櫂 の商品レビュー
女の強さ、弱さ、共感…
女の強さ、弱さ、共感も反発もあるけれど、感動します。ぜひ、春燈、朱夏、仁淀川、と手元にそろえて読み始めてみてください。
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15歳で渡世人に嫁し…
15歳で渡世人に嫁した薄幸の女、喜和の一生を、高知の古い街角を舞台に描いた長編です。
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一体どんな思いでこの…
一体どんな思いでこの私小説を書かれたのだろうと思うと、胸が詰まってくるほどの、迫真の作品。主人公喜和の、天然の女むき出しの苦しみ悲しみが痛いほど伝わってきます。
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芸妓紹介業を営む岩伍…
芸妓紹介業を営む岩伍のもとに十五歳で嫁いだ喜和の一生が描かれています。時には耐え忍んだり、時には激しく心情を吐露したりと一人の女性の波乱に満ちた生きざまが心を揺さぶります。
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渡世人の夫岩吾は芸妓紹介業を生業にし、女房の喜和は病気がちな長男龍太郎、手のかからない次男健太郎を育てる。岩吾は娘義太夫巴吉との間に子をなし、喜和はその子を我が娘として育てる。苦労の絶えない喜和の人生は継子の綾子こそが心の支えとなっていく。 喜和の考え方には独りよがりと思えること...
渡世人の夫岩吾は芸妓紹介業を生業にし、女房の喜和は病気がちな長男龍太郎、手のかからない次男健太郎を育てる。岩吾は娘義太夫巴吉との間に子をなし、喜和はその子を我が娘として育てる。苦労の絶えない喜和の人生は継子の綾子こそが心の支えとなっていく。 喜和の考え方には独りよがりと思えることもあるが喜和の哀切な半生は哀しい。
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大正から昭和の時代の女性の生き方が事細かに描かれている作品です。また、その当時の風俗、情景が描かれていて興味深く読みました。すごい作品を読んでしまったと思えるものでした。 喜和さんは夫から何を言われようが家を守り、夫の職種を心の中では嫌がりながらも支えていた喜和さん。外に女をつ...
大正から昭和の時代の女性の生き方が事細かに描かれている作品です。また、その当時の風俗、情景が描かれていて興味深く読みました。すごい作品を読んでしまったと思えるものでした。 喜和さんは夫から何を言われようが家を守り、夫の職種を心の中では嫌がりながらも支えていた喜和さん。外に女をつくることをどうしても許せなかった喜和さん。それでも我慢したが夫は仕事と心が落ち着く女を側に置き、最後には離縁を突きつけた。 夫ともっと冷静に話をできる時間がもてたら違っていたのだろうか・・・時代を考えるとそんな時間は持てなかったと自分は考えてしまいます。逆に、喜和さんが瀕死の状態のとき、三途の川で呼ばれた長男の声にもっとひきつけられていたら幸せだったのではないかと考えました。 最後は自分でお店を持って少しは落ち着いた雰囲気ではあったが、やはりどうしてあのとき三途の川を渡らなかったのか・・・。ぬくぬくとしたこの時代を生きるもには分からない、当時の人の情念なのかもしれない。
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2023/07/17 読み終わった 天璋院篤姫を読んでいたく感動し、宮尾登美子さんイヤーを開催したので。でも実はそれは去年のことで、この本は一度、20ページくらい読んで挫折していた。リベンジ。 読み終わり、なんとも言えない、もどかしい気持ちになった。えっここで終わるの?寂しすぎる...
2023/07/17 読み終わった 天璋院篤姫を読んでいたく感動し、宮尾登美子さんイヤーを開催したので。でも実はそれは去年のことで、この本は一度、20ページくらい読んで挫折していた。リベンジ。 読み終わり、なんとも言えない、もどかしい気持ちになった。えっここで終わるの?寂しすぎる…。篤姫もそうだけど、自分の中に強い芯を持ちながら、時代や環境の変化に抗えず、竿を刺すも流される、そんな女性を描いた作品だった。 宮尾さんの描く女性は、強いけど弱い。そういう印象。また、そんな周りの変化に対して付いて行けずか付いて行かずか、自分の考えをあくまで押し通す主人公の言動は俺からしたら「それはただの我儘だな」と思うことも少なくない。そういう意味で、ただ高潔で誇り高い人物というわけではなく、悪く言えばそこら辺にいそうな、よく言えば等身大の、まさに人間を描いている、宮尾さんの視点にはグッとくるものがある。 本編を読み終わって、気持ちを整理しながら解説を読んでいたら「本作は四部作の第一作目である」との記述。まじ…?全部読まなきゃじゃんそんなの。 宮尾登美子イヤーは続く。
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女衒業者に嫁いだ主人公が、苦労しながら高知で暮らす。 いろいろな人と接して、頑固さがだんだん表立ってくる。
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もう、表現される言葉や文化が古くてついていけない。作家の自伝的小説とのこと、相当優秀で美しい子であった様子、うらやましくて不快。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
林真理子の「綴る女」を読む前に知識を入れておこうと読み始めたら、これがまぁなんと極上の世界観。きめ細やかな情景描写と流れるような土佐弁のやりとり。林真理子が何を言うかといった気分になる。 戦争に突入する直前の、女が軽んじられる時代で、しかも家業は娼妓や芸妓を売買する仲介業となればなおのこと、男が居丈高に振る舞うのは仕方がないこと。とはいえ、夫岩吾の仕打ちにはあまりにも腹が立つ。女義太夫との間に子を作り、それを喜和に押し付けるくだりでは怒りで興奮しすぎて寝付けなかったほどだ。謝るどころか、嫌がる喜和に平手打ちを食らわせるんですよ!許せん!令和に生き返って根性叩き直せと言いたい。こういう男たちが日本を無駄な戦争へと向かわせたんでしょうね。 でもそんなモヤモヤした話の内容より何より、宮尾登美子の文運びの素晴らしさですよ。書き出しは楊梅やまももを近所に配って回る緑町での賑やかな1コマから始まり、季節の行事、人との交流を大切にする富田の日常が生き生きと描かれている。他人の出入りが多い、せわしない空気感や匂い、笑い声が伝わってくるようだ。 岩吾から隠居生活を強いられ、部屋で義理の娘と内職なんぞやり始める頃には、読んでるこちらも息苦しくなってくる。最後まで読み終わってからまた最初の楊梅のシーンを読み返すと本当に‥泣けてくる。でも結局、緑町のあの賑やかさの中で喜和は幸せを感じられなかったんだから、喜和の方にも問題はあるのかな。 義太夫の娘綾子のその後を描いた「春燈」「朱夏」も続けて読みたくなった。
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