いとしい の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
二人姉妹のそれぞれの恋の行方を描く。 姉のユリエはオトヒコさんという何を考えているか分からない恋人を強く愛し、切なさを感じる。妹のマリエは紅郎という、教え子の兄と付き合いはじめる。 愛するってどういうことなのか、考えさせられる本だった。 最後のマリエのことば「誰かを好きになるということは、誰かを好きになると決めるだけのことなのかもしれない」印象に残った。 少しホッとしたのかもしれない。 純愛ブームで「愛する」ことが神聖化されているけど、やっぱり理屈で考えてもいいんじゃない?と言ってくれているような気がして。
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個性的な登場人物たちの、微妙で曖昧で繊細な、いとしい想いと関係を巡る物語。 川上さんとの対談で、一穂ミチさんが、 「いとしい」で初めて、名付けられない関係や感情を知った、紅郎が衝撃的だ、と語っているのを読んで、興味を持った。 ただ、私には紅郎よりも、一貫して言動が予測不能で、掴み...
個性的な登場人物たちの、微妙で曖昧で繊細な、いとしい想いと関係を巡る物語。 川上さんとの対談で、一穂ミチさんが、 「いとしい」で初めて、名付けられない関係や感情を知った、紅郎が衝撃的だ、と語っているのを読んで、興味を持った。 ただ、私には紅郎よりも、一貫して言動が予測不能で、掴みどころのないチダさんが魅力的だった。 不思議ちゃんミドリ子が、ど真ん中の苦手なタイプなので、一層マリエの報われない想いが理不尽に思えて切なかった。
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好き嫌いが分かれる小説かも。 個人的に後半部分から、感情移入できなくなった。 しかし、豆腐を食べるシーンで、とても豆腐が食べたくなった。 全体的に、やはり川上弘美の世界が描かれていると思う。
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2002年8月3日読了。以下、過去の日記から抜粋。 恋愛小説・・・おそらく。 ユリエ、マリエ姉妹のそれぞれの恋愛模様が描かれている。 最近漸く気付いたのであるが、川上女史の作品って非日常的。 私は『センセイの鞄』から入ったタイプだったので、 まさかこんなにも作品、作品に非日常性...
2002年8月3日読了。以下、過去の日記から抜粋。 恋愛小説・・・おそらく。 ユリエ、マリエ姉妹のそれぞれの恋愛模様が描かれている。 最近漸く気付いたのであるが、川上女史の作品って非日常的。 私は『センセイの鞄』から入ったタイプだったので、 まさかこんなにも作品、作品に非日常性が溢れているとは思わなかった。 今回もユリエの恋人は冬眠に入って身体に膜を張っちゃうし、 マリエの恋人の妹(かつマリエの教え子)は身体の一部がねじれる体質。 それがごく当たり前の顔をして、作品内に蔓延している。 登場人物が「そんなものか」と思っているから、私だってつい思ってしまう。 ユリエの恋は再生するが、マリエの恋は終幕を迎える。 しかし、非常に気持ちのよい終幕の迎え方なのである。 もう紅郎といっしょにいられないんだってわかった日の明けがた、 新聞配達の人の足音がとんとん階段をのぼってくるのを聞きながら、 私は、 よきものになりたいなあって思っていました。 「よきものになりたいなあ」というのが、いいなぁと思った。 特に気を張っているわけではなく、ちょっと他人事のように、 そんなことを考えるマリエに、優しい気持になれたような気がする。
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09/10/ 弘美さん、「いとしい」というタイトルはないでしょ う。 長い電車旅で他に活字が無かったのでしかたなく読ん だ。読むにつれ体の中から日常生活を維持しているアイ テムがゆるゆる抜けていくような妙な気分を味わった。 禁...
09/10/ 弘美さん、「いとしい」というタイトルはないでしょ う。 長い電車旅で他に活字が無かったのでしかたなく読ん だ。読むにつれ体の中から日常生活を維持しているアイ テムがゆるゆる抜けていくような妙な気分を味わった。 禁書目録に載せなければ。
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最初は普通だったのに、だんだんと川上ワールドになっていく。 恋人が半透明の膜に包まれて・・・なんて、冒頭の夏の日の姉妹の章だけを読んでいたら想像も出来ない。
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ほわんとした、川上弘美さんっぽい作品でした。高校教師になったマリエと、教え子ミドリ子、その兄でマリエの恋人の紅郎、マリエの姉、ユリエ、その恋人オトヒコさん、みどり子に付きまとう鈴郎・・・みんな誰かをいとしいと思っていて、悪人のいない小説です。
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2008.01.22. 久々に再読してみると、本当にするする溶け込んでいける。前に読んだ時は、ミドリ子の印象が強すぎる…というだけだったんだけど。それぞれのキャラクターがおもしろい。川上さんの独特の世界、擬音の使い方に引き込まれる。 2005.1.14. ユリエとマリエ姉妹のフ...
2008.01.22. 久々に再読してみると、本当にするする溶け込んでいける。前に読んだ時は、ミドリ子の印象が強すぎる…というだけだったんだけど。それぞれのキャラクターがおもしろい。川上さんの独特の世界、擬音の使い方に引き込まれる。 2005.1.14. ユリエとマリエ姉妹のファンタジーのような濃密な日々。またまた川上さんの不思議な世界が広がっていて、ずりずりと引き込まれてしまった。登場する人々もおかしな人ばかりなのに、はまってしまう不思議。味わいのある文章に、いつの間にか流れ流されていく感じで抗えない。現実でありそうでなさそうな、まろやかな世界だった。★4つ
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不思議ワールドでしたが、なんだか切なくなってしまった。やっぱり熱い恋ほど結ばれたいなって私は思うなー。ちょっと胸がちくちくしました。
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登場人物の声に、色や体温があり、それがふっと近づいてくるような作品です。 川上弘美作品はよく読んでいると思いますが、どの作品もファンンタジーを含んでいて、今回もミドリ子の耳などが後ろ向きについてしまったり、目がぐるぐる回ってしまったりと、不思議現象が満載でした。 ストーリーに現...
登場人物の声に、色や体温があり、それがふっと近づいてくるような作品です。 川上弘美作品はよく読んでいると思いますが、どの作品もファンンタジーを含んでいて、今回もミドリ子の耳などが後ろ向きについてしまったり、目がぐるぐる回ってしまったりと、不思議現象が満載でした。 ストーリーに現実にはありえそうも無いことが含まれている作品が苦手なら、川上弘美は読まないほうがいいですね。 もし読むなら「せんせいの鞄」です。 ほっこりとあったかい年の差カップルのお話です。 主人公が、せんせいに惹かれていき、必要と感じる心の動きがとても丁寧に書かれています。 話がずれちゃった。 作品の中で好きな文章は 「『オトヒコさんがユリエ(姉)に言ったせりふの一部』ユリエはでも自分のことばかり好きなように見えたよ。僕のことを好きだ好きだと言いながら、好きだ好きだと言えば言うほど、ユリエは自分の掘った穴に沈んでいくように見えたよ、その穴の中には永遠につづく螺旋階段があって、どこまで下っていっても尽きない」 「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む悲しい小説のようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある、そんなようなものだった」
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