの小説入門エッセイはすごくシンプルで説得力あるんだ。それでいて一番の近道を優しく教えてくれてるなあって思ったんだ。あ、横道それちった。
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淡々とつづられるぼんやりした日々 何かが足りないような・・・でもプレーンソングだからそれでいいのか? 最後に海に浸かって展開する描写なしの会話だけで進むところ ああ、ある一時期になんとなく集まって なんとなく飲んだりなんとなく遊んだり ダラダラと過ぎる時間の中でこういうハッとする...
淡々とつづられるぼんやりした日々 何かが足りないような・・・でもプレーンソングだからそれでいいのか? 最後に海に浸かって展開する描写なしの会話だけで進むところ ああ、ある一時期になんとなく集まって なんとなく飲んだりなんとなく遊んだり ダラダラと過ぎる時間の中でこういうハッとするほど奇跡のように輝く 瞬間(大げさ)ってあるよなーと思いました
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異なった「旋律」たちが、シンプルに 幸福に 絶妙に、共存・共鳴する 煩くなくて最高に心地よい曲みたい。猫も人も、この同じ曲のなかで 融合する。 好きー
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