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ドキュメント屠場 の商品レビュー

3.8

29件のお客様レビュー

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2013/01/30

屠場、というと、部落差別の問題、同和問題と当然、深い関係がある。そうしたことも含めた労働争議のドキュメント、というつもりで、居住まいを正してページを開いたら、暗く重い印象がとても少ない、仕事に対する誇りを持った職人たちのインタビューが大半を占める内容で、とても新鮮だった。 実際に...

屠場、というと、部落差別の問題、同和問題と当然、深い関係がある。そうしたことも含めた労働争議のドキュメント、というつもりで、居住まいを正してページを開いたら、暗く重い印象がとても少ない、仕事に対する誇りを持った職人たちのインタビューが大半を占める内容で、とても新鮮だった。 実際にどんな仕事ぶりだったのか、現在ではどうなのか、どんな技術やチームワークが必要なのか・・・目の当りにしたことはないが、図や写真も交えつつ丁寧に解説してある。そこで働く人たちの技術の腕は、何年も修行してようやく培われる、努力の賜。機械ではできない、人間ならではの力加減が必要な現場で働く人々は、チームワークを大切にする誇り高い職人さんたちだったのだ、ということがよく分かるドキュメントである。 現代の関東では、少なくとも私の周辺では、屠場への差別を見聞きすることはほとんどないが、それは差別がないからなのか、隠されているからなのか・・・? 労働者の意見のひとつに、「『こんな仕事ですよ』と紹介するドキュメント番組でもあれば理解が得られるのに」というものがあったが本当にその通り。理不尽だった歴史も含めて、特別視しないことから始められる時代でありたい。

Posted byブクログ

2014/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

泳ぐマグロと切り身のマグロは結び付けて想像できる。けれど、牛や豚はどうでしょう。屠場というのは、まさに、生きた牛・豚と切り身の牛・豚の間にあるもの。 その実態は世間から見えにくいものだったために、屠場はあたかも大量殺戮工場というような、恐ろしいものとして語られがちだったようです。まあ、牛や豚には頭も手足もあるし、人間にある程度近いものだということもあるのでしょうが・・・。 そんな中でこの本は、屠場の労働者、そして屠場と言う解体工場の特殊さを教えてくれます。つまり、工場は流れ作業なのだけど、そこには人の手でしか出来ない仕事があり、そうしたプライドから労働者たちが結束をしていて、一人一人が生き生きと仕事をしているということです。 穢れと言う文化、部落問題という社会問題、また劣悪な労働環境を覆す労働組合の運動など、屠場を通じていくつかの問題が提示されています。面白い本だと思います。

Posted byブクログ

2012/07/07

品川駅の長いトンネルを抜けるとそこは屠場だった。場長は訴える、無くすべき差別と偏見があるのだと…。「屠場では鳴き声以外捨てるところがない」という…そんな現場を支える誇り高き仕事師たちに向けられる差別とは?当事者だからこそ語り得る言葉とその行動に力がこもる。

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2013/07/28

(1998.07.18読了)(1998.06.23購入) (「BOOK」データベースより)amazon 屠場―。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と、いわれなき職業差別と身分差別にさらされな...

(1998.07.18読了)(1998.06.23購入) (「BOOK」データベースより)amazon 屠場―。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と、いわれなき職業差別と身分差別にさらされながら、合理化の波に抗して伝統の技と熟練を守りつづける誇り高き労働者たちの気概を、反骨のルポライターが描く。 ☆関連図書(既読) 「生きるための101冊」鎌田慧著、岩波ジュニア新書、1998.06.22

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2011/11/08

「牛を屠る」を読んで屠場についてもっと知りたいと思い選んだ本 屠場の労働者たちは技術者として誇りを持って仕事をしている 皆が技術を磨く環境は自然と師弟関係に似た上下が出来上がり、 共に働く仲間のためを考えた作業をし、 そういうことが人間関係の良さにつながるようだ 偏見が多く、...

「牛を屠る」を読んで屠場についてもっと知りたいと思い選んだ本 屠場の労働者たちは技術者として誇りを持って仕事をしている 皆が技術を磨く環境は自然と師弟関係に似た上下が出来上がり、 共に働く仲間のためを考えた作業をし、 そういうことが人間関係の良さにつながるようだ 偏見が多く、キツイ仕事にもかかわらず そこで働く人たちの姿が生き生きとして見えるのは やはり屠場での仕事に誇りを持ち 頑張ればスキルが上がっていくというやりがいがあるからだろう この本を読んだらなんだか包丁を研ぎたくなった(笑)

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2011/10/18

『屠場―。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。』そこで働く人たちや労働現場の実情を詳細に取材したドキュメンタリーです。 先日、ある肉屋で自分が住んでいるところにある食肉加工場(現在ではこういわないと通じない)を見学するにはどうすればいいのか...

『屠場―。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。』そこで働く人たちや労働現場の実情を詳細に取材したドキュメンタリーです。 先日、ある肉屋で自分が住んでいるところにある食肉加工場(現在ではこういわないと通じない)を見学するにはどうすればいいのか?ということを店の従業員に尋ねてみたのですが、あまりいい回答はかえって来ませんでした。僕の個人的な考えとして、牛、豚、鶏などの家畜が食肉になる課程を知らずして、肉がうまいというのはやっぱり疑問なんですよ。 僕はこのサイトの中でも以前こういう仕事に従事していた人間の手記を挙げていたり、動画サイトで屠畜の様子を見てはいるんですけれど。やっぱり実際にその場を見させていただいて、現場のにおいや音、そして、熱気を一度感じてみたいと切に願っています。今回紹介するこの本は、芝浦食肉加工場を中心に食肉産業に従事する労働者や食肉はもちろんのこと、副産物として出る内臓や革がどのような課程を経て『商品』となっていくというのかを丹念に追っています。 そして、『屠師』とかつては呼ばれた職人たちの話はどれもやっぱり面白く、過酷でかつ非常に技術のいる労働に対する誇りと、日本での食肉産業にかかわる歴史や差別に関する実情が垣間見えて、興味深く読むことができました。 その中でも複数のナイフを使い分けて、皮をはぎ、骨から肉をはずし、余計な筋を引いて、ひとつの『おいしいお肉』にする技術は一朝一夕には身につかない『職人仕事』なんだなと思いました。彼らの仕事に深い敬意を表するとともに、こういう仕事があるからこそ、自分たちが肉を食べられるということをみなさまにも知ってほしいと、切に願っております。

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2011/07/30

ほんとに淡々とドキュメントって感じで、心を揺さぶられたいとか思って読むと肩透かし食らう感じはあります。でも労働ってそういうことだと思います。何も特別なものなんてない

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2011/07/20

牛や豚など、やがて屠畜されるのだと想像してしまうような広告はやめてほしいというメッセージを消費者から受け取ったと、食品会社関係の仕事をした時に聞いたことがある。 それを聞いた時、ものすごく釈然としない気持ちになった。そしてこれほど肉が食べられている現在なのに、もともとは牛なり...

牛や豚など、やがて屠畜されるのだと想像してしまうような広告はやめてほしいというメッセージを消費者から受け取ったと、食品会社関係の仕事をした時に聞いたことがある。 それを聞いた時、ものすごく釈然としない気持ちになった。そしてこれほど肉が食べられている現在なのに、もともとは牛なり豚なり鶏なりを屠畜したのだということが、日常生活においてまるで実感できないのは、考えてみれば奇妙な話だとも思った。 まあ、魚でさえも、スーパーに並んでいる切り身がそのまま海を泳いでいると思い込んでいる子どもがいるというので、これはもう肉だけの話ではないのかもしれないけれど。 ともかく、そんな話を聞いてから、すごく屠畜のことを知りたくなった。ちょうどそのころ、「いのちの食べかた」という映画が話題になっていたので、余計に知りたい気持ちになっていたのかもしれない。 そうした中で、選んだ一つがこの本だった。 屠場というか、とにかく精肉に関する仕事については、いろいろ複雑で根の深い事情があることは何となく知っているので、正直、読む前はちょっと緊張していた。でもこの本では、屠場で働く人たちを“熟練の職人”としてリポートしているのが魅力。現場の人だからこそ語れる仕事の苦労や醍醐味といった話に、読みながらどんどん引き込まれた。 特に、まるで工場見学に行って「すごーい!」と感心したみたいに印象的だったのが、東京芝浦と横浜の屠場のリポート。労働者たちの仕事に対する誇り高さ、自負、連帯感が、なんだかとてもまぶしいのだ。ナイフなど仕事道具へのこだわりや、「おいしいかどうかは、放血の闘い」といった重要な手順の説明などに、これは確かに「職人の世界だ」と深く感心してしまった。 そして、これはもしかしたら“思い過ごし”な感想かもしれないが、東京芝浦と横浜の屠場のリポートは、後からリポートされる大阪や徳島の屠場に比べてカラッとしているというか、仕事に対する周りの捉え方に陰湿な感じがしないのが新鮮だった。大阪や徳島の屠場の労働者たちも仕事に誇りを持っていることに変わりはないのだが、何というか、周りの仕事に対する差別や偏見が、芝浦と横浜に比べて強く感じられたというか。もちろん、芝浦と横浜の屠場を取り巻く周囲にも、差別や偏見がまったくないわけではないのだが。 生き物の命をもらうということでは、魚だって肉だって、そして野菜だって変わらない。鮪の解体ショーとまではいかなくても、卓越した職人技でもって新鮮な精肉が手に入る過程が、もう少し世間一般に知られてもいいのではないか。知られた方が、「ものを粗末にしない」という気持ちにつながるのではないかと、思ったのだった。

Posted byブクログ

2011/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 屠場―。 そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。 日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と、いわれなき職業差別と身分差別にさらされながら、合理化の波に抗して伝統の技と熟練を守りつづける誇り高き労働者たちの気概を、反骨のルポライターが描く。 [ 目次 ] 日本一の食肉工場―東京・芝浦屠場 「職場の主人公は労働者だ」―横浜屠場 仕事師たちのゆくえ―大阪・南港市場 「自由化」という逆風のなかで―四国日本ハム争議 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2010/04/14

食肉に携わる職人、差別問題、簡単には書けない大変難しいテーマゆえに、焦点をぼかしているのかと思う。 捕鯨やイルカ問題あります、でも、それ以前に牛をみな食ってんだから基本読むべし。

Posted byブクログ