大人のための残酷童話 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大人のための残酷童話 倉橋由美子著 新潮社 1984年4月20日発行 当時、大ベストセラーになった本だそうです。 全26編、倉橋由美子が書いた短い童話が入っていますが、 ほとんどが、有名な童話や昔話をパロディにしているような作品。 例えば、「一寸法師の恋」という話は、「一寸法師」を元にした大人のための童話。あらすじは、こんな感じ。 「一寸法師の恋」 子供のいないおじいさんが、指にも足りぬ大きさでいいから子供がほしいと神様に願うと、おばあさんが一寸法師を生んだが、大きくならなかった。2人は一寸法師を追い出した。一寸法師も喜んでお椀で川を下り、殿様の邸宅に行って家来にしてくれと頼む。殿様は姫の慰めものにと了承。姫は美人だったが男嫌いで結婚をしていない。 一寸法師は姫に恋をし、一緒に眠るようになったが、体に入り込んで小さな体で姫の体のあちこちを刺激、姫は快感で喜んだ。 ある日、出かけると姫は鬼に襲われた。一寸法師は姫の下半身に入り込んで隠れた。やがてそこに赤い肉が入り込んできたので針で刺す。鬼は、とげがあると逃げた。 鬼の残していった打出の小槌で一寸法師は大きな体にしてもらったので、殿が2人の結婚を許した。しかし、2人はうまくいかない。姫がいうには、体は大きくなったが肝腎なところは一寸法師のままだからと言う。 そこで2人は打出の小槌を振り合い、お互いを小さくしていった。虫より、埃より小さくなり、どこへ行ったのか分からなくなった。 教訓:「スモール」は「ビューティフル」ならず 最後に、出版社からの要望で、教訓をつけたそうです。 あとがきで、筆者は、 「これが童話であつて小説でないのは、描写を通じて情に訴へるといふ要素をすつかり棄てて、論理によつて想像力を作動させることを狙つてゐることとも関係があります」と語っています。 倉橋作品、これまで読んだ記憶があまりありません。 「聖少女」って読んだかな・・・・ 同世代の作家は、石原慎太郎、開高健、大江健三郎・・・あまり読んでいないなあ。
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人間生きてりゃ打算やごまかし、忖度や妬みといわゆる醜い感情はある。童話の中でも現代でも、変化が無いのが感情か。 まあ、色々思うところはあるが、教訓は今一理解できないものもおおい。 解説のほうが面白い。
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想像していたのとは違いました。 始めの方の話は、全部シモの話に持っていくのでそういう意味の大人?と思いました。 カチカチ山だけ面白かったです。 あとがきと解説の方が読めました。
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エロ展開する話がちょこちょこあるのだが、性を表現する語彙が豊富で感心する。もちろんエロ話以外における語彙や表現も豊富で勉強になる。
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往来堂書店『昭和の作家再発見 女流編』の中から買った一冊。 ギリシア神話、白雪姫、人魚姫から、浦島太郎、一寸法師まで古今東西の名作童話を "換骨奪胎したり煮詰めたりして作った"という一冊は、ときにエロく、ときにグロく、 名作童話をこんな目に合わせていいのか、と...
往来堂書店『昭和の作家再発見 女流編』の中から買った一冊。 ギリシア神話、白雪姫、人魚姫から、浦島太郎、一寸法師まで古今東西の名作童話を "換骨奪胎したり煮詰めたりして作った"という一冊は、ときにエロく、ときにグロく、 名作童話をこんな目に合わせていいのか、と思ってしまうほど見事に書き換えている。 かなり強い毒性があって、だからこそ中毒性も高い。ハマる人はかなりハマるハズ。 ワタシとしては、酒席のシモネタという使い方をしてみたい。
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タイトルの通り、ほとんどが残酷で バッドエンドで後味が悪い“童話”たち。 それだけに、 「どうせまた救いようのない終わり方 なんだろう」という気持ちになる時も あったけれど、 そこに辿り着くまでの過程に 「うーんなるほど」と唸らされた。 あとがきで作者が、それぞれの作品の モ...
タイトルの通り、ほとんどが残酷で バッドエンドで後味が悪い“童話”たち。 それだけに、 「どうせまた救いようのない終わり方 なんだろう」という気持ちになる時も あったけれど、 そこに辿り着くまでの過程に 「うーんなるほど」と唸らされた。 あとがきで作者が、それぞれの作品の モデルとなった童話を紹介しているので 改めて原案との比較をしてみるのも 面白いかもしれない。 ただ、原案の内容を知らなくても 童話として充分に楽しめる短編集である。 「大人のための」とあるように アダルティな表現やグロテスクな表現も 含まれるため、個人的には 成人した大人の方々におすすめする。
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2016年、5冊目は『大人のための怪奇掌編』以来、久々の倉橋由美子。 古今東西、様々な童話や神話等を下敷きとした、掌編を26編収録。 一言で言い表すなら、「しれっと、エロ・グロ・ナンセンス」。だが、このナンセンスは実に、機微に富むモノだと言うのが、一つの魅力。そして、エロティ...
2016年、5冊目は『大人のための怪奇掌編』以来、久々の倉橋由美子。 古今東西、様々な童話や神話等を下敷きとした、掌編を26編収録。 一言で言い表すなら、「しれっと、エロ・グロ・ナンセンス」。だが、このナンセンスは実に、機微に富むモノだと言うのが、一つの魅力。そして、エロティック、ブラック等々を受け入れられる大人向け。 また、柄澤齊の木版画の表紙&挿し絵が実に素晴らしい。 掌編というのを割り引いても、個人的に「コレ!」といえるモノがなかったのが、評価が伸び悩んだポイント。
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世界中の名作童話の元来の残酷さを作者風に味付け、料理された短編集。奇妙な味のこの作品群には人間の邪悪な意思や卑猥な欲望が露骨に焙りだされているとの触れ込みだが、果たしてそこまでか。中毒性のない荒唐無稽なストーリー展開、心理描写が削ぎ落とされたキャラクターの意味不明な言動の中に少な...
世界中の名作童話の元来の残酷さを作者風に味付け、料理された短編集。奇妙な味のこの作品群には人間の邪悪な意思や卑猥な欲望が露骨に焙りだされているとの触れ込みだが、果たしてそこまでか。中毒性のない荒唐無稽なストーリー展開、心理描写が削ぎ落とされたキャラクターの意味不明な言動の中に少なくともそのようなものの断片でも見出されてくれれば良かったのだけれど。
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なにこれすごくおもしろい! 倉橋由美子ずっと読んでみたくて、たまたま古本屋にあったので買ってみたんだが、クセのない文章で、すーんとストーリーが頭に入って、あっという間に読んでしまった! 教訓が教訓つうか単なるオチやw 残酷でも何でもないこれはそこらへんの現実や!
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