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戦争論 の商品レビュー

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近代における戦争を「…

近代における戦争を「世界戦争」とし、哲学的解析、新たな問題提起を、圧倒的な文章力で読ませる本。これからの戦争のあり方を考えるのにも、とてもためになります。

文庫OFF

2024/11/02

著者は、20世紀を特徴づけているのは「世界戦争」だと述べています。19世紀までの戦争に参与したのは、かぎられた国家のかぎられた人びとでしかありませんでした。しかし、20世紀に生じた二度の世界大戦では、地球上のあらゆるものが戦争にかかわることを余儀なくされました。総力戦は、私たちの...

著者は、20世紀を特徴づけているのは「世界戦争」だと述べています。19世紀までの戦争に参与したのは、かぎられた国家のかぎられた人びとでしかありませんでした。しかし、20世紀に生じた二度の世界大戦では、地球上のあらゆるものが戦争にかかわることを余儀なくされました。総力戦は、私たちの生活世界に属するいっさいのものを「戦争」へと投げ込んだと著者はいいます。 また著者は、冷戦は国際間の関係のすべてがそのうちでのみ意味をもつような、われわれの思考の枠組みになったと論じています。ひとたび戦争が起こればいっさいを「戦争」に巻き込んでしまうような状況が現実のものとなりました。そしてこのことは、まさにそうしたしかたで「戦争」が諸国家の行動のみならずわれわれの思考を支配しているということを意味しています。いまやわれわれは、みずからの固有の死を戦争にうばいとられてしまっているのです。 こうした現代の状況にあって、バタイユは「戦争」を「内的体験」として把握する思索を展開しています。彼は、自己をうしなう「内的体験」のさなかにおいてわれわれが出会うことになる非人間的な「現実」を見いだそうとしたのです。著者はこうしたバタイユの思想の意義を高く評価するとともに、現代のわれわれが身を置いている世界についての根本的な立場からの考察をおこなっています。 さらに著者は、坂口安吾の『ふるさとに寄する讃歌』にも、非人間的な「現実」を見いだしています。ノスタルジーをいだきながら「ふるさと」を再訪した安吾にとって、「ふるさと」は不気味な異郷として立ち現われます。著者はフロイトおよびラカンの「不気味なもの」をめぐる議論を参照しつつ、非人間的な「現実」としての「ふるさと」が、安吾にとって「書くこと」の出発点だったと論じています。

Posted byブクログ