命売ります の商品レビュー
ハードボイルド小説なのかと思って読み進めていたが、ゾッとする奇妙な物語なのかわからなくなる。 主人公の行動のあまりに堂々したところが、どことなく安っぽくナルシストっぽく感じさせた。だからこそ足元を掬われてから怖く感じるのかも。気軽に読めるのだけど、いちいち上手いなぁと思わせる一言...
ハードボイルド小説なのかと思って読み進めていたが、ゾッとする奇妙な物語なのかわからなくなる。 主人公の行動のあまりに堂々したところが、どことなく安っぽくナルシストっぽく感じさせた。だからこそ足元を掬われてから怖く感じるのかも。気軽に読めるのだけど、いちいち上手いなぁと思わせる一言一言が、読み応えがあった。
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するする読める。 運がいいのか悪いのか。何が本当か嘘なのか。全部本当だとしても疲れしかない。ゴールデンスランバーのようだと思ったけどそうもいかずに終わりなのだろうか。結局楽じゃない。
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三島由紀夫のエンタメ小説はぶっ飛んだ設定であってもなんかとなく分かる気もする不思議な作品ですね。 夏子の冒険でも思いましたが、表現が面白すぎる。結構毒舌なツッコミが面白く、今回も笑いどころがたくさんありました。 命なんて売るもんじゃありませんね(笑)
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三島由紀夫好きからおすすめされた小説。 哲学的で難しいお話かと思い込んでたけど、流れるように物語が入ってきてするする読めた。 毎日がつまらなくて自分の価値も掴めず、けど死ぬ気でいろいろチャレンジしてみようってなると人生スリリングでやっぱ死にたくない!生きたい!って思い直せたの...
三島由紀夫好きからおすすめされた小説。 哲学的で難しいお話かと思い込んでたけど、流れるように物語が入ってきてするする読めた。 毎日がつまらなくて自分の価値も掴めず、けど死ぬ気でいろいろチャレンジしてみようってなると人生スリリングでやっぱ死にたくない!生きたい!って思い直せたのかなーという解釈。 現代人の病んだ心にも響くのではと思う。
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死について定義される本は沢山あるが こんなにも少数的で具体的な死について書いている本があるのだろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
知人から面白いと勧められ読了。三島由紀夫は初めて読んだが、読み始めからスラスラと文章が頭に入ってきて、古い作品や文豪の作品は軒並み読みにくいと思っていたが認識を改めた。巻末の解説を読むと、この作品は大衆向けエンタメとして書かれたらしいので、この作品に限った話かもしれないが。 自殺に失敗し、命を売るほど生に執着しない主人公が、何者かに命を狙われ出すと、次第に死の恐怖を感じ出す。主人公は自分でもそれを疑問に思うのだが、作中で語られる一節が印象に残っている。 あの死の恐怖は何だったのだろう。死に追われていると感じていた間だけ、あの恐怖は目をそむけても映る、地平線上の不思議な黒い巨大な煙突のように聳え立っていた。ところが今では、その煙突は影も形もないのだ。(中略)やはり人間にとって一番こわいのは不確定な事柄で、「これだったのか」と思い当たると、俄に恐怖は薄れるものらしい。 「これだったのか」というのは主人公の足に刺さった極小の発信機なのだが、これによって身を隠しても位置が特定され、発信機の存在に気付くまで主人公は死に追われる恐怖を味わう。 自分で決めた相手に命を「売る」のとそうでない場合の意識の違いなのだろう、望んだはずの死に抗う主人公が面白い。 そもそも自殺にいたった「新聞の活字がゴキブリの行列になった」ことや、終盤での「糸に垂れ下がり振子のように揺れる蜘蛛が斧に変わっていった」などの幻覚描写により、どこまでが事実なのだろうと考えさせられる。特に怒号のクライマックスなど半信半疑の気持ちで読んだ。ただ私個人はそういう現実と妄想の境界が曖昧な世界観が好きなので、むしろ自ずからそういう方向に解釈を持っていってしまうのかもしれない。 図書館の予約本待ちの間にと手に取った本だが、読んでよかった。三島由紀夫の他作品も読んでみようと思う。
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デカダンス系ハードボイルドもどきの何か。 自殺に失敗した男がはじめた、「自分の命を売る」ビジネスの中で出逢うのは、魅力的な女性とその死。 後半に向かうにつれ、自分の命の決定権がその女に握られているかのような状況に至ると、読者は「そうだ、今読んでいるのはミシマだったのだ」と気づく。...
デカダンス系ハードボイルドもどきの何か。 自殺に失敗した男がはじめた、「自分の命を売る」ビジネスの中で出逢うのは、魅力的な女性とその死。 後半に向かうにつれ、自分の命の決定権がその女に握られているかのような状況に至ると、読者は「そうだ、今読んでいるのはミシマだったのだ」と気づく。 読後感を整理するのに最適な、こちらも天才・種村季弘の解説も、とてもいい。 ただ、結局「三島由紀夫は自刃した」という情報が読んでいるときにノイズになるのは否めないんだよなぁ。それを知らないうちに読みたかった(が、リアルタイムでもない自分にそりゃ無理な話だ)
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こんなにポップな作品があったのか! と、三島由紀夫に対するイメージが変わった。 生と死は正反対のもののように言われる事がある。 でも、生と死は同じものなんじゃ無いか、と思う。 生に対して向き合っている人ほど、死について考えてしまうのでは無いかと。 何もかも放り出したくなる日も...
こんなにポップな作品があったのか! と、三島由紀夫に対するイメージが変わった。 生と死は正反対のもののように言われる事がある。 でも、生と死は同じものなんじゃ無いか、と思う。 生に対して向き合っている人ほど、死について考えてしまうのでは無いかと。 何もかも放り出したくなる日もあれば、全ての物事が愛おしく思える日もある。 気分によって、周囲の環境によって、生に対する心持ちは日々揺れる。 死を切望する一方で死の恐怖から逃げ回る。 これぞリアルな人間の心情だと思う。
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必要とも思えない命、これを売ろうと「命売ります」と新聞広告を出すことから物語は始まる。 三島氏の重厚な作風から打って変わり、本作はエンターテイメントである。 だがただ命を投げ出した男の自暴自棄な話にはなっておらず、要所要所に三島氏の死生の思想が漂う。 「羽仁男は今の今まで休...
必要とも思えない命、これを売ろうと「命売ります」と新聞広告を出すことから物語は始まる。 三島氏の重厚な作風から打って変わり、本作はエンターテイメントである。 だがただ命を投げ出した男の自暴自棄な話にはなっておらず、要所要所に三島氏の死生の思想が漂う。 「羽仁男は今の今まで休養するつもりだったのが、また、おかしなものに巻き込まれかかっている自分を感じた。世界は多分雲型定規のような形をしているのだろう。地球が球形だというのはおそらく嘘なのだ。それは、一つの辺がいつのまにか妙にひねくれて内側に曲がっていたり、かと思うと、まっすぐな一辺が突然断崖絶壁になったりするのである。 人生が無意味だ、というのはたやすいが、無意味を生きるにはずいぶん強力なエネルギーが要るものだ、と羽仁男はあらためて感心した。」 週刊プレイボーイ連載作と言うこともあり、軽やかに読める軽快な物語ではあるが、命を扱っているフックが芯となりただのエンタメとは言い切れない効力が魅力的に思えた。 50年以上前の作品にこんなことを言うのも変な話だが、新しい三島由紀夫に触れた感覚があった。
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内容は、一言で言うなら、ぶっ飛んでいる。けど、人間の本質というか、本性を随所で鋭くついている。三島由紀夫はこの作品が初めてでした。やっぱり名を残す人だと納得。何年か前のドラマも見たけど、やっぱりドラマでは内容が内容だからというのもあるけど、重みとか閉塞感とか、表現しきれないなと。...
内容は、一言で言うなら、ぶっ飛んでいる。けど、人間の本質というか、本性を随所で鋭くついている。三島由紀夫はこの作品が初めてでした。やっぱり名を残す人だと納得。何年か前のドラマも見たけど、やっぱりドラマでは内容が内容だからというのもあるけど、重みとか閉塞感とか、表現しきれないなと。文章の迫力が、すごい。
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