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イン・ザ・ペニー・アーケード の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2011/07/02

気に入った順に 「アウグスト・エッシェンブルグ」 「橇滑りパーティー」 「湖畔の一日」 アウグストが作った精緻なからくり人形が並ぶプライゼンダンツの通り。ウィンドウを覗きこむ通行人たち…。特に知識もない世界なのにありありと目に浮かぶのは、ミルハウザーの筆の力?

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2011/03/02

ミルハウザー初体験。柴田氏の訳も美しく、細密画のように繊細で緻密な世界がひっそり花咲く箱庭を覗いたような印象。物語のスタート時とゴール時の世界の変化という意味では大きなドラマのない作品ばかりだが、外側から見ると何の変化も見てとれない日常の一瞬を切り取って緻密に掘り下げる静止画の連...

ミルハウザー初体験。柴田氏の訳も美しく、細密画のように繊細で緻密な世界がひっそり花咲く箱庭を覗いたような印象。物語のスタート時とゴール時の世界の変化という意味では大きなドラマのない作品ばかりだが、外側から見ると何の変化も見てとれない日常の一瞬を切り取って緻密に掘り下げる静止画の連続のような水面下のドラマが、幻想的でもあり現実的でもあり、非常に独特な余韻を残す。そうした短編の中で、冒頭の中編「アウグスト・エッシェンブルク」はドラマ性豊かで起伏に富み、他の作品とまた違う骨太な印象もあって魅力的。ミルハウザーの他の作品も読んでみたい。

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2011/02/18

翻訳者の柴田元幸さん自身による推奨本。 やはりその描写の細密ぶりはよかった。 言葉による細密画。あまりに徹底していて 息苦しくなるほど。 でも小さな囁き声まで聞こえてきそうな。 「湖畔の一日」「橇滑りパーティー」とか、好きだなぁ。

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2010/11/19

くらくらする世界。 緻密に描写された景色。 しかし、流れるような文章で読みやすい。 心地よく流されていくと、不思議で魅惑的だが孤独の陰があり、感傷的な色合いを帯びた異世界に入り込んでいる。 どの話も良かったが、天才からくり人形師の半生を描いた中篇「アウグスト・エッツェンブルグ」は...

くらくらする世界。 緻密に描写された景色。 しかし、流れるような文章で読みやすい。 心地よく流されていくと、不思議で魅惑的だが孤独の陰があり、感傷的な色合いを帯びた異世界に入り込んでいる。 どの話も良かったが、天才からくり人形師の半生を描いた中篇「アウグスト・エッツェンブルグ」は目眩がするような人形たちの世界が蠱惑的で、自分もその世界に囚われたような気分になった。 また、最後の「東方の国」はひと味違っていて、カタログ風に描き出されたパーツを自分の頭の中で組み上げる楽しみがあり面白かった。 他の作品も読みたい。

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2010/09/27

図書館で借りたこの本には、メモが挟まったままだった。 「透明で硬質な壊れやすい心 割れかけた瞬間一番美しく輝く」

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2010/09/18

この本が書店で平積みされることはたぶんないのだろうけど、もっと知られてもいいんじゃないかなあ、と思います。 ひょっとしたら分かってくれるかなあという人がいれば、まず教えてみたくなる本だけど、あんまりそういう人はまわりにいないわけで、自分でも何を基準にそう判断してるのか、よくわ...

この本が書店で平積みされることはたぶんないのだろうけど、もっと知られてもいいんじゃないかなあ、と思います。 ひょっとしたら分かってくれるかなあという人がいれば、まず教えてみたくなる本だけど、あんまりそういう人はまわりにいないわけで、自分でも何を基準にそう判断してるのか、よくわからない。 子供のころの空想というか幻影というか、蜃気楼のような気だるさみたいなものを感じたりします。 「アウグスト・エッシェンブルク」や「湖畔の一日」がお気に入り。

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2010/05/04

アメリカ時代に住んでいた場所から、少し北へ北上するとタスティンというオールドタウンがあって、アンティークを集めた店が何店舗か並んでいた。暇なとき何度か足を運んで、あまりカリフォルニアでは匂うことのできない湿った黴臭さを楽しみにいったものだ。 どこから流れて来たか解らないようなス...

アメリカ時代に住んでいた場所から、少し北へ北上するとタスティンというオールドタウンがあって、アンティークを集めた店が何店舗か並んでいた。暇なとき何度か足を運んで、あまりカリフォルニアでは匂うことのできない湿った黴臭さを楽しみにいったものだ。 どこから流れて来たか解らないようなスプーンや鋤、ブリキのプレート、紅茶保温用の総レースカバーなどが、埃をかぶった棚に所狭しと並べられ、異空間を演出、などという小賢しいテクニック抜きで、時空がねじ曲げられテキサスかどっかの農家の納屋に、いきなり迷い込んだような錯覚を与えてくれる。 この本は、まさにそういう煩雑ながらも特定可能な時代・空間を有しているように思う。 作家が文を綴るアプローチはさまざま。最近、海堂尊が「かきあげるときはざっと、推敲フェーズで事実検証する」と話していたが、ミルハウザーは検証なんてしないんだろうな。インナースペースが既に小説だから。 一貫して訴えられているテーマについては、利休の「私が死ぬと茶は廃れる」という言葉を引き合いに出したい。 赤瀬川原平の「無言の前衛」の中で語られる「歪み」について、アウグスト・エッシェンブルグが克てなかった卑猥な人形を類推したい。 「雪人間」は美しかった。ハイブ・リット買うべきか。

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2009/10/04

特にアメリカ文学に興味があるわけでなく,ちょっとした紹介があって手にしたこの本,かなり良かったです. 描写は精緻で,頭の中に世界が広がってくるようです.だけれども,説明的な感じはあまり受けず,すんなりと,しかし,しっかりと読むことが出来ました. 商業主義に敗北する,孤高の芸術家...

特にアメリカ文学に興味があるわけでなく,ちょっとした紹介があって手にしたこの本,かなり良かったです. 描写は精緻で,頭の中に世界が広がってくるようです.だけれども,説明的な感じはあまり受けず,すんなりと,しかし,しっかりと読むことが出来ました. 商業主義に敗北する,孤高の芸術家.事業者との交錯. 誰もがそのシステムに組み込まれる現代でこそ,その価値が高められるんだと思います.

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2009/10/04

三部からなる短編集です。一部は芸術家を主人公とした中編、二部は女性を主人公にした三作品、三部は幻想的な世界を描いた三作品。特に一部の「アウグスト・エッシェンブルク」がツボにきた。大衆に理解されなくて、時代からも忘れ去られようとしている自動人形師アウグストの話なのですが、彼の芸術に...

三部からなる短編集です。一部は芸術家を主人公とした中編、二部は女性を主人公にした三作品、三部は幻想的な世界を描いた三作品。特に一部の「アウグスト・エッシェンブルク」がツボにきた。大衆に理解されなくて、時代からも忘れ去られようとしている自動人形師アウグストの話なのですが、彼の芸術に身を捧げる姿に感動。この話だけでもこの短編集を読む価値があります。

Posted byブクログ

2009/10/04

すごい幻想的でロマンチックなのに、終わりは打って変わって現実的・・・。容赦ないけどそこがいい。アウグスト・エッシェンブルクとペニー・アーケードの話が好き。つか全部良い

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