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この人の閾 の商品レビュー

3.6

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2010/09/18

保坂和志の物語に共通するのは、主人公が決して決断しないこと。優柔不断といわれるかもしれないけど、決断を迫られる現実に身をさらしていると、なんかほっとできるのでした。

Posted byブクログ

2010/08/26

何気ない日常を題材にした小説。 本当に何気ない。 事件があるわけでもなく。 何気ないというか何もない。 文章表現が独特。 ト書きのような表現を多用する。 一文が長い。 「~して、~して、~だが、~して、~である。」のように。 あとは登場人物が思考する、その回路が面白い。 ...

何気ない日常を題材にした小説。 本当に何気ない。 事件があるわけでもなく。 何気ないというか何もない。 文章表現が独特。 ト書きのような表現を多用する。 一文が長い。 「~して、~して、~だが、~して、~である。」のように。 あとは登場人物が思考する、その回路が面白い。 評価が真っ二つに分かれるそうですが、個人的には良い作品だなと思います。 ちなみに短編集です。

Posted byブクログ

2009/10/04

 季節の記憶を読んで以来、保坂和志が気になって気になってしょうがない。これはBOOKOFFで100円で買ったやつで読むのは二作目。  この作品は芥川賞を受賞しており、近年(といっても10年以上前だが)芥川賞を受賞した作品の中でも個人的に納得のいくものである。  主人公ぼくは小田...

 季節の記憶を読んで以来、保坂和志が気になって気になってしょうがない。これはBOOKOFFで100円で買ったやつで読むのは二作目。  この作品は芥川賞を受賞しており、近年(といっても10年以上前だが)芥川賞を受賞した作品の中でも個人的に納得のいくものである。  主人公ぼくは小田原に到着するが、待ち合わせをした人とすれ違いに。その人を待っている間、ぼくはサークルの先輩だったある女性のところにお邪魔するが、、、  この人の小説はデビュー作から全然変わってない、淡々とした日常の中での自身の考察、特に言葉への、を描いている。でもこの考察って言うのが、どーしてどーしてすごく鋭くてまあ退屈にならない。  「閾」っていうのは、久しぶりに出会ったその女性の生き方、生活みたいなものを他人の視点から言葉にしたものなんでは。  ストーリーや登場人物を持ち上げることで面白い話を作ってないとこに、今の文学にはないものがある、そして平凡な日常、性を感じさせない男女の関係が文学に成り得た事を私達に教えてくれる。

Posted byブクログ

2009/10/04

これを私がおもしろいと思うのは、ただただ流れていく感情をとどめるのではなく見返し、面白いのもとをつかみとろうとするからだろう。ふかふかと流れていくムードの枠組みを見ているからだろう。完全に共感でしかないが、同じような立ち位置に立って物事を見ているのだろうと思う。そして日常を切り裂...

これを私がおもしろいと思うのは、ただただ流れていく感情をとどめるのではなく見返し、面白いのもとをつかみとろうとするからだろう。ふかふかと流れていくムードの枠組みを見ているからだろう。完全に共感でしかないが、同じような立ち位置に立って物事を見ているのだろうと思う。そして日常を切り裂かない程度のだれもへのやさしさはここが限度なのだろう。これ以上踏み込まない踏み込ませないものを、信じられないとは言わないし、これ以上踏み込んでも信じたとは言わない。 家が隣の夫婦と散歩するはなしでそのことを思った。前のプレーンソングもそうだけど、この夫婦の奥さんにしても、ちょっとイタい感じがするが、そこのところには踏み入れないし、わざわざ付き合っていても押し付けがましくない。

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2009/10/04

短編4作とも、本当に何も起こらない。非常に視覚的な描写が延々と続き、それに伴う行動や感情が淡々と綴られている。今は消えてなくなってしまったものの跡に何が残るのか、見えないものは何もないのと同じなのか、そこに思いをはせる、のが4作に共通するテーマ、のような、もっと深いものがあるよう...

短編4作とも、本当に何も起こらない。非常に視覚的な描写が延々と続き、それに伴う行動や感情が淡々と綴られている。今は消えてなくなってしまったものの跡に何が残るのか、見えないものは何もないのと同じなのか、そこに思いをはせる、のが4作に共通するテーマ、のような、もっと深いものがあるような。ちょっと一文が長すぎて(それが著者の作風なんだろうけど)息継ぎできなくてしんどい。

Posted byブクログ

2009/10/04

短篇が4つ。後半の2話が好きです。どっちとも場所は違うけども(けれどもやっぱり根底には鎌倉がある)、散策をしている話。会話文でこの人よりうまい人って、そうはいないよなぁ。(06/11/14)

Posted byブクログ

2011/07/03

保坂和志の小説を読んでいると、記憶の回路を宝物を探し当てるみたいにして進んでいくような感覚になる。記憶の回路は日常の中で起こる些細な、乱暴に言ってしまえばどうでも良いことの切れ端をつなぎ合わせて構成されている回路で、まぁ色んなものが飛び出してくる。例えば相手すら覚えていないような...

保坂和志の小説を読んでいると、記憶の回路を宝物を探し当てるみたいにして進んでいくような感覚になる。記憶の回路は日常の中で起こる些細な、乱暴に言ってしまえばどうでも良いことの切れ端をつなぎ合わせて構成されている回路で、まぁ色んなものが飛び出してくる。例えば相手すら覚えていないような、もうずっと過去に交わされた会話の断片だったり、何気なく通り過ぎてきた風景だったり、幼い頃の遊び場で行われた、今となっては入り込む隙のないくらい小さな世界のルールで固められたおままごとだったり、それらの一部分がふと頭に浮かぶ(五感をくすぐる)時が普段からあって、なんでそれが今出てくるのかわかんないんだけど、記憶の回路からひょこっと顔を出した彼らに対してなんのためらいもなく消化していくことが可能だけれど、積極的に彼らの存在と関わり合おうと思えば、彼らは実に面白い連中で、保坂和志がやろうとしているのは、そうした連中と交信(というと超常現象のように聞こえる)し、どこまでも気に留めることなのだろう。小説家とは言葉に対して疑問を持つことのできる人間のことで、物語を書くのはただの物語作家だという保坂和志の言葉を念頭に置いて彼の著書を読んでみると、実に多くの見落しを引き出されることが多い。私はこうして書評ともなんとも言えない読書記録を書いているのだけれど、おそらくこれがブログというスタイルで蓄積されていくものでなければ、わざわざ習慣として記録しようとも思わないし、記事を書いたところで何か特別なことを考えているのかといえばそうでもない。読んで何かを考えるという行為は私にとって面倒以外の何ものでもなく、書評だのなんだのとは甚だ遠い話で、最近思うのは、読了後に襲う満足感の中身は空っぽで、あとからあとからじわじわと、読んで考えるというやつがやってくるというとだった。食事をしているとき、テレビを見ているとき、急ぎの用事を足しているとき、恋人の隣にいるとき、読み積まれた言葉の断片がふっと現れたりする。そのときはじめて、読んだと思っていたものが本物の読んだものとして認識されるのではないだろうか。もちろん、認識されずに流れていく言葉も数え切れないほどあって、だけど表向きは自分の中に蓄積されたことになっていて、蓄積されたからにはいつかは消えてしまうのだけれど、それはそれでいいことで、もしかして目に付いた言葉をあれこれ書き留めてしまうことは読んで考えるという法則に反しているのではないかと思うようになってきた。ちょうど『この人の閾』で真紀さんという女性が言うような感じで。 「真紀さん、これからずーっとそういう本を読むとしてさ、あと三十年とか四十年くらい読むとしてさ――本当にいまの調子で読んでいったとしたらいくら読んでも感想文も何も残さずに真紀さんの頭の中だけに保存されていって、それで、死んで灰になって、おしまい――っていうわけだ。」 「だって、読むってそういうことでしょ?」 (保坂和志『この人の閾』) 誰もが言うように、保坂和志の小説に物語性はまるでない。保坂自身が初めから物語を書こうとしているわけではないからだ。阿部和重との対談なんかを読んでいるとよく分かるんだけれど、彼は自分の小説が正しく読まれていないということを十分に承知していて、確か『小説の自由』という著書は僕の小説を解説してくれる人がいないのなら自分で書いてしまおうという意識があったとか、なかったとか。初めて保坂和志の『カンバセイション・ピース』を読んだときは本当にしんどかったけれど、今ではあぁ本物の小説家というものはこういうものかもしれないと、眉間に皺を寄せてながらも楽しく読んでいる。小説に流れる時間を読書という経験を通して共有することはとても貴重だと思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

働くのに思想はいらない。ここで感想書きました。 http://blog.livedoor.jp/subekaraku/archives/4225836.html

Posted byブクログ

2009/10/04

このスタイル貫いて小説書いていくのって疲れそうね、逆に。この人の小説は長編でダラッダラ日数かけて読み進めるほうがいいと思った。

Posted byブクログ

2009/10/04

好きな作家の一人。一文が長いのと人物描写がうまいのが好きなのだが、短編集ではその魅力がやや削がれてしまった感も。植物という一テーマが好きじゃなかったのもあるかも。

Posted byブクログ