ヘミングウェイ全短編(2) の商品レビュー
フランシスマガンバーとキリマンジャロが素晴らしい。男の死に理想があるのか、理想を見て死してこその男か、ヘミングウェイの理想像がアイロニカルに二作品に投影されてる気がした。それらより短い短編も雰囲気はあるがついていけないと感じるものもあった。
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冒頭か全てとも言える、キリマンジャロの雪。 標高6000メートルで息絶えた一匹の豹。 キリマンジャロは標高6,076メートル、 雪に覆われた山で、アフリカの最高峰と言われている。 その西の山頂は、マサイ語で”ヌガイエ・ヌガイ”、神の家と呼ばれているが、 その近くに、干からびて...
冒頭か全てとも言える、キリマンジャロの雪。 標高6000メートルで息絶えた一匹の豹。 キリマンジャロは標高6,076メートル、 雪に覆われた山で、アフリカの最高峰と言われている。 その西の山頂は、マサイ語で”ヌガイエ・ヌガイ”、神の家と呼ばれているが、 その近くに、干からびて凍りついた、一頭の豹の屍が横たわっている。 それほど高いところで、豹が何を求めていたのか、 説明し得た者は一人もいない。 ヤツはなぜ 何のために そんな高地へと やってきたのか 獲物を追い さまよううちに もどることのできぬ場所へ 迷いこんでしまったのか それとも何かを求め 憑かれたように 高みへ高みへと登りつめ 力つきて倒れたのか ヤツの死体は どんなだったろう 戻ろうとしていたのか それとも なお高みへと 登ろうとしていたのか いずれにせよ ヤツは もう二度と 戻れないことを 知っていたに違いない これはアッシュの解釈だけれど、 戻ろうとしていたのか、 それともさらに上を目指していたのか。 凍った豹は、 上を向いて、さらに登ろうとした姿で そこにいたと思う。 戻れないことを知った上で、 頂上に到着することを恐れ、 途中で息絶えられたことに安堵して。 ひとりで到達した場所、 どこであれ、そこが頂点だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
かの有名な『キリマンジャロの雪』が収録されている、ヘミングウェイの短編集その二。『清潔で、とても明るいところ』『海の変化』『オカマ野郎の母親』『死ぬかと思って』『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』『キリマンジャロの雪』がとても面白く読めた。特に『キリマンジャロの雪』。ここには、ヘミングウェイの持った作家としての死生観がとても色濃くあらわれている。色々と書きたいことがあるけれど、とりあえず、これだけは無条件で読んでみることをオススメできる。
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23清潔で、とても明るいところ →この題名こそが、”カフェ”のイメージだな、と思った。 ヘミングウェイって、自分の身に起こったことをそのまま小説に書いてしまう人だったのですね。 なんかちょっと勇気づけられました。 自分もそうしちゃおっかな。。。 最後、少し暗くなる、悲しくなる...
23清潔で、とても明るいところ →この題名こそが、”カフェ”のイメージだな、と思った。 ヘミングウェイって、自分の身に起こったことをそのまま小説に書いてしまう人だったのですね。 なんかちょっと勇気づけられました。 自分もそうしちゃおっかな。。。 最後、少し暗くなる、悲しくなる、辛くなる、むなしくなる。 そんなお話が書かれているという印象。
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サリンジャーが言葉の魔術師だとするならば、さしずめヘミングウェイは情景切り抜きの天才と言える。芥川と似ていると思う。 先日カミュの短編集を面白いと評した私であるが、その倍は面白い。老人と海を最初に読んだのは中学生の時。後頭部を鈍器で殴られたかのごとくの衝撃、驚嘆、感嘆。中学までに...
サリンジャーが言葉の魔術師だとするならば、さしずめヘミングウェイは情景切り抜きの天才と言える。芥川と似ていると思う。 先日カミュの短編集を面白いと評した私であるが、その倍は面白い。老人と海を最初に読んだのは中学生の時。後頭部を鈍器で殴られたかのごとくの衝撃、驚嘆、感嘆。中学までに何回も読み返したのはヘミングウェイ、コナン・ドイル、エドガー・アラン・ポー、ジャン・アンリ・ファーブルだけ。ヘミングウェイの面白さは、既に書いたがやはり時間と空間の切り取り方、そしテーマの面白さ。ヘミングウェイ自身のキャラクターからくるのか、魅力的な登場人物。 そういえば、ヘミングウェイは写真家ロバート・キャパと懇意であった。義理の息子にしていた。キャパの著書「ちょっとピンボケ」にはスペイン内乱にて戦うパパ・ヘミングウェイがでてくる。激しい人物なのだろう、容易に想像がつく。「魚が釣れないときは、神様が考える時間をくれているのさ」というセリフには恐れ入る。私は釣りはしないのだが。
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海流の中の人々、誰が為に鐘はなる、老人と海。 数々の素晴らしい長編小説を残した天才中の天才ヘミングウェイ。 しかし個人的には長編小説家としてより短編小説家として色濃く記憶に残っている。 異種民族の観察に人の勇、血の葛藤を見出し、性の誕生までもを机上で掘り起こした。 読む度に明らか...
海流の中の人々、誰が為に鐘はなる、老人と海。 数々の素晴らしい長編小説を残した天才中の天才ヘミングウェイ。 しかし個人的には長編小説家としてより短編小説家として色濃く記憶に残っている。 異種民族の観察に人の勇、血の葛藤を見出し、性の誕生までもを机上で掘り起こした。 読む度に明らかな才能に胸を痛め、やがて朽ちる肉体としてのヘミングウェイと文豪としてアメリカ文学を抱擁し続けた精神としてのヘミングウェイ。 形而上学的な思考からの解放を望み、人と作家という2つの顔を無垢故に混同できず自害を選んだ男。 世界を代表する『男』が書いた短編です。
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学生時代、英文学の授業でいい英語を書こうと思うなら「欽定英訳聖書」かヘミングウェイの短編を参考にするといいと教わった。 おそらく、シンプルでいい文が満載なのだろう。 「キリマンジャロの雪」だけはなんとか学生の時に読んだ。この2巻を全部通して読んでみたのはつい1年ぐらい前のこと。 ...
学生時代、英文学の授業でいい英語を書こうと思うなら「欽定英訳聖書」かヘミングウェイの短編を参考にするといいと教わった。 おそらく、シンプルでいい文が満載なのだろう。 「キリマンジャロの雪」だけはなんとか学生の時に読んだ。この2巻を全部通して読んでみたのはつい1年ぐらい前のこと。 英語でも読めればなあと思う。
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ヘミングウェイは作品を通じて何を言いたかったのか?それは読み手によって違うだろうし、時間を置いて読み直しても違ってくる。何度読んでも新たな発見がある気がする。
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パパがこんなに愛される、また僕がいいなぁと思う理由がなんとなくわかった。自分が素材になっているからなのだ。太宰しかり、著者という人間が作品に投影されているから、それを信じて読んでいけるんだと思う。と感想でないけど、この作品を読んでいて思ったこと。「キリマンジャロの雪」の冒頭にでて...
パパがこんなに愛される、また僕がいいなぁと思う理由がなんとなくわかった。自分が素材になっているからなのだ。太宰しかり、著者という人間が作品に投影されているから、それを信じて読んでいけるんだと思う。と感想でないけど、この作品を読んでいて思ったこと。「キリマンジャロの雪」の冒頭にでてくる豹は何を考えていたのか人生で考えていきたい。
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ヘミングウェイ作品にもアブサンは何度も出てきます。パリに興味を持ったのがこの作家からの影響です。Lost generation なんていうのにも憧れたものでした。特に大好きなのが「清潔でとても明るいところ」 (A Clean, Well-Lighted Place)。これはすごい...
ヘミングウェイ作品にもアブサンは何度も出てきます。パリに興味を持ったのがこの作家からの影響です。Lost generation なんていうのにも憧れたものでした。特に大好きなのが「清潔でとても明るいところ」 (A Clean, Well-Lighted Place)。これはすごい。そして最近気がついたのだが、Beckのアルバムタイトル”Sea Change”は、この短編から取ったのかなぁと。内容も恋人との別れで同じだし。まあどうでもいいことですが、こういうことがリンクすると物事がおもしろく感じます。
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