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なぜ人を殺してはいけないのか? の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2025/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

共著・対談というのは、得てしてまとまりが無かったり、議論がかみ合わなかったりすることが多いと思います。そういう本に出合うと、「外した~」と思ってしまいます。 で、今回の作品がまさにそれでありました。 ・・・ その対談ですが、第一部は永井均氏と小泉義之氏の対談。 タイトルからも概ね明らかですが、1990年代末にあった酒鬼薔薇聖斗事件が念頭にあります。 永井氏の著作は以前読みましたが、哲学の中では実に珍しく?哲学史研究者然としていない。自分自身の疑問をもっており、その視点から過去の哲学作品を引き寄せて語れる稀有な人だと思います。 ちなみに普通は、大学の先生というのは哲学史のエキスパートで、難解な言葉を難解なパラフレーズで解説するタイプが多いと思います。 小泉氏のことは存じあげなかったのですが、申し訳ないのですが上記の観点でいえば(少なくとも本作では)「普通の大学の先生」、という印象です。 ・・・ で、こういうタイプが全く違う人が対談するとどうなるかというと、同じ言葉を使っているのに、意味がすれ違うという恐ろしい会話が成立することになります。 永井氏は、世界を成立させる唯我な自分しか明確に存在が分からないというのが前提に見えます。その上で殺人をするとしたらそれはいいのか、みたいな問いに「仕方ないけど、いい」と答えるみたいな話。 他方、小泉氏は既に他人有りきの世界の話をするので、社会とか慣習とか法律とか倫理とかそういう話から「あなた、本当にそれっていいのですか」みたいな問いかけをしているように見えました。 つまりは話す前提というか世界が全く異なる。 何だか、この本を企画した編集者の悪意(一方へ、あるいは両方へ、あるいは哲学全体への)すら若干感じた次第です。 ・・・ さて、その後二部は永井氏の振り返り、そして三部は小泉氏の振り返りです。 永井氏は会話が成立していなかったことをしきりと繰り返します。余程不満だったのでしょう。 そもそも彼は、<私>の成立に興味がある方で、独我論・唯我論がどのように他の主観を成り立たせるられるか、みたいなことをテーマに書かれていることが多かった印象です。つまり、自分だから自分の世界は存在するのは分かる。でも、自分の意に反する動きをする他人という存在があり、その他人も主観を持つのか?あるいはそういうイレギュラーな動きをする他人という存在も私の世界が作り出した「演出」みたいなものか、と疑うこともできる、みたいな話。現象学でいうところ間主観性みたいな話です。 一方、意識的か無意識的か小泉氏はヒール的な役になってしまっていましたが、第三部の彼の議論は対談以上にアクセルが入ってしまい、もうついていけず…。 そこは、社会哲学と信念とが入り混じる、素人には伝わりづらい議論であったと思います。 ・・・ ということで20年以上前に購入した本の再読でした。 きっと将来再読して何か有意義なものを得ることがあろうと思い取っておいてあったのだと思います。あれからそれなりに成長したつもりでしたが、理解度は概ね変わらないと思います。残念。 なお永井氏の単著は結構おすすめできます。

Posted byブクログ

2023/12/06

永井先生は論理的に、小泉先生は信仰、宗教的な見方でご自身の意見を展開されていた。 私が好きなのは永井先生の論調だが、小泉先生のような考えも社会に必要なのはわかる。 正しいことと善は必ずしも一致しないんだなーってつくづく感じた。この2人で対談をするのは無理があったように思うが、対立...

永井先生は論理的に、小泉先生は信仰、宗教的な見方でご自身の意見を展開されていた。 私が好きなのは永井先生の論調だが、小泉先生のような考えも社会に必要なのはわかる。 正しいことと善は必ずしも一致しないんだなーってつくづく感じた。この2人で対談をするのは無理があったように思うが、対立する意見をぶつけ合う(対話)のが哲学だからこれはありなのかもしれないとふと思った。

Posted byブクログ

2022/08/11

恩師と飲んでいて子供に「なぜ人を殺してはいけないの?」と質問されたら、なんて答えると聞かれ、明確に答えられなかった。うーむ。なんて答えたらよいものかと手に取る。 私は明確に答え、もしくはヒントとなる言葉が欲しかったが、本書では長々といろいろ語られているものの、「哲学の領域でもあ...

恩師と飲んでいて子供に「なぜ人を殺してはいけないの?」と質問されたら、なんて答えると聞かれ、明確に答えられなかった。うーむ。なんて答えたらよいものかと手に取る。 私は明確に答え、もしくはヒントとなる言葉が欲しかったが、本書では長々といろいろ語られているものの、「哲学の領域でもあり、自分で追及、自分自身おこなう学問なのだ」と答えよとのこと。なんだそりゃ。 私の答えが見つからないという意味では残念だが、まあそうだな。簡単に答えが出るモノでもないし、自分が納得するまで考えるべき質問なのだとは思う。でも、もう少しこうヒントというか何かが欲しかったなぁ。

Posted byブクログ

2011/12/24

噛み合っているようで、噛み合っていない二人の会話が醍醐味の一冊ではある。小泉は知性化することによって、自らの中に言葉を位置づけていくタイプだが、永井はむしろ、自分の言葉でしか理解し得ないということをまず前提としてから、それゆえに自分しか持ち得ない言葉を定義していくといったタイプで...

噛み合っているようで、噛み合っていない二人の会話が醍醐味の一冊ではある。小泉は知性化することによって、自らの中に言葉を位置づけていくタイプだが、永井はむしろ、自分の言葉でしか理解し得ないということをまず前提としてから、それゆえに自分しか持ち得ない言葉を定義していくといったタイプであろうか?そのため、永井は「理解できない」とためらいもなく言ってしまえるし、相手が自分の言葉を「理解した」とでも言おうものならば、恐らく「誤解しているのだろう」と言い切ってしまえる。逆に小泉からすれば、その言葉を「理解できない」として投げ出してしまうのならば、そいつは思考を放棄した「馬鹿だ」ということになるのだろう。知性化によって階段を築き続けてきた小泉からすればそういった作業をしないやつらは馬鹿にしか思えないし、その作業をせずにいっぱしに哲学的な問いを発しようとしている輩は赦せないのだろう。逆に永井からすれば、自分の問いを自分の言葉で突き進めることが哲学なのだから、「大いにやってくれ」といった具合なのだろう。だから、永井が哲学を語るのならば、「自分の言葉で事足りる」のに対して、小泉は決してそれが「出来ない」。しかし、それが「出来ない」ということを小泉はむしろ、自らの知性と見て誇りにすら感じているのではないだろうか? 二人が唯一一致しているのは、「人を殺してはいけない」という理由なんて実は存在しないのだということだろう。あるとすれば、自分が殺されるのが嫌だから、という程度でしかない。それ以上の理由を見つけようとすればそこには道徳的な欺瞞=善なる嘘が含まれることになるだろう。永井はだから、その人が本当に殺すしかないのだと思って殺すのならば、それしかなかったのだろうとだけ答えるのに対して、小泉は理由がないからこそ「絶対に駄目なのだ」と主張するという答えを返している。どうして人を殺してはいけないのか?という理由を突き進めれば最終的にはどちらかになることだろう。俺は殺すしかないのならば殺すしかないのだろうとしか思えないし、けれど自分が殺されるのは困るのでその場合は抵抗しようと考えているし、それ以外に何もないとは思っている。小泉はしかし、そういう想定を立てられる時点で実は君は余裕があるのだから、それならばもう少し考えてみましょう、そうすれば、もっと見えてくるはずだと言うのだけれど、そういう意味ではこの人なんだかカントくさいところはある。かなり傲慢ではあるけれど、自らの純粋な道徳性を「絶対」と据えているし。定言命法みたいなところはある。ただ、小泉がどれだけ駄目だと言おうが、実際に人は殺されているし、人は人を殺している。だから言ってしまえば、殺すだけの覚悟があるならば殺人は肯定されるし(理由ではない)、けれど覚悟がある以上、殺した以上は自らは殺されなければならない、ということになるだろう。また、誰しもがそのことを自覚して、それゆえに自らを守らなければならなくなる、というのが個人的には結論に思えるし、それが実態でもあるだろう。個人的には、個人にとって重大な問題は、「なぜ人を殺してはいけないのか?」よりも、それを問うた本人に「殺したい人がいるのかどうか?いるのなら、リスクを背負ってまでするだけの覚悟があるのかどうか?」ということではないのかな?そうして、大体の人はそこまで考えられれば損得勘定から諦めるだろうし、そこまで考えても殺したいのなら、本当にどうしても殺さなければならないだけの何かがあるのだろう。

Posted byブクログ

2009/10/04

 これ、ブックレビュー見た時は評価が低かったけれど、僕にはそこまでひどい作品とは思えず。むしろいい対談集のように思える。とりあえず、背景知識がないと意味は分からないと思われます。分かればこれほど考え方が明白な本もない。

Posted byブクログ

2009/10/04

一章対話、二章永井、三章小泉の三部構成。 気になって高校のときに読んでみた。 小泉氏の方がわかりやすい。でも当時の自分には難しかったデス。 小泉氏曰く、「生きるためなら何をしてもよい(本当に生きるためなら)。なぜ殺したらいけないかは『殺さなくても生きていけるから。』」 ↑こ...

一章対話、二章永井、三章小泉の三部構成。 気になって高校のときに読んでみた。 小泉氏の方がわかりやすい。でも当時の自分には難しかったデス。 小泉氏曰く、「生きるためなら何をしてもよい(本当に生きるためなら)。なぜ殺したらいけないかは『殺さなくても生きていけるから。』」 ↑この言葉がもっとも印象的でした。

Posted byブクログ