坂の上の雲 新装版(四) の商品レビュー
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旅順攻略における乃木希典と伊地知幸介の愚昧さについて、これでもかというほど書かれている。これが著者の創作によるものなのか、史実なのかはわからない。 ・人間の知恵は勇猛な性格よりも、恐怖心の強い性格から生まれることが多い
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日露戦争における陸戦のターニングポイント、旅順要塞攻略戦。日本軍の中心は乃木将軍とその参謀伊地知幸介コンビ。作者はこの2人を批判しまくること、しまくること。まるで親の仇のようだ。 203高地を攻めなさい、本部をもっと前線に置きなさい、大砲も貸すから使いなさい、兵士は大事にしなさ...
日露戦争における陸戦のターニングポイント、旅順要塞攻略戦。日本軍の中心は乃木将軍とその参謀伊地知幸介コンビ。作者はこの2人を批判しまくること、しまくること。まるで親の仇のようだ。 203高地を攻めなさい、本部をもっと前線に置きなさい、大砲も貸すから使いなさい、兵士は大事にしなさい。といった国内や海軍からの要望を無視して、乃木&伊地知コンビはひたすら旅順要塞に正面突撃を命じては、大量の死傷者を生み出す。いくら小説とはいえ、これほど無能で命令も聞かない指揮官ってアリなのか。 なんだか、ウソみたいな地上戦が繰り広げられる中、ロシア・バルチック艦隊が欧州から出発。大西洋を縦断し、南アフリカ沖を経由して、日本へ向かう。その長旅だけで1小説が創れそうな大冒険劇だ。 そういえば、主人公の秋山兄弟って何やってるんだ?
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有能無能は人間の全人的な価値評価の基準にはならないにせよ、高級軍人の場合は有能であることが絶対の条件であるべきであった。 →これが一番印象に残った言葉
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戦争の悲惨さは、指揮官の能力が決定する。 ビジネスの世界では、いのちこそ取られないが、成否は指揮官の能力で決定する。 たびたび著名人の愛読書にあがる理由が、本巻からわかる気がした。 ただ、明治の先人達のこころを推し測るのは難しい。
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世の中の状況を常に収集し、冷静な判断をしていく事が重要。成功に慢心せず常に新しい世の中の動向を役立てて行かないと置いていかれる。 日露戦争の中身がこれほどまでの犠牲を払っていた事は知らなかった。歴史の中の一つ一つの出来事に様々な背景がある事を改めて感じた。
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日露戦争の描写がえぐくなっていく。。。だよね、そう描かないといけないんだよねと。戦争は、悲惨で、とても騎馬戦のようなもんじゃない、体が木っ端みじんになって死んだり、腕や足がもげたり、体が縦に割れて死ぬ、大量の人間が死ぬ世界。それぞれに、親が必ずいて、人によっては、子もいただろうに...
日露戦争の描写がえぐくなっていく。。。だよね、そう描かないといけないんだよねと。戦争は、悲惨で、とても騎馬戦のようなもんじゃない、体が木っ端みじんになって死んだり、腕や足がもげたり、体が縦に割れて死ぬ、大量の人間が死ぬ世界。それぞれに、親が必ずいて、人によっては、子もいただろうに・・・ 戦艦対戦艦じゃない、大砲の数や火薬の強さでもない、悲惨さ。見ようとしなければ、見なくていい部分が戦争にはあるんだなということがわかる。 そして、旅順攻略において指揮をとった乃木とその参謀に対して、相当の紙幅を使って、これでもかと痛罵している。 色々な立ち位置、見方ができると思うが、指揮系統の混乱、現場から離れた所で指揮、戦術的な検討の不備、相手に予測された定期的な攻撃、多数の死者、戦争の悲惨さへの筆者の怒りが巻末に向けて増していっていることを感じた。 乃木については、wikiなどで調べると違う側面がある事も分かる。多数の死者を出した事への悔恨もあったようだが、自死によって幕を閉じた人生は、否定したい。
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日露戦争の勃発から旅順の本格攻略本までを描く本巻。秋山兄弟の出番は少なく、大本営総帥の山県有朋、陸軍総大将、大山巌参謀総長、児玉源太郎次長、一軍大将黒木、二軍大将奥、三軍大将乃木希助四軍大将野津と、それぞれの参謀達のドラマが展開する。 日本の今日独立して先進国となっているのもこの...
日露戦争の勃発から旅順の本格攻略本までを描く本巻。秋山兄弟の出番は少なく、大本営総帥の山県有朋、陸軍総大将、大山巌参謀総長、児玉源太郎次長、一軍大将黒木、二軍大将奥、三軍大将乃木希助四軍大将野津と、それぞれの参謀達のドラマが展開する。 日本の今日独立して先進国となっているのもこの戦争で活躍した武人のおかげだと痛感しながら読み進める。 徹底して描かれる旅順攻略における乃木将軍と参謀、伊地知孝介の作戦のまずさと酷さが際立ち、読んでいて憤り、残酷な描写に気分が悪くなるほど。見る人によっては評価が分かれるとのことだが、作者は少なくとも徹底して悪者扱い。緻密な取材のあとがうかがわれることで説得力があり、史実として受け取りながら次巻以降も読み進めます。
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歴史に明るくない自分でも名前くらいは知っていた乃木将軍。てっきり優秀な人だと思っていたのに、まさかここまで真逆だったとは。 更には伊知地参謀長の輪をかけた酷さ。 司馬氏は相当許せないようで、何度も何度も繰り返し無能な作戦による悲惨な戦の様子を描いている。 小説とはいえ先人達の尊い...
歴史に明るくない自分でも名前くらいは知っていた乃木将軍。てっきり優秀な人だと思っていたのに、まさかここまで真逆だったとは。 更には伊知地参謀長の輪をかけた酷さ。 司馬氏は相当許せないようで、何度も何度も繰り返し無能な作戦による悲惨な戦の様子を描いている。 小説とはいえ先人達の尊い命が無為に失われてゆくシーンを延々と読み続けるのはキツいものがありました。
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全編日露戦。黄海海戦、遼陽会戦、旅順攻略戦(未達)、沙河会戦。 其処彼処に後年の日本に悪影響を与えた陸軍への批判が目白押し。小気味いいくらいである。 著者が一番嫌いなのは、恐らく失敗をすることではない。失敗を糧にして工夫し、あるいは思考を巡らせて改善を図る、そういう過程を軽視・無視・実行しない者なのだろう。 旅順攻略軍の伊地知参謀への痛罵がそのことを実によく伝える。 本筋とは全く関係ないが、陸軍長州閥を毛利家の家紋から採って一品会とした点はトリビア。が、旧家意識が強すぎて気持ちが悪い。 そもそも日露戦は薄氷。少なくとも戦術的には勝利ではなかったというのが相応しいと思っていたが、それと同様な印象を著者も持っていたのかなあという印象を強くする。 一方、戦後、これを陸軍の保身と無謬性確保のため、勝利だと喧伝するべく情報介入していき、極限まで行き着いたのが戦前昭和なんだな、と容易に想像しうる叙述だ。 全8巻中の4巻目。
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日本陸軍の大陸上陸から遼陽から奉天への会戦への活動と旅順攻略が綴られている。日本から見た視点、ロシアから見たら日本と、相変わらず細かいところまで描写されているので話の展開はさほど感じられないが、 旅順要塞攻撃の第三軍の活動には日本人としてイライラしてしまった。 こういう司令官体...
日本陸軍の大陸上陸から遼陽から奉天への会戦への活動と旅順攻略が綴られている。日本から見た視点、ロシアから見たら日本と、相変わらず細かいところまで描写されているので話の展開はさほど感じられないが、 旅順要塞攻撃の第三軍の活動には日本人としてイライラしてしまった。 こういう司令官体質の人って今でもいるよね。 作戦そのものが日本人を殺す作戦になっているところに、憤りを感じる。
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