アポロ13号 奇跡の生還 の商品レビュー
水なし、酸素なし、エ…
水なし、酸素なし、エネルギーなし。おまけに場所は地球から33万キロ離れたマイナス100度以下の宇宙空間。こんな絶望的な状況のなかで一つ一つ困難を乗り越えていく3人の船員とNASAの職員達。「感動」の一言では表せません。
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アポロ13号は、1969年7月にアポロ11号が世界で初めて人類を月に送り込んだ後、1970年4月に行われた、アポロ計画の3度目の有人月着陸計画である。搭乗員は、ジェイムズ・A・ラベル船長、ジョン・L・スワイガート・Jr司令船パイロット、フレッド・W・ヘイズ・Jr着陸船パイロットの...
アポロ13号は、1969年7月にアポロ11号が世界で初めて人類を月に送り込んだ後、1970年4月に行われた、アポロ計画の3度目の有人月着陸計画である。搭乗員は、ジェイムズ・A・ラベル船長、ジョン・L・スワイガート・Jr司令船パイロット、フレッド・W・ヘイズ・Jr着陸船パイロットの3名。発射から3日目、月に接近した地点で、電線のショートが原因で酸素タンクの爆発が起こり、2つあった酸素タンクが2つとも故障、3つあった燃料電池の2つが故障、2つあった電力供給ラインの1つが故障し、酸素、水、エネルギーの深刻な不足に見舞われることになった。想定を超える最悪の状態の中で、搭乗員3人とNASAの管制官達のギリギリかつ冷静な対応により、発射から7日目に無事地球に帰還を果たした。 本書は、その発射から帰還までの7日間を、ニューヨーカー誌のライター、ヘンリー・クーパー・Jrが描いたものである。 尚、本書は1998年出版で、現在絶版である。(私は新古書店で偶々入手した) 内容は、技術的なことにも適度に触れながら、ドラマティックな表現はあまりなく、私はジム・ラヴェル&ジェフリー・クルーガーの『失われた月(日本語版は『アポロ13』)』を原作とした映画「アポロ13」も見たが、ハリウッド映画お決まりのものとは一線を画する。ただ、淡々と描かれているがために、事実が一層リアルに伝わって来るような気もする。 本書から得られる示唆は多々あるが、私が最も強く感じたことは、訳者の立花隆もまえがきに書いている、本当の力と言うのは、想定通りに進んだときに何ができるかではなく、想定通りに進まなかったときに、どのようにリカバリーができるかに現れるものだということである。無論、失敗しないに越したことはなく、このような重大な結果を引き起こす可能性のあることに関しては尚更である。しかし、これだけのトラブルが起こっても、最低限のミッションを果たす(=生還する)というのは、本当の力がないと出来ないことだろう。その力がアメリカにあって、日本にはない(少なくとも、当時は)と言いたいわけではないのだが、物事の本質とはそういうものと、改めて感じるのである。 多くの人が知っておいていい、貴重な記録と言えるだろう。 (2024年1月了)
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アポロ13号が宇宙で船体トラブル。月面着陸は断念し、なんとか地球へ戻ろうとする。3人のクルーとたくさんのNASA管制官の必死の努力の結果、無事生還。専門的な内容が多く、日本語訳なので、読みにくかった。
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アポロ計画における3回目の有人飛行、アポロ13号の挑戦が解説されている一冊。 アポロ13号は起こり得ない事故が起きた宇宙船で、絶望的な生存率での生還を達成したミッションとして知られています。 映画『Apollo 13』では搭乗員3名を主人公に据えることで彼らが主に英雄視されました...
アポロ計画における3回目の有人飛行、アポロ13号の挑戦が解説されている一冊。 アポロ13号は起こり得ない事故が起きた宇宙船で、絶望的な生存率での生還を達成したミッションとして知られています。 映画『Apollo 13』では搭乗員3名を主人公に据えることで彼らが主に英雄視されましたが、実際の司令塔は地上にあり地上スタッフ全員が英雄であったことが本書でわかります。 内容はとても詳細で少々難いと言えますが、想像力を用いて読み進めることができれば現場の状況を何となく理解できると思います。 本来のミッションは有人月面飛行なので大いなる失敗なのですが、死と隣り合わせの状況で手元にある物だけでの生存を達成した出来事とも言い換えることができます。 宇宙船は液体や固体の燃料で飛ばすものですが、人間の気力という非物質が真の燃料であることを実感しました。
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人類が初めて遭遇した絶望的な困難に打ち勝つため奔走した宇宙飛行士と地上のクルーたちの英知と努力には頭が下がる。 特にジーン・クランツ率いるタイガーチーム(ホワイトチーム)の活躍が無ければ帰還はできなかっただろうとも思える。 1995年公開の映画で初めてこの事故を知ったのだが、これ...
人類が初めて遭遇した絶望的な困難に打ち勝つため奔走した宇宙飛行士と地上のクルーたちの英知と努力には頭が下がる。 特にジーン・クランツ率いるタイガーチーム(ホワイトチーム)の活躍が無ければ帰還はできなかっただろうとも思える。 1995年公開の映画で初めてこの事故を知ったのだが、これを見て以来ジーン・クランツは自分にとって最も尊敬できる人物の一人となっている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いわずと知れた月面探査ミッションに失敗したアポロ13号。この軌跡を追跡したドキュメントだ。圧倒的な緊迫感・臨場感で魅了されることは間違いない。訳者の立花氏がいうように、この失敗例こそがアメリカの底力を現しているといって過言ではないのも、頷けるところだ。
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映画「アポロ13」は船長のジム・ラベルが主役だったが、本書の主人公は”真の船長”というべき飛行主任ジーン・クランツだ。 宇宙空間で爆発事故を起こし、月着陸どころか地球帰還まで困難に陥ったアポロ13号を、奇跡的に地球に帰還させるまでの道のりを、主に地上管制官にスポットを当てて記述...
映画「アポロ13」は船長のジム・ラベルが主役だったが、本書の主人公は”真の船長”というべき飛行主任ジーン・クランツだ。 宇宙空間で爆発事故を起こし、月着陸どころか地球帰還まで困難に陥ったアポロ13号を、奇跡的に地球に帰還させるまでの道のりを、主に地上管制官にスポットを当てて記述したドキュメンタリー。 作中、NASAのミッションを大型船にたとえて、「宇宙飛行士はブリッジの航海士で、地上管制官は下甲板の航海士。本当の船長と呼べるのは管制官の1人である飛行主任」と表現している。 実際、(映画でも描かれているが)事故を起こしたアポロ13号を地球帰還に導いたのは、宇宙飛行士だけでなく地上管制官の不眠不休の活躍だ。 彼らがいっさい思考停止することなく、常に先を読んで手を打つことで(結果的に悪手にあっても)状況を改善することにつながった。 その地上管制官チームが能力を発揮できたのも、彼らを統括する飛行主任たるジーン・クランツのマネジメント手腕によるものだ。 本書でも、彼が各分野の専門家である地上管制官を、チームの目的を明確にし、異なる主張を均一に取り扱い、最終的には自身で決断をしつづけている姿が描き出されている。 この優れたマネジメントがあったからこそ、後に「栄光の失敗」と評される奇跡の生還劇を実現できた。 (なお、ジーン・クランツは当時36歳だ。映画「アポロ13」で彼を演じたエド・ハリスは当時45歳) 宇宙ファンのための科学ドキュメンタリーに見えて、実はばっちりチームマネジメントのケーススタディな的な内容。 宇宙飛行士にあこがれる人も、そうじゃない人も、チームで働く社会人には是非読んでもらい一冊。
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一気に読んでしまった。映画も見ているので、 ストーリーもよくわかるが、 淡々とした物語である。 「これだけのことをなしとげる アメリカの技術的底力であり、 組織力である。 そしてそれを支えている若さである。」 「アポロ13号で起きたような とてつもない危機に対応する危機管理能...
一気に読んでしまった。映画も見ているので、 ストーリーもよくわかるが、 淡々とした物語である。 「これだけのことをなしとげる アメリカの技術的底力であり、 組織力である。 そしてそれを支えている若さである。」 「アポロ13号で起きたような とてつもない危機に対応する危機管理能力」 「何よりも巨大プロジェクト、 巨大危機のマネジメント能力が必要」 事故発生→月をまわる。→復路。→帰還。 そのときの決断、 マニュアル作成。 頭の中にしか危機を乗り切る方法はない。
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「アポロ13号 奇跡の生還」を読了。今月17冊目。 翻訳物のドキュメンタリー。13号の乗組員よりは、管制室の方を主軸とした内容。淡々と語られる文章で、過剰に盛り上げることも無く、事実をただ書き綴られた印象の作品。 管制室のメンバーが、24時間4チーム交代なので、登場人物の名前...
「アポロ13号 奇跡の生還」を読了。今月17冊目。 翻訳物のドキュメンタリー。13号の乗組員よりは、管制室の方を主軸とした内容。淡々と語られる文章で、過剰に盛り上げることも無く、事実をただ書き綴られた印象の作品。 管制室のメンバーが、24時間4チーム交代なので、登場人物の名前がはっきりいって頭に入りにくいんだけども、非常事態でもきっちりと交代時間にチームが変わって、それでもきっちり仕事を成し遂げるのが、とにかく凄い。日本的な感覚だと、非常時に通常勤務形態なんてとんでもないと思いがちなんだけど、アメリカはやはり強かった。
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だいぶ昔に「アポロ13」という映画を見ました。 月に向けて出発したアポロ13号が宇宙で事故に遭い、 地球まで帰ってくるというお話。 知ってる人も多いとは思いますが、すべて実話です。 細かい話は忘れたけれども、 感動したことだけは今でも覚えています。 この話を本にした...
だいぶ昔に「アポロ13」という映画を見ました。 月に向けて出発したアポロ13号が宇宙で事故に遭い、 地球まで帰ってくるというお話。 知ってる人も多いとは思いますが、すべて実話です。 細かい話は忘れたけれども、 感動したことだけは今でも覚えています。 この話を本にしたのがコレ。 かなり速いペースで読んじゃったので、 細かいテクノロジーがわからなかったり、 人物がこんがらがっちゃったりしたのですが。 それでもやっぱり、 途中の切迫感とかがリアルに伝わってきたし、 最後、アポロが地球に帰ってきたときは感動しました。 ちなみに、この奇跡を成し遂げたメンバーのほとんどが 20代・30代の人たちだったらしい。。 この人たちが アメリカ一の超精鋭集団だったということはわかっているけれども、 自分とたいして年も変わらない人たちが 困難なミッションをクリアしたってのはやっぱりスゴイ! 自分も、ちょっとでも近づきたいな~って思わされます。 ホントに30年以上前に起こった出来事とは思えない。 追い詰められたトキの人間ってやっぱスゲー!って思えます。 もう一回、映画が見たくなりました。
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