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快楽主義の哲学 の商品レビュー

3.7

86件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

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三島由紀夫の推薦文か…

三島由紀夫の推薦文からはじまる本書は、私達の日常の考え方を否定されます。余暇のために働くな、一匹狼であれ。今の時代にこそ読まれるべき一冊。

文庫OFF

男女必見、ということ…

男女必見、ということで。全盛期のカッパ・ブックスの中1冊だったとのこと。北鎌倉に家を建てる頭金を得るため語りおろした、という生い立ちらしい。36歳の澁澤の文章にガンガン赤を入れる編集者。神聖化された現在の澁澤のイメージからすると信じられない状況だったのだろう。

文庫OFF

今となっては当たり前…

今となっては当たり前のことも書かれているかもしれませんが、未だ本書が効力を失わない世の中であることも事実です。

文庫OFF

内容は古い感が否めま…

内容は古い感が否めませんが、たまにどきっとする文章に出会えます。

文庫OFF

2024/10/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『人間の生活には目的なんかないのです。人間は動物の一種ですから、食って、寝て、性交して、寿命がくれば死ぬだけです。』 冒頭からすごいフレーズだなと。 でも、ある意味人間の本質を突いてる気がする。 他人の胸の内なんてわかんないからこの考えが正しいのかも。

Posted byブクログ

2024/05/13

似た考え方の人いたわ~。 というかそりゃいるよな。80億人もいれば。いや、もうなくなった方を含めれば、何人の人間がいるんだろう。 ここではっきり申しますが、オルガスムの美学の最高の理想は、情死だろうと思います。 111 密室から広場へ一歩踏み出すためには、まず羞恥心を捨て、嫉...

似た考え方の人いたわ~。 というかそりゃいるよな。80億人もいれば。いや、もうなくなった方を含めれば、何人の人間がいるんだろう。 ここではっきり申しますが、オルガスムの美学の最高の理想は、情死だろうと思います。 111 密室から広場へ一歩踏み出すためには、まず羞恥心を捨て、嫉妬心を捨て、独占欲を捨てなければなりますまい。2人だけの密室の恋愛になれたわたしたちには、これはなかなか難しいことです。 116 118 まず、第一に注目すべきは、サドが男性のペニス、女性のヴァギナのみを性器と考えているのではない、ということです。 人間の体には、男でも女でも、いろんな孔が開いていますが、サドは肛門であれ口腔であれ、あるいはその他の肉体の凹所であれ、全ての孔をヴァギナと同格なものとみなしているのです。 また、その孔に挿入すべき突起物にも、たんに、男性のペニスだけでなく、口の中の舌、指、あるいは発達した女性のクリトリスなどが使われます。 つまり、肉体のありとあらゆる孔とよび突起物を用いて楽しむわけで、エロチックな快楽には性器だけが利用されうると信じている世の中の通常人には、到底考えられない複雑な態位による乱行も、こうして可能となるのです。 119 社会の組織と同じく、人間の肉体の組織にも、階級制度があり、分業が行われているようです。 では仕事をするための器官、舌は味をみるための器官、肛門は糞を排泄するための器官、そして、性器は快楽のための器官、と言うことになってしまいます。 これではあまりに不公平だ。あくせく働いてばかりでちっとも楽しい思いをしない器官があるではないか。 サドはそう考えてら手も舌も肛門も、分け隔てなく、エロスの快楽に参加させてやったわけなのでしょう。 これまで性器だけが、まるで専制君主制のように特権的な地位を占め、あらゆる快楽を独占している現状です。 133 快楽主義の巨人 高い知性と、洗練された美意識と、きっぱりとした決断力と、エネルギッシュな行動力 この4つの条件が揃って、初めて人間は翼を得たように、快楽主義的な宇宙の高みに舞い上がることができる。

Posted byブクログ

2023/10/16

 1965年に発刊された単行本の文庫版。1996年にやっと文庫化されたというのは、この本が当時の日本に与えた衝撃がかなり大きかったということなのかな?こんなの読んじゃいけません!みたいな、保守的な偉い人とか知識人たちもたくさんいただろうなぁと想像する。本文中に、こんな箇所がある。...

 1965年に発刊された単行本の文庫版。1996年にやっと文庫化されたというのは、この本が当時の日本に与えた衝撃がかなり大きかったということなのかな?こんなの読んじゃいけません!みたいな、保守的な偉い人とか知識人たちもたくさんいただろうなぁと想像する。本文中に、こんな箇所がある。 --- p.47  個人的な快楽はすべて軽蔑すべきものであり、不健全なものだ、と頭からきめこんでいる人たちがいます。「きのうは映画、きょうはボーリング。」などというと、不愉快そうな顔をし、「昨夜はおばあさんのお通夜に行ってきました。」などというと、いかにも満足そうな顔をする人たちがいます。 ---  そういう人たちが大多数の時代にあっては、澁澤龍彦さんが翻訳したたとえばマルキド・サドの著作の数々も、澁澤さん自身の本も、かなり前衛的でアブノーマルなものと捉えられただろう。でも令和5年の今日読むと、そこまでぶっ飛んだ内容でもなかったように感じてしまうから不思議。欧米に比べたらまだまだなのだろうけれど、日本だけで半世紀前と今とを比べてみれば、思想的にも、性的にも、本当に多様性に寛容になってきてはいるんだなぁと思った。  そしてわたしは重大なミスを犯していた。昔読んだ『西洋哲学史 古代から中世へ』がずっと印象に残っていて、その著者が書いた本だと思ってこの本を借りたのだけれど、『西洋哲学史〜』は熊野純彦さんで、澁澤龍彦さんでは全くなかった…道理で文章の雰囲気が似ても似つかなかったわけだわ。

Posted byブクログ

2023/08/28

第一章 幸福より快楽を から始まり、刺激的だが、荒唐無稽ではなく、むしろ生活そのものであるようなエッセイ。 快楽 とある以上、五感のリアルである事よ。 確かに、現代、概念的理性的に寄りすぎているかもしれない。 なんなら労働ですら遊んで仕舞おうか。

Posted byブクログ

2023/05/27

お前ら、これ読まないでロックとか語ってんの? 読むほど、自分の元の孤高さを感じる。目を覚まさせてくれ、云うなら自身の「アイデンティティ」を鼓舞してくれる。誰にも邪魔させないという強い気持ちが湧いてくる。 私に近いのは愛読書を書いたゲーテだ。光やまない汎神論の中で、愛に生き進み...

お前ら、これ読まないでロックとか語ってんの? 読むほど、自分の元の孤高さを感じる。目を覚まさせてくれ、云うなら自身の「アイデンティティ」を鼓舞してくれる。誰にも邪魔させないという強い気持ちが湧いてくる。 私に近いのは愛読書を書いたゲーテだ。光やまない汎神論の中で、愛に生き進み続ける。 ディオゲネスの放蕩ぶりや、ジャリの茶目っ気も好きだけど。

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2022/05/01

軽妙で面白い箇所がありつつも、全体としては退屈で読み進めるのに苦労しました。 中盤あたりで真面目に読む本ではないなと思ったのですが、もっと早く気付くべきでした。 頽廃や耽美を掲げ、エスタブリッシュドなお堅い思想を嘲笑していくスタイルで論談が展開されていきます。これはなかなか刺激...

軽妙で面白い箇所がありつつも、全体としては退屈で読み進めるのに苦労しました。 中盤あたりで真面目に読む本ではないなと思ったのですが、もっと早く気付くべきでした。 頽廃や耽美を掲げ、エスタブリッシュドなお堅い思想を嘲笑していくスタイルで論談が展開されていきます。これはなかなか刺激的で新鮮でした。 一方で、本書でいう快楽主義が今日に至るまで流行らなかったのは、それがお堅い思想に抑圧されてきたからではなくただ相手にされなかっただけ、と節々で感じてしまいました。全体にわたって、快楽主義自体の脆さをその中身の軽薄さでなんとか言い訳しているような印象を受けました。 快楽主義的な生き方が現代で通用するかと問われると、それもまた難しいような気がします。右向け右の時代ならまだしも、多様性が称揚される社会ではかえって窮屈で不自由な生き方になりそうです。 どうやら大衆のウケを狙った著作で、ファンからすれば澁澤龍彦らしさを欠いているらしいです。私は初めて彼の著作に触れたのですが、もう澁澤龍彦はいいかなと思ってしまいました。 ただ、浅羽通明さんの書評は本書のアウトラインと読後のモヤモヤを見事なまでに整理して言語化してくれました。なんならこの書評が本書で一番面白かったです。

Posted byブクログ