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顔のない肖像画 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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『顔のない肖像画』―…

『顔のない肖像画』―それを描いたのは、戦後画壇に彗星のごとく現われ、10年間の精力的な活動の後に死した孤高の画家、荻生仙太郎。緻密な構成と巧妙な筆致で男女の微妙に揺れ動く感情を綴る短編7編を収録。

文庫OFF

ミステリーですが、男…

ミステリーですが、男女の恋愛が描かれ、文章も美しくて凝っています。

文庫OFF

2017/11/24

冒頭から興味深いシチュエーションが示され、巧みに読者をミスリードし、最後まで読むと勘違いに気づかされる短編集。「瀆された日」「ぼくを見つけて」「顔のない肖像画」がお勧め。 「瀆された日」 足の麻痺で入院している静子が、担当医に凌辱された話が、関係者の証言を中心に検証されていく。...

冒頭から興味深いシチュエーションが示され、巧みに読者をミスリードし、最後まで読むと勘違いに気づかされる短編集。「瀆された日」「ぼくを見つけて」「顔のない肖像画」がお勧め。 「瀆された日」 足の麻痺で入院している静子が、担当医に凌辱された話が、関係者の証言を中心に検証されていく。証言を読んでいると、どちらの言い分が正しいのか、わからなくなってくる。静子の妹の雪子の調査によって、様々な証言が一つに収束していき、意表を突く真実が浮かび上がる。特に、第三者が耳にした会話の証言の意味する内容が面白い。 「美しい針」 カウンセラーが精神的な歪みを抱えている患者に過去の体験を話させて、追体験することで精神を解放しようとする話だが、女性に徐々に魔の手が忍び寄っていくサスペンス感が味わえる作品。最後まで読むと、ある事柄に勘違いしていたことに気づく。 「路上の闇」 主人公がタクシーに乗り込むと、ラジオのニュースが流れ、タクシー強盗が近くで発生し、犯人が自分と同じ風采、服装をしていることに気づき、運転手が自分のことを犯人と思っているのではないかと疑心暗鬼に駆られる話。乗客と運転手との間の心理サスペンスだが、最後に逆転がある。本短編集中で唯一、途中で真相に気づいた。 「ぼくを見つけて」 9年前に誘拐されて死亡したはずの少年から「助けて」という電話が警察にかかってくるという奇妙な事件。刑事が調査すると、「助けて」という言葉が真実であったことが判明する。誘拐ミステリ―が十八番の作者らしいひねりの利いた真相。 「夜のもう一つの顔」 浮気相手の男を相手の自宅ではずみにより殺してしまった葉子。相手の妻であり、自分の上司である雪絵が自宅に戻って死体を発見し、葉子に助けを求める。二人の間で善後策を相談しているうちに、思いがけない真相が明らかになる。複雑な真相だが、ちょっとひっくり返しすぎでは、と感じた。 「孤独な関係」 主人公冴子が、職場の上司の妻から、夫の浮気相手が職場の六人の中にいるから調べてほしいとの依頼を受ける話。調べれば調べるほどに、どの女も怪しい。冴子の見解のほか、別の人物の見解も示され、孤独な関係を続けてきた夫婦が求めようとしたもの、信じようとしたものが明らかになる。 「顔のない肖像画」 主人公が画廊で見かけて、心惹かれた1枚の絵「顔のない肖像画」。その絵の所有者であり、作者荻生仙太郎の妻である老女から、その画家のオークションに代理出席して、もう1枚の「顔のない肖像画」を競り落とすように依頼される話。オークションに関する情報が入ってくるにしたがって、老女の依頼に対して不審な思いが募っていくが……。荻生仙太郎の幻の最高傑作とは何か。意表を突くオークションのからくりが最後に判明する。

Posted byブクログ

2015/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・涜された目 医師にレイプされたと訴える患者と妄言だといいはる看護婦・医師。果たして誰がうそをついているのか。 ・路上の闇 タクシー強盗犯がニュースをにぎわすなかでタクシーに乗車した主人公。ドライバーの様子がおかしく犯人じゃないのにだんだんぎこちなくなっていく。 ぼくを見つけて 死んだ少年から誘拐されたと警察に電話がある。よくわからないラスト。 ・孤独な関係 上司の妻より浮気調査の依頼をされる。追ってもホテルに女は現れない。上司は浮気ではなく一人の時間を買っていただけで自ら浮気にみえる工作をしていた。 ・顔のない肖像画 若い男がオークションにでて落札する依頼をうけるがそのウラにはいろんな駆け引きが行われていた。

Posted byブクログ

2015/01/04

全7編からなる短編集。どの作品にも引き込まれて騙されます。お気に入りは『美しい針』『孤独な関係』『顔のない肖像画』の3つです。 まだ連城を読み始めて2作目なので、連城作品のことを語るには早すぎるとは思いますが、彼の文章から感じる色がとても好きです。淡さがあって暗い、そのような印象...

全7編からなる短編集。どの作品にも引き込まれて騙されます。お気に入りは『美しい針』『孤独な関係』『顔のない肖像画』の3つです。 まだ連城を読み始めて2作目なので、連城作品のことを語るには早すぎるとは思いますが、彼の文章から感じる色がとても好きです。淡さがあって暗い、そのような印象をうけます。 人間にとっての「真実」は「嘘」で、また「嘘」は「真実」なのかなと、そのような錯覚がとても心地よいです。 『孤独な関係』の部長が好きになりました。なんというか夫婦というのは難しいものなのかなと。。人間それぞれの想いや行動が重なったとき、ミステリーは起こるのだなと思いました。

Posted byブクログ

2014/07/27

ノン・シリーズの短編集。どの短編も綺麗に騙され心地良かったです。 ベストは【ぼくを見つけて】。どこか掴みどころのない展開もラストの反転で全てが明らかになるさまが秀逸です。 【顔のない肖像画】も反転がこれでもかという程練り込んだ良作。ミステリーを読み慣れている人でもなかなか予想出来...

ノン・シリーズの短編集。どの短編も綺麗に騙され心地良かったです。 ベストは【ぼくを見つけて】。どこか掴みどころのない展開もラストの反転で全てが明らかになるさまが秀逸です。 【顔のない肖像画】も反転がこれでもかという程練り込んだ良作。ミステリーを読み慣れている人でもなかなか予想出来ないラストだと思います。

Posted byブクログ

2009/10/04

短編集ながら、どれもどっぷりと深みのあるストーリーです。構成が多様性に富んでいて、退屈することなく全てが面白かったです。個人的には顔のない肖像画が一番好きです。

Posted byブクログ

2009/11/24

短編7編が収録されています。 表題作は短編にもかかわらずすごいひねりがきいていて面白いです。 他にも「ぼくをみつけて」なんか面白かったです。

Posted byブクログ

2009/10/04

涜された目 美しい針 路上の闇 ぼくを見つけて 夜のもうひとつの顔 孤独な関係 顔のない肖像画 美術品をめぐる人間 心理の綾を描く「顔のない肖像画」 緻密な構成と巧妙な 筆致で男女の微妙に 揺れ動く感情を綴る 短編7編です。

Posted byブクログ