ホテル・アイリス の商品レビュー
「生」と「死」と「エロス」のトライアングル。 「死」は突然やってくる。 「死の準備」と隣り合わせで歪んでしまった欲望を 持つ翻訳家の前に現れた少女。 漫然とした「生」の中の住人。 そこの住人にとって翻訳家の '屈折した欲望'は雷のように感じたのだろう。 雷を脳...
「生」と「死」と「エロス」のトライアングル。 「死」は突然やってくる。 「死の準備」と隣り合わせで歪んでしまった欲望を 持つ翻訳家の前に現れた少女。 漫然とした「生」の中の住人。 そこの住人にとって翻訳家の '屈折した欲望'は雷のように感じたのだろう。 雷を脳ではなく肌で理解し受入れた少女は 翻訳家にとって何よりもの宝物。 「エロス」とは「愛」と似て異なるもの。 翻訳家にとって己を迎合してくれた 初めての「女」であり 人生最後の「女」 決して自分で現像することはなかった 「フィルム」が 己が生きた証なのだろう。 己の死が近づいてくるのを感じ始めた男にとっては 切ない物語。
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少女と老人のお話 究極のエロティシズムに期待して読んでみました 老人はただのエロじじいだし 少女もなぜに彼に引き寄せられたのか・・・
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昔途中まで読んだけど、積読していた本。なんとなく、久しぶりに本を読んだ。1日で読み終わった。 読み始めてなぜ途中で読むのを止めたのか思い出した。登場人物の男(翻訳家)の第一印象がキモかったからだ。このキモいおっさんと、主人公との恋愛物語とか見たくないわーと思ったんだろう。今回読んでも同じ印象で同じ感情を抱いたが、読むのは止めなかった。 この小説で印象的だったのが、舞台となる町の風景だ。海沿いの町で城壁があり、離小島があるらしい。その描き方が美しかった。調べたところ作者さんはある地域をモデルとしているらしい。自分の中ではなんとなく、逗子や真鶴辺りを想像した。 登場人物の「翻訳家」は最初から最後まで滑稽だった。売女に罵られたり、町の人々からは変人と思われてたり、レストランの予約は出来ていなかったし、なにより最後に逃げて船から海へ飛び降りる場面。ダサいし格好悪い。主人公の恋愛観(?)には読み終わるまで感情移入できなかったが、主人公はこの男が滑稽な姿であったから、どこか惹かれるものがあったのかなと感じた。
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ヨーロッパの方の映画みたいな感じだった。 全体的に乾いて、影が多くて、黒い感じの画面。登場人物の心も皆、乾いている感じがする。 小川洋子にしては、現実味がある世界なんだけど、やっぱりさらっと、俯瞰している感じがする。 世界の片隅で、誰にも気にかけられない人たちのいとなみ。いそうもないけどいるかも知れない。絶対いないとは言い切れない。
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これは恋のようでいて恋ではない物語だと思った。 お互いに救いを求めるを求める二人がたまたま出会い、堕ちていく、そんなお話。 結末があまりにもかなしい。
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少女と老人の恋。浪漫や耽美が一切感じず、読み終えるのに苦労した。老いとSMの組み合わせは想像しようにも脳が嫌がる。唯一の救いは作者が女性であること。(小川洋子氏は少し狂いがある(褒)) もし男性の書いた本なら壁に投げつけていたと思う。
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何気なく幾度となく読み返した作品。ふと読みたくなる。小川洋子さんの描くこの質感が好きなんだと思う。 最初に読んだときは高校生だった。翻訳家の老人とおとなしい女子高生の関係はいわゆるSMというものなんだろうけど、高校生のわたしになにかが引っかかった。最近の再読で、ああ、それはその裏にひそむ二人にしかわからない究極の純愛なのかもしれないと感じた。
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再読です。淫らで執拗な性愛の世界に浸りました。主人公のマリという少女と、醜い老人である翻訳家の間にあったものは、わたしの思っていたSMという形では言い表せない気がします。ホテル・アイリスのある港町の白っぽい渇いた光と、島での夢の中のようなひととき。仕える肉体は、醜ければ醜いほどい...
再読です。淫らで執拗な性愛の世界に浸りました。主人公のマリという少女と、醜い老人である翻訳家の間にあったものは、わたしの思っていたSMという形では言い表せない気がします。ホテル・アイリスのある港町の白っぽい渇いた光と、島での夢の中のようなひととき。仕える肉体は、醜ければ醜いほどいい、というマリの境地には辿り着けませんが。マリをとりまく人々は、翻訳家の甥以外は関わりたくない人々でした。マリがいつか、自由になれたらいいなと思います。小川洋子さんにかかると、官能的なお話もこんなにひっそりしたお話になるのだなと思いました。
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年老いた翻訳家と少女の倒錯愛の物語 冒頭の娼婦と翻訳家が揉めるシーンの ホテルの娘がマリ 乱れた姿で逃げるように部屋から這い出て口汚く罵る娼婦に「黙れ、売女」と明瞭な言葉で圧した翻訳家に心が惹かれたマリ 二人は再開するが彼はあの時の威圧はなく貧相で力なく弱々しかった 彼女に送っ...
年老いた翻訳家と少女の倒錯愛の物語 冒頭の娼婦と翻訳家が揉めるシーンの ホテルの娘がマリ 乱れた姿で逃げるように部屋から這い出て口汚く罵る娼婦に「黙れ、売女」と明瞭な言葉で圧した翻訳家に心が惹かれたマリ 二人は再開するが彼はあの時の威圧はなく貧相で力なく弱々しかった 彼女に送ってきた手紙の 翻訳家の文字は異常なまでに乱れがなく 綴る言葉は知的で美しくとても紳士的 これから何度も書かれる手紙のシーンは大好きでした しかし、彼の島ではあの時の高圧的で異常な支配者だった ここまでのシーンに振り回される心地良さ ギャップの描き方が見事でマリが快楽へ没入していく様は圧巻 醜く老いた翻訳家に瑞々しい肉体の若い自分が蹂躙される屈辱 二人しか存在しない世界で自分でも想像できない痴態をさらす心細さ羞恥の極み 肉体的苦痛 全てが快楽へと繋がりマリを恍惚へと導く 翻訳家の滑らかな動作 乱れのない美しい緊縛 突如暴発する暴力 自分だけを圧倒的に支配する ここにマゾヒズムの快楽の極みがあると思いました 誰もが何か別の事を考え気を散らしてしまう でも、あの密閉した空間では翻訳家はマリしか見ない考えない触れない 翻訳家の全が自分だけに注がれる ある意味で最上級の愛情表現かもしれない 卑屈で凶暴、インテリジェンスで老いている翻訳家と少女の組み合わせしか成り立たない愛でした そしてあの終わりが二人の世界を誰にも触れないところに閉じ込めたと思う 愛の形、快楽とは、と想像できないところから投げかけられたボールをうっかりキャッチし嵌ってしまったそんな素晴らしい物語でした
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初老の男性と母が営むホテルで働くマリの出会いは、男がホテルで女性といざこざを起こした時。 それから、町で偶然に男性を見かけたマリは後をつけるが、すぐに見つかってしまう。 そこから始まったマリと男性の妖しい関係。ただ、そこには互いの寂しさを埋めたい感情が見える。 最後は二人にとって...
初老の男性と母が営むホテルで働くマリの出会いは、男がホテルで女性といざこざを起こした時。 それから、町で偶然に男性を見かけたマリは後をつけるが、すぐに見つかってしまう。 そこから始まったマリと男性の妖しい関係。ただ、そこには互いの寂しさを埋めたい感情が見える。 最後は二人にとって、悲しいけれど良い結果に終わったと思う。 2017.4.10
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