ヘミングウェイ全短編(2) の商品レビュー
自我にめざめ個人が自由に行動するのは、明治の昔、簡単ではない。 西欧的思想の個我にめざめ、作家を志し自由結婚を望めば、昔気質の父には認められないことだ。 そして強い個性の似たような親子はぶつかって、もう好い加減に許そうと思ってもおのおのなかなか出来ない。 周りの家族に...
自我にめざめ個人が自由に行動するのは、明治の昔、簡単ではない。 西欧的思想の個我にめざめ、作家を志し自由結婚を望めば、昔気質の父には認められないことだ。 そして強い個性の似たような親子はぶつかって、もう好い加減に許そうと思ってもおのおのなかなか出来ない。 周りの家族に助けられ、状況の変化に引っ張られて「和解」にたどり着く。でも決して理解しあったのではなく、親子の情がゆるむような「和解」。 やはり小説の神様は小説がうまかった。堪能。 さて、親子の確執は現代でも続いている。ブログでも見受けるし、自分も無いとは言えない。しかしその内容は名作とは違う。 現代ではそれこそ「個人の自由選択」は法律でも保証されている。そのように社会もなっているようだが、本当の意味で西欧の言う「自我」を確立しているかどうか。 堕落かもしれない。未発達なのかもしれない。 もたれあい、あまえあい、きずをなめあう、風土は依然としてあるから。 「パラサイト」許し難い。 過保護もってのほか。 そこに親子の確執が起こるとどうなるのか? 最悪は親殺し、子殺し事件のニュース。 でも、いちばんわかってくれるのも親。子も親は捨てられない。 願わくは、お互いの自立。
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キリマンジャロの雪、意外なくらい内省的。他の作品では『エデンの園』でも示されたヘミングウェイの「女性的なもの」への志向も垣間見える部分もある。個人的には「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」がヘミングウェイらしくて好み。
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摂氏と華氏の違いを知らずに死んでしまうと悲観する子供を描いたクスッとするような話から、死の博物館のような生々しい話から幅が広い。普遍的な話もあるけど、どちらかというとアフリカでの狩猟を描いた作品はその時代だから受け入れられた、という感じがする。 ただ、訳者の解説でヘミングウェイの怪我の遍歴が書かれていて、サメを捕獲するのに誤まって自分の足を撃ち抜いたり、トイレの紐を引っ張るのを間違えて天窓のそれを引っ張り額にガラスを直撃させるというおっちょこエピソードに声を出して笑ってしまった。
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読むのが難しかった。読みたかった『キリマンジャロの雪』は解説を読まないと最後意味がわからなかった。。。ヘミングウェイ難い
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「キリマンジャロの雪」が読みたくて、約20年ぶりに読んだヘミングウェイ。 酒と女と狩猟と海と。 私の中のヘミングウェイのイメージそのままの作品群。 ヘミングウェイの描く登場人物は、よく似ているように思う。男性は男くさく、女性は女らしく。それは、彼の考える男性像、女性像なんだろ...
「キリマンジャロの雪」が読みたくて、約20年ぶりに読んだヘミングウェイ。 酒と女と狩猟と海と。 私の中のヘミングウェイのイメージそのままの作品群。 ヘミングウェイの描く登場人物は、よく似ているように思う。男性は男くさく、女性は女らしく。それは、彼の考える男性像、女性像なんだろうけど。 簡潔な文章で生き生きと描き出される男女が、独特の世界観を醸し出す。 「キリマンジャロの雪」は再読。最初に読んだのは多分10代の頃。ハリーは妻に暴言を吐くだけのイヤな奴に思えた。 大人になって読んでみると、作者の死生観とか、大自然の中での人間の価値観とか、また違う作品のように思えた。 この歳になって、いわゆる名作と言われる作品を読み直すのも面白いかも知れない。
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ヘミングウェイ全短編二冊目.キーウェスト時代の短編集ということになる. 短編集「勝者に報酬はない」の他に,「世界の首都」「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「キリマンジャロの雪」を所収.一巻目よりストーリーの流れは良くなったが,印象に残るものが少なくなってしまった. アフリ...
ヘミングウェイ全短編二冊目.キーウェスト時代の短編集ということになる. 短編集「勝者に報酬はない」の他に,「世界の首都」「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「キリマンジャロの雪」を所収.一巻目よりストーリーの流れは良くなったが,印象に残るものが少なくなってしまった. アフリカのサファリを題材にした,「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「キリマンジャロの雪」がその中ではいい.
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☆☆☆2017年6月レビュー☆☆☆ ヘミングウェイ短編集第二弾。 「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」は別の短編集でも読んだが、まず思うのはこれ。当時の白人はこうも気軽にサバンナでライオン狩りをしていたのか、という事。こんなことをしていたのでは、野生動物の多くが絶滅の危機に追いやられるわけだ。 「嵐のあとで」 沈没船に残された遺留品を漁る男の話。真っ先にたどり着いたのに、お宝にありつけなかった、と悔しがる男。いやいや、沈没船があって中に女性の水死体が漂っているというのに!! この物語では、主人公(語り手)がボートから離れて潜っている間に、ボートが流れてしまったら大変だな~、とそれが心配だった。長時間深く潜って鼻血が出る、というものなかなかすさまじい話だ。 「世界の首都」 パコもかわいそうだが、エンリケもかわいそう。これは悲劇。しかし、なぜこの短編のタイトルが「世界の首都」なのだろうか? 不思議だ。闘牛士を夢見ていたパコ。闘牛のことを一体どう考えればいいだろう?ヘミングウェイの作品を読むと考えさせられる事が多い。
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再読。 狩猟、インディアン、夫婦。”清潔で、とても明るいところ”に象徴されるような陰な雰囲気が漂ってる。
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サファリでの狩猟をモチーフにした「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」と「キリマンジャロの雪」が印象的な短編集。つきまとうのはやはり「死」。
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