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ホテル・アイリス の商品レビュー

3.1

27件のお客様レビュー

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2022/08/03

ナルホド、噂通りの問題作でした。 島に住み翻訳家を自称する老人と、対岸のリゾート地で家内営業をするホテルの受付に立つ美少女の愛の物語。 問題作たるゆえんは、普段は気弱な紳士の老人が二人になるとサディストに変貌し、少女はマゾヒストとして老人の苛めを喜んで受け入れることです。 小川さ...

ナルホド、噂通りの問題作でした。 島に住み翻訳家を自称する老人と、対岸のリゾート地で家内営業をするホテルの受付に立つ美少女の愛の物語。 問題作たるゆえんは、普段は気弱な紳士の老人が二人になるとサディストに変貌し、少女はマゾヒストとして老人の苛めを喜んで受け入れることです。 小川さんの物語の多くは暗い水底で演じられる舞台のような独特の静寂感を持ちますが、この作品は地上の物語という感じがします。ただ、やはりどこか異世界ではありますが。まあ『ミーナの日記』あたりと同じか。 なぜ、小川さんがこういうSMの性愛物語を描いたのでしょうね。その点で小川ファンの中で評価が分かれる作品ですが、個人的には(もちろんそんな嗜好は有りませんが)意外にすんなり入り込めて、予想以上に一つの愛の形として面白く読むことができました。 今年の2月に日台共同で作られた映画が封切されているのですね。主演の永瀬正敏はちょっとイメージが合いませんが。。

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2016/11/03

初出の記載がなく書き下ろしか。  夏のリゾート地にある小さなホテル・アイリスの娘で17才のマリは、母親に命じられるまま毎日働いていた。  売春婦と泊まってトラブルを起こした男の命令口調の声に惹かれ、街で見かけた時に跡を付けて、50才以上も年上の男が遊覧船で行き来する島に住むロシ...

初出の記載がなく書き下ろしか。  夏のリゾート地にある小さなホテル・アイリスの娘で17才のマリは、母親に命じられるまま毎日働いていた。  売春婦と泊まってトラブルを起こした男の命令口調の声に惹かれ、街で見かけた時に跡を付けて、50才以上も年上の男が遊覧船で行き来する島に住むロシア語翻訳家だとわかる。  母を欺いて男の家に行くと、服を脱ぐよう命じられて胸が震え、服をはぎ取られて押さえつけられると痛みが甘美な香りを放ち、縛られて性器を探られると容赦なくおとしめて欲しいという願望があふれ出る快感を生んだ。  8才で父親を殺され、母親に厳しく服従させられてきたマリがなぜ男との関係にはまっていくのかは、読者には理解できない。

Posted byブクログ

2016/07/15

2016/07/15 帯で「なぜ?」って煽っておいて、それだけ。 SMでしか愛情を表現できなかったのだろうか。アレは愛情だったのか? 私は、アレは愛情ではなく会話だったと思う。そう思えば、会話ができない甥の存在も気になる。

Posted byブクログ

2015/11/13

ホテルアイリスの若い娘が、初老で変人の男に魅かれ、人知れずいびつな関係を築いていく。 なぜ、こんな男に惹かれたのだ。死に別れた父親の影で光が歪んでしまったのか。

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2015/09/15

小川洋子さんらしい世界だけれど、倒錯した行為が普通のSMアダルトビテオにありそうな感じで、現実的過ぎ過ぎるきがします。陳腐に感じました。 直接の行為ではなく、プラトニックなのに倒錯している恋愛を、小川洋子さんの小説に期待しています。

Posted byブクログ

2015/04/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まりのホテルで、事件の軽いのが起こる。 偶然その男に会った。 変態男? Mに目覚めた? 自分に興味を持ってくれたから? に、会いたいまり。 終末は、お決まりの、男が捕まる。

Posted byブクログ

2015/02/06

2015年1月7日読了。 老人と、少女。 こういう、歪みや狂気をうつくしく描くことにかけて、小川洋子さんはやはり一流。

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2013/06/04

DVをDVと思わず寧ろ愛と感じる少女と老人のえすえむ小説。生理的に無理だしきもいわーとか思いつつ、でも文章が読みやすくてとりあえずラストまで辿り着きました。…が、結局何も残らなかった。こんな小説に出会ったのは初めてですわ。

Posted byブクログ

2013/05/07

小川洋子さん、こんなのも書くんだ。 驚きなかばあきれつつも、文章は読みやすく小川ワールドに引き込まれたので、迷いつつ★4つ。

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2013/04/10

読む。 読む前から特別になる本がある。その理由は様々で、些細なことであったりとても大切なきっかけであったりする。今、すぐに思い出せるのは森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』。本の外に特別なことがあると、中の物語の色彩が変わる。 8頁目 《こんな美しい響きを持つ命令を聞いたこと...

読む。 読む前から特別になる本がある。その理由は様々で、些細なことであったりとても大切なきっかけであったりする。今、すぐに思い出せるのは森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』。本の外に特別なことがあると、中の物語の色彩が変わる。 8頁目 《こんな美しい響きを持つ命令を聞いたことがない、とわたしは思った。冷静で堂々として、ゆるぎがない。「ばいた」、という言葉さえいとおしいものに感じられた。》 思慮深い声、というものには独特の心地よさがある。それは焦がれるような響き。 63頁目 《同じ日の同じ時間、同じ場所へ向かおうとしている人間が自分以外にもう一人いる。そんな小さな事実がうれしかった。》 待つのは苦じゃない。会えなくなるのも、それはそれで悪くない。「待ち合わせ」という二人だけの特別な約束が、そう思わせる。 87頁目 《ガラスに映ったわたしは、死にかけた昆虫だった。肉屋の倉庫にぶら下げられたにわとりだった。》 物語が過去に重なる。あのとき、彼女が何を見て、何を思ったのかはわからない。ただ静かに望みを叶えていくだけの僕に、何を感じていたのだろうか。 128頁目 《母の命令はいつでもわたしを憂鬱にする。わたしを打ちのめし、みじめにする。》 「お母さんのせいか、気遣いが凄すぎてびっくりする」、なんて言われてしまう。ずっと嫌で仕方なかった。でも、それを自分の個性と受け入れたとき、小さな感謝が生まれた。 188頁目 《「いつもこういう、つまり、何もかも姿がなくなるくらいに、つぶしてしまった料理を、食べているの?」》 何を食べるかより誰と食べるか、なんて言うけれど、何を食べるか、ということは驚くほどに大事な要素だったりするのだから侮れない。 190頁目 《自分にはちゃんと舌があっただろうか。わけもなく急に心配になり、わたしはそっと歯で舌を噛んでみた。》 当たり前のことを確認しようとすると、決まって粘ついた汗が滲んでくる。自分がただ当然だと、そう思っていただけなんじゃないかと恐ろしいのだ。 245頁目 《医学辞典をめくるたびに、密着した紙と紙がはがされる何とも言えない音がした。》 僕の偏った嗜好はほとんどの場合、本へ向けられている。思い出や感情は物語から生まれ、性愛や欲望は形ある本そのものに見出した。変態と蔑まれても、既に手遅れです。 読了。 欠陥がある。軽い気持ちで打ち明けると大抵の場合、似たような答えが返ってくる。だからといって、認められたいわけでは決してない。余計な感情抜きに、全てが削がれた同じものであってほしい。戒められるわけでも赦されるわけでもなく、ただ、当然な顔をして。

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