レディ・ジョーカー(上) の商品レビュー
「レディ・ジョーカー 上」(高村 薫)を読んだ。 高村薫さんの作品の魅力は徹底したリアリズムにあるのかもしれない。 その取材力に裏打ちされた迫力ある文章で読者をねじ伏せにくるのだ。 これ一回読んだはずなんだがまったく覚えてないということは読んだつもりで読んでないな。 気にな...
「レディ・ジョーカー 上」(高村 薫)を読んだ。 高村薫さんの作品の魅力は徹底したリアリズムにあるのかもしれない。 その取材力に裏打ちされた迫力ある文章で読者をねじ伏せにくるのだ。 これ一回読んだはずなんだがまったく覚えてないということは読んだつもりで読んでないな。 気になった場面を引く。 『成長も消滅もせず、誰も取り除かず、誰かが関わりをもっているいるのだが、すでに社会的合理性を失い、言葉の喚起力を失って、それでも現にたしかに在るのは間違いない民主主義の綿埃に、 根来はなすすべもなく苛立つのだ。』(本文より) 閉塞感に飲み込まれたある種の草臥れた心情がしっかりと描き出されている場面だな。 あー面白かった。 (下)に突入!
Posted by
時代がバブル終了のころで、日本がまだお金持ちだったときが舞台。部落差別、在日、障がい者など様々な問題を浮き彫りにし、その対岸にいる富めるものたちの苦悩や警察組織、新聞社に生きる者たちの生きざままでも描く。まさにまるごとの日本がそこにある。時代の証言者ともいうべき恐るべき力作。 と...
時代がバブル終了のころで、日本がまだお金持ちだったときが舞台。部落差別、在日、障がい者など様々な問題を浮き彫りにし、その対岸にいる富めるものたちの苦悩や警察組織、新聞社に生きる者たちの生きざままでも描く。まさにまるごとの日本がそこにある。時代の証言者ともいうべき恐るべき力作。 というわけで、自分にはたいへんでありました。特にちらちら覗かせる裏の組織との関係まで描くとなると、作者はいったいどのくらいの調査と資料集めをしたのかと感服いたいましてでございます。 ドラマ化されたのを見たけど、ちっとも分からなかったので借りてきたのですが、あんな短い時間では到底この深さを表現できるわけはありませんでしたね。 高村氏の功績は後世にもずっと残り続けることでしょう。
Posted by
20年近く前に読書家で年長の同僚から譲り受けた上下巻を、ついに初めて読了。それも読み始めてから一気に2日間で。 いや~、久々に「質・量」ともにズッシリ読み応えのある小説どしたわ。特に「量」の点では、上下巻で約900ページを超す文字量に加え、持つ手にしっかりと重量を感じる分厚い大判...
20年近く前に読書家で年長の同僚から譲り受けた上下巻を、ついに初めて読了。それも読み始めてから一気に2日間で。 いや~、久々に「質・量」ともにズッシリ読み応えのある小説どしたわ。特に「量」の点では、上下巻で約900ページを超す文字量に加え、持つ手にしっかりと重量を感じる分厚い大判の単行本の体裁も、久々に「読書をカラダが感じる」経験と云えたかも。 内容的にも非常に満足出来た。上下巻を通じて中だるみも無く、ずっとテンポよく読み進める、ぼくとはある意味「相性の良い」文体だったこともある。忘れもしないあのグリコ事件についても「その真相には、なるほどこのような物語もあり得たのかも知れない」と思わせる、リアリティと説得力がスゴイ。 総じて、もっと早く読みたかった! 出版から数年後に映画化された作品もあるようだが、そちらの評判はイマイチらしい。なんとなくわかる。2時間に収めるのは難しいだろう。やっぱり読むのが一番。
Posted by
高村薫らしく重厚だが、ちょっと地の文が多すぎて、ペースが上がらず入ってこない。テーマもあまり興味がないので挫折しそうだったがなんとか下巻へ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
合田雄一郎刑事シリーズ 第3弾 一九四七年 怪文書 第一章 一九九〇年 ー 男たち 第二章 一九九四年 ー 前夜 第三章 一九九五年 ー 事件 終戦直後の労働争議を発端とした因縁が、下町の競馬好きな男たちの鬱屈とした不満に火をともす。 老人、障害児を持つ元自衛官、金属加工職人、証券マン、警察官で構成される犯人グループ「レディ・ジョーカー」と捜査本部から日之出ビール社長・城山のボディガードととして参加した合田との戦い。 相も変わらずの硬質な文体でしたが、事件が走り始めるとスピードが上がってきます。 人間の動機、感情の緻密な揺れ動きを描いた上でのストーリー進行が面白い。
Posted by
おもしろくなってくるまでが長かった。読むのに時間がかかった小説は初めてかもしれない。 いろんな話が複雑に絡み合っていて、どう収束していくのか下巻が楽しみ。 エネルギーがある時に読んだほうがいい。集中力が必要な本。
Posted by
ちょっと読むのしんどい。 なかなかすっと入ってこない時代背景。 警察と、犯人と、会社と新聞社からの視点で話が進むので、話の進みが遅く感じる 無駄があるわけではないんだけど 2018.1.23
Posted by
上巻が終わったばかりだけど、高村薫のこの緻密さは読むのにエネルギーがいります、が読み始めるとやめられません。 合田刑事シリーズ三作目らしいですがシリーズ初読みでもとりあえず問題なし。 レディジョーカー終わったら「マークスの山」「照柿」読まねば。 勧められなければなかなか手にとれな...
上巻が終わったばかりだけど、高村薫のこの緻密さは読むのにエネルギーがいります、が読み始めるとやめられません。 合田刑事シリーズ三作目らしいですがシリーズ初読みでもとりあえず問題なし。 レディジョーカー終わったら「マークスの山」「照柿」読まねば。 勧められなければなかなか手にとれない分厚いハードカバー2段組ですが早く下巻読みたいです。
Posted by
2回目のレビューです。 2回目なのに、ほとんど内容を覚えていませんでした。 1回目はなぜかあまり内容が面白くなかったのかもしれません。 こういった小説はジャンル的にほとんど読みませんが、 とにかく面白い。 登場人物の描写が細かく、みんな現実にいそうな人ばかり。 どういった結末を...
2回目のレビューです。 2回目なのに、ほとんど内容を覚えていませんでした。 1回目はなぜかあまり内容が面白くなかったのかもしれません。 こういった小説はジャンル的にほとんど読みませんが、 とにかく面白い。 登場人物の描写が細かく、みんな現実にいそうな人ばかり。 どういった結末を迎えるのか、楽しみです。
Posted by
初めて読む高村氏の作品。有名な作品なので簡単なあらすじは知っていたが、ここまで長く、ここまで複雑多岐に渡る内容だったとは・・・(汗) 冒頭の旧字体の手紙の箇所は、たまたま漢検一級の勉強中だったので難読漢字につまずくことなく何とか乗り越えられたが、途中何度も挫折しそうになった。 上...
初めて読む高村氏の作品。有名な作品なので簡単なあらすじは知っていたが、ここまで長く、ここまで複雑多岐に渡る内容だったとは・・・(汗) 冒頭の旧字体の手紙の箇所は、たまたま漢検一級の勉強中だったので難読漢字につまずくことなく何とか乗り越えられたが、途中何度も挫折しそうになった。 上巻の半分を超えた辺りから事件が動き出すので読み進めやすくなる。その頃には会社の概要や経済・株式の説明箇所は少々斜め読みしても大丈夫なことを学習し、以降順調に読み進めた。下巻に続く。 2015/12
Posted by