マーチ博士の四人の息子 の商品レビュー
メイドさんと殺人者の日記で最初から最後まで話進みます。 叙述トリックものなので、最後まで読んだ人だけが味わえる、え?!はありますね。 正直、50~250ページくらいの間は読むのがきつかった。変化がなくて
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四人の息子を持つ医師マーチ博士の屋敷で、住み込みのメイドをしているジニーは、ある日マーチ夫人の部屋で恐ろしい日記を見つけてしまう。それは快楽殺人者が自身の犯行を綴ったものだった。書き手は巧妙に自分の名を伏せるが、息子のうちの一人だという。すぐに日記に書かれた通りの殺人事件が新聞沙汰になり、マーチ家の周囲では次々に不可解な死が連続するようになる。ジニーはなんとか日記の主を突き止め、警察に知らせようとするが、その企みに気づいた殺人者は彼女に狙いを向けてきて……。 面白かった!殺人者の日記とジニーの日記が交互に進む断章形式になっていて、しかも「試合開始」「ハーフタイム」「マッチポイント」など、テニスの試合を模した章題がついているお洒落な構成。そこからわかるように、リアリズムよりはゲーム性を楽しむタイプのミステリー。でもって読後感はサイコスリラー。 まずジニーのキャラがいい。結構歳いってて、盗難の前科持ちで、雇い主が隠した酒でぐでんぐでんに酔っ払うメイド(笑)。でも殺人者の心理を知るために心理学の本を読んだり、そのせいで全て自分の思い込みかもしれないと悩んだり、生来の正義感と心の揺れと、飲んべえのだらしなさが同居しているところに魅力がある。 対する殺人者は少々類型的だ。子どもっぽく、負けず嫌いのオナニスト。正体がわかってみると、何かにつけザックを攻撃的に罵るところなどはコンプレックスを書くのが上手いと思わせる。しかし、マーチ一家全体の描写が希薄なのは不満が残る。特に容疑者である四つ子についての掘り下げがないのは、オチの衝撃を弱くしているように思う。 しかし、犯罪心理学から性的コンプレックス、オカルト悪魔学、そして最後にはサイコホラーと、現代ミステリーに詰め込めるだけ詰め込んだような展開の楽しさ。ほぼひとつ屋根の下から視点が動かない閉塞感がヒステリックな空気を盛り上げると共に、読者を飽きさせない工夫が惜しみなく注がれたポップなエンタメ小説だった。 ジャンルも内容も特に重ならないが、読後感はどこか『蜘蛛女のキス』に近かった。「よく頑張ったね、おやすみ」と言ってあげたくなるようなジニーの懸命さが、モリーナに似ているのかもしれない。
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医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジーニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼い頃から快楽のために殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の四人の息子の中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりであると。『悪童日記』のアゴダ...
医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジーニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼い頃から快楽のために殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の四人の息子の中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりであると。『悪童日記』のアゴダ・クリストフが絶賛したフランスの新星オベールのトリッキーなデビュー作。 (あらすじより) 家政婦は見た的なストーリーかと思ったけど、殺人鬼の日記と家政婦ジーニーの日記を交互に読む展開が続く。 動きがなくて(だってジーニーが日記を書いてるってことはどんなに怖いことがあっても無事だったと言うことだから)心が折れた。 全然読み進まず、気合で読み進めた結果、最後の数ページでおおよそ報われた。 叙述トリックものですので、読み通した人だけが到達できる達成感はありつつ、そこに至る道筋が険しすぎる印象。 ま、デビュー作なので! 次も読んでみたいと思いました。
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内容とは全然関係ないんですけど、今で言う「サプライズ」を「不意打ち」と訳してるところがありました。不意打ちのお祝いとか。 97年初版とのこと、言葉もだいぶ変わりますね。 サプライズはもはや和製英語でしょう。
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読み始めたばかりですが、最近のミステリーはタイトルから疑わないと犯人当てができないのかな? 4人の息子が娘だっり、5人目がいたりするんだろうなぁって予測しながら読んでます。
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2000年前後に注目を集めた作家です。続けて数冊翻訳されました。 プロットがとても上手だよねとか思って読んでました。
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ミステリ。サイコ・サスペンス。 フランスの女性作家のデビュー作。 作中のほとんどが、殺人者とメイドの日記からなる、特徴的な構成。 個人的に一番の見所は、殺人者とメイドの心理戦。決して賢いわけではないメイドさんの奮闘がリアルで良い。 ここからネタバレ。 訳者あとがきに、"二、三の弱点がある"とあったが、自分はどうしても気になる点がひとつだけ。 タイトル的にも、内容的にも、"四人の息子の誰が犯人か?"という謎がメインテーマになるにも関わらず、四人の息子の描写があまりにも少ない。 読んでいて、四人の区別がつかず、これでは犯人の特定は無理…ってことは、犯人は他の人か!となってしまった。 十分に楽しめた作品であることは認めるものの、肝心の結末のインパクトには少し欠けてしまった。
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‹内容紹介より› 医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼いころから快楽のためのっ殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の4人の息子ークラーク、ジャック、マーク、スタークーの中の一人で...
‹内容紹介より› 医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼いころから快楽のためのっ殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の4人の息子ークラーク、ジャック、マーク、スタークーの中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりであると。 『悪童日記』のアゴタ・クリストフが絶賛したフランスの新星オペールのトリッキーなデビュー作。 ーーー 以前観戦した「高校生ビブリオバトル」にて、紹介されていた本。 ”殺人者の日記”と”ジニーの日記”が交互に描かれていき、ある種の交換日記のような態で話は進んでいきます。 実際の殺人そのものや死体の描写はなく、「殺人者から見た風景」と「ジニーの感情」から読み取るスタンス。 ジニーが殺人者に翻弄され、次第に理性を失ってゆく様子など、鬼気迫る部分もあり、また誰が犯人なのか、という点では「ジニーの機転」あり、どんでん返しありで楽しめます。 解説には、「マーチ博士と4人の娘」である『若草物語』を想起させるとありましたが、特別なオマージュがあるわけではありません。
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最初はドキドキハラハラしてページをめくる手がとめられなかったですが、同じような展開が続くので途中は少しだけだるく感じる部分もありました。 犯人は、トリッキーなミステリなどを読み慣れてると途中からなんとなくわかります。 あまりひねくれたミステリを読み慣れてないともっと楽しめるのかな…。 それでもラストはちょっと呆気ないというかあっさりしてるかなという感じはしました。
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期待しすぎるとダメということを改めて痛感。仕掛け満載、トリッキーといった紹介の時点でスッキリしないかも、という予想はついたが・・・。正々堂々、1/4の誰かで勝負して欲しかった。中盤ほのめかされた時点で十分に予想できる犯人。最初は良かったが、交換日記が始まった時点で冷めてしまった。アイデア一本勝負といった感じの本。
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