文庫版 姑獲鳥の夏 の商品レビュー
読書の楽しさを忘れていた私を、其の世界へと再び誘引した作品。 鮮烈に惹き込まれていったあの感覚は、今でも忘れられない。 妖しさ、美しさ、儚さ、哀しみ、其処に在る世界。 ある種、驚愕の感を禁じ得ない著者の文章は、余りにも強く、私の心を打った。 この作品、この著者に依って、活字と云う...
読書の楽しさを忘れていた私を、其の世界へと再び誘引した作品。 鮮烈に惹き込まれていったあの感覚は、今でも忘れられない。 妖しさ、美しさ、儚さ、哀しみ、其処に在る世界。 ある種、驚愕の感を禁じ得ない著者の文章は、余りにも強く、私の心を打った。 この作品、この著者に依って、活字と云うものの概念を大きく変えられた、思い入れ深い一冊。 日本語とは他のどんな言葉よりも美しいと、再確認する。
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「この世には不思議なことなど何もないのだよ…。」と京極堂は言ってますが、この分厚さの文庫はすでに不思議の域。それにあっさりハマってる自分も不思議(笑)
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このシリーズを読み始めるきっかけの本. はじめは厚さに戸惑ったけど,読み始めたら最後まで読みきってしまいました.
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やっとこさ読了。自分の読書の遅さを久しぶりに呪った。高1の時が一番早かったのでその時の癖を取り戻さねば。書棚に本が貯まってきたので、未読の本だけを残したら、ほとんど残ってしまった。もとい読了の本は人に譲る癖があったのに後で気づいた。 まず率直な感想。面白いが疲れる。何故こんな...
やっとこさ読了。自分の読書の遅さを久しぶりに呪った。高1の時が一番早かったのでその時の癖を取り戻さねば。書棚に本が貯まってきたので、未読の本だけを残したら、ほとんど残ってしまった。もとい読了の本は人に譲る癖があったのに後で気づいた。 まず率直な感想。面白いが疲れる。何故こんなに長いのだろう。たかだか4・5日程度について書いてあるはずなのにこの厚さは何とやら。読みながら何度も精根尽き果てそうになってしまったのは言うまでもない。実にこの本を読んでいる間に3冊ほど浮気している。 それにしても、トリックうんぬんではなく、人間の感情やらでここまで絡めた推理というのはまったく驚嘆するばかりだ。ミステリーというと、まだミステリーを読み始めて日が浅くて申し訳ないのだが、物理的推理がどうのこうのという発想しかなかったのだが、これはそう言う意味ではまったく異質。登場人物の抱く思想を暴く事が推理となり、事件が明らかになる。これだけ書くとテレビのなんとか湯煙殺人事件のようだが、京極夏彦の持ちネタである民俗学的発想を交えて変な意味「科学的に」彩られると、さらに高尚なものに感じられた。 解説には魅力的な探偵たちについて語られていたが、私にはそこまで魅力的には感じられなかった。なんだか、その魅力があるにしても出し切れていない気がしてならない。 最後に、理系の森博嗣、文系の京極夏彦と言われるのも判らないでもない気がする。森博嗣については文系がどうおもしろがっているのかは疑問なのだが、京極夏彦を理系でおもしろがるのは、私はもちろん理系だが、どうもまだおもしろがる余地がある気がしてならない。森博嗣は完全に楽しめた自信があるのだが、京極夏彦はまだ片鱗にしか触れていない気がするのだ。
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京極夏彦の妖怪小説第一弾。 シリーズを途中から読み始めるとその冗長さに我慢できなくなりますが、これから読み始めればまだイケル。はまればおもしろいですよ。
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京極シリーズで一番好きな作品を挙げる事程、難しい事は無い。 其のシリーズ一番手の作品。 鬱病患者関口君がかなり出張って来るので、感情描写は物凄い。 京極夏彦が如何に凄いかは、これ読めば十分だと思います。
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デビュー作というのは往々にして、何処か垢抜けず、初々しいものである。 とする一般イメージを覆した作品である。 私が好む推理小説は、我々が犯人を捜す物でなく、 『作品中の登場人物が事件を解いてゆく様が描かれている物』 であるので、非常に楽しめた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
娘が二十箇月も身ごもり、そして密室から夫が失踪したという。その噂話を土産に関口は学生時代からの友人である京極堂の店主・中禅寺秋彦を訪ねた。京極堂から噂になっている久遠寺医院へ入婿に入ったのは知人の牧朗(=失踪した夫)と聞かされ、事件は急激に身近なものへと変わる。翌日、関口は京極堂に言われるがまま神保町で探偵を営む榎木津に相談を持ちかけに行く。そこへ久遠寺医院の娘・涼子が訪れた。妹の夫・牧朗を探して欲しいと。 榎木津の妙な質問に首を傾げつつ、関口は久遠寺を来訪する承諾をした。 京極堂の薀蓄が面白いですね。関口よろしく思わず納得してしまう(笑) 友人曰く、この薀蓄が長くて読むのが辛いと言っていたが、ワタシは別に長く感じず、むしろもっとあっても読めるべという感じでした。 でもって、この薀蓄がポイント。これがあるからこそ、あのネタに納得せざるを得ないという(笑) 強引では無く、薀蓄にたたみ込まれたという感じ。まぁ、薀蓄を納得した段階で、ワタシの場合は作者に負けた様なものですね。 普通なら、ありえねぇー!なんですが、それを言うと京極堂から何を聞いていたんだいと確実にまた薀蓄述べられ……いやあの性格だと見放されます(笑) 時代背景はとても好みですね。横溝ファンが金田一モノをこの人に書いて欲しいというのが良く判りました。ただ、ところどころカタカナの使い方がちょっと引っかかった感じかな。些細なことなんですけどね。それに本文通り素直に使うほうが読みやすいし伝わりやすいのは判るので、別に気にするほどのことではないのだが、モノクロオムやヒステリイやイクォールなど旧かな使い(と言うのだろうか?)を使うのならもうちょっとあわせて欲しかったなーという個人的な些細な引っかかり(笑) オチた瞬間に全てが終った。という感じで読んじゃったのですが、ちゃんと密室を解明してるし犯人も動機も綿密にその後に書かれてあります。 でも、オチたあたりが最大の見せ場と勝手に思い込んじゃったので、(当然、必要な部分なのですが)どうしても蛇足感がぬぐえなかった……。 動機面は、そこまで遡るかっ。という感じですけど、理論的かな。理詰めでこられて、勢いで「うん」と頷いた感じもするけど(笑) 妙に胡散臭さが残るのは何故なんでしょうね。確かに納得してるんだけど。煙に巻かれた感じがどうもする。京極堂のキャラの所為かな(笑) 小道具の風鈴の使い方は良いですね。ちらちらと出てくるので気にはなってたけど、ちゃんとお役目を果たした感じがしました。 ちょっとだけネタバレ↓ 【個人的に、屍蝋はちょっと感動。すっぽりとこの単語が頭から抜け落ちてましたからね。最近、こんな死体扱う推理小説無いからなぁ。懐かしくて感動といった感じでした(笑) 京極堂が、果物ナイフのようなものが光ってたという後半の語りで、ぎゃー、と。そうでした。確かに関口は言ってましたね。サラサラ〜と読んだ罰でした。この台詞読んで思い出しました。ちゃんと提示してますね。作者は。でもって、京極堂に必要以上の薀蓄を述べさせているのも作者からの提示ですよね。読みきれなかったなぁ。思い込みというのは駄目ですね。 己の脳が辻褄合わせに適当な答えを在庫から引っ張り出したというべきですかね(笑) 多重人格あたりは読めるし、関口が喰ったのも判るけど、関口視点で書かれてあるのでどうしても書いてあることが事実全てだと流されてしまいました。駄目だー。 まぁ、これがいわゆる叙述というヤツですね。まんまと嵌められました。】 犯人が誰だと追う方がこの小説全体からすれば蛇足……というか無粋かも。それ以外の色付けがとても面白いので、むしろ犯人探しより京極堂の言う「この世には不思議なことなど何もないのだよ」という「不思議」が「無い」という証明を追う方が面白い。 それにつけても、出張ってくる京極堂の風体はオイシイです。鼻緒だけ赤ですかー。 でもって、洗い張りに出したのか……と笑ってみたり。
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流行と聞いていたので避けていたが、読んでみると意外と面白かった。読みやすいしトリックとそこに持っていくまでの解説の仕方が見事
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