ガダラの豚(1) の商品レビュー
初めて読んだ中島らも作品。 アフリカ、魔術、超能力、伝奇、宗教・・・けっこう興味あるから面白かった。
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第47回日本推理作家協会賞。 呪術の研究をする大生部教授ご一行が、アフリカ・ケニアに行き「呪術大陸アフリカ~大生部ファミリーのアドベンチャー」という番組を録ることになる。そこで起こる不思議な出来事は、呪術のような、周到に仕組まれたワナのような…。 全3部中のこの第一部では、アフリ...
第47回日本推理作家協会賞。 呪術の研究をする大生部教授ご一行が、アフリカ・ケニアに行き「呪術大陸アフリカ~大生部ファミリーのアドベンチャー」という番組を録ることになる。そこで起こる不思議な出来事は、呪術のような、周到に仕組まれたワナのような…。 全3部中のこの第一部では、アフリカに行くまでのいきさつ、ご一行に含まれることになる超能力者・清川vsアンチ超能力の手品師・Mrミラクルの種明かし対決など。事件のカギとなる大生部の娘のエピソードは大事。 ここまではドタバタ小説として楽しく読み進められる。
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呪術エンタテイメント。その言葉が、本書にはしっくりくる。題材だけの話ではない。呪術のような深い闇を、見事なエンタテイメントに仕上げた作品だ。 全3巻からなる本書は、1巻ごとに温度が違う。 アフリカ呪術研究の第一人者、大生部が奇術師のミラクルとともに新興宗教のトリックを暴いて壊...
呪術エンタテイメント。その言葉が、本書にはしっくりくる。題材だけの話ではない。呪術のような深い闇を、見事なエンタテイメントに仕上げた作品だ。 全3巻からなる本書は、1巻ごとに温度が違う。 アフリカ呪術研究の第一人者、大生部が奇術師のミラクルとともに新興宗教のトリックを暴いて壊滅に追い込む第1部は、痛快なヒーロー物語だ。ただ、ところどころにスッと陰が落ちる。数々の『奇跡』がトリックだと暴かれていくなか、それでも『本物』が存在するという、証拠と言うには不確かな存在感が見え隠れする。 その不確かな存在感が確かな脅威となって現れるのが第2部だ。アフリカにテレビの取材で向かった大生部は、呪術師の村で『本物』の呪術師バキリと対峙する。 さらに第3部では、東京に戻ってきた大生部達を追って、バキリが東京に現れる。様々な人の思惑やメディアを巻き込み、決着に向かう大スペクタクルとなる。 この物語の1つの柱は、『呪術』だ。本書で語られる呪術はいわゆる超能力、と言うものではなく、アフリカ文化の中に根付く文化としての呪術だ。呪術は実在する、が、超常現象ではなくロジックが存在する。だが、「それでは科学で捉えることが出来るか」といわれると、それだけでも終わらない。 呪術師は空には浮けないが、ヘリに乗って飛ぶ。メディアの力を借りれば、指先1つで人を操る事は出来る。人を自殺させる事は出来ないが、何も無い崖に橋が架かっていると思わせることは出来る。 このあたりの感覚は、本書に限らず、中島らもの作品からよく感じるものである。他の小説では、超能力なんて本物か偽者かの二元論でしか語られない。しかし、本書は違う。本物か偽者か、ではなく呪術の『本質』に光を当てる。 『人』に対してもそうだ。登場人物は時にヒーローになるが、時に間違いを犯す。闇に飲まれるが、そこから復活も出来る。それらを映し出す『メディア』もそうだ。そこにある闇を、本書は内包している。 だが。それでも本書がエンタテイメントであることこそが、本当に凄いとことなのだ! あらすじだけ読むと、重い展開の小説に思われるかも知れないが、とんでもない。疾走するようなスピード感があり、ぐいぐいと読まされる。 闇は深い。それでもこの小説は決して暗くない。決して『呪術』や『人』や『メディア』の闇を小道具として使っているわけではない。テーマとして深く切り込んで、でもそこに飲み込まれず、エンタテイメントとして仕上げている。 興味深い考察に引き込まれて、物語自体がさらに面白くなる。物語が面白いから、考察を読むのにさらに熱が入る。それぞれが面白く、それぞれを面白くしている。 中島らもの興味分野に対する熱情と、しっかりした物語技術を、読者を楽しませたいという『サービス精神』で詰め込んだ傑作である。 ※500字感想と言う枠を大きく逸脱したが、全3巻だから大目に見る。自分で。
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全巻すごく面白く、一気に読み切りました。新興宗教。科学とオカルト。メディア。インチキとホンモノ。 これらの事がすべてツボにはまりました。
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うわぁ~面白い。中島らもって、こんな面白い小説を書く男だったんだ。 エッセイとか、ふざけた人生相談の企画物とか、そんなのしか読んだことがなかった。で、「大して面白くねえな」と評価してた。 あああ・・・もっと早く小説を読んでおけばよかったよ。 これは日本推理作家協会賞を受賞した作...
うわぁ~面白い。中島らもって、こんな面白い小説を書く男だったんだ。 エッセイとか、ふざけた人生相談の企画物とか、そんなのしか読んだことがなかった。で、「大して面白くねえな」と評価してた。 あああ・・・もっと早く小説を読んでおけばよかったよ。 これは日本推理作家協会賞を受賞した作品。 まだ第一巻は物語の導入部なので、何か大きな謎が出てきているわけでもないし、そもそも推理小説ではない。ええと、そうさなあ、これは正統派の冒険小説です。 大きなストーリーの幹は、主人公の人気タレント教授・大生部が、助手や超常現象暴きの手品師と協力して、似非新興宗教にはまってしまった妻を助け出す・・・というもの。その様子もわくわくどきどきものなのだが、物語に出てくる登場人物たちがこれまた魅力的。 アフリカの呪術に関する研究では世界的に有名だが、おちょぼ口故、「肛門先生」とあだ名される大生部教授。 美しく聡明だが、娘をアフリカで失った悲しみから新興宗教に騙されてしまう妻・逸美。 母似の美少年で父親思いの息子・納。 新興宗教・教祖の心玉。その部下で、実質的に教団を切り盛りする福田。 視聴率のためなら人も殺しかねない大男のプロデューサー・馬飼と、企画力の無い部下・水野ディレクター。 元超能力少年の清川と、正義感から似非超能力者のトリック破りに使命をかける奇術師、Mrミラクル。 個性的なキャラクターが、どれも「ああ、こういうヤツいるなあ」と思わせるリアリティで生き生きと動き回ります。 ああ、早く第二巻、第三巻も読破した~い!
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三部作という重さを感じさせないほど、一気に 読めてしまう作品。いや読まなければって力が働いている のかも。 第一部は宗教から始まっているのでちょっととっつきにくさがあるかも しれませんが・・・ 一作一作でも楽しめるが、全部が綿密に繋がっていて 読み応えたっぷり。三作目は...
三部作という重さを感じさせないほど、一気に 読めてしまう作品。いや読まなければって力が働いている のかも。 第一部は宗教から始まっているのでちょっととっつきにくさがあるかも しれませんが・・・ 一作一作でも楽しめるが、全部が綿密に繋がっていて 読み応えたっぷり。三作目は恐怖もたっぷり。 オススメです!
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正直言って、興味を引かれるタイトルでもないし、装丁でもない。 中島らもって聞いても、あの変なおっさんか。という感想しかない。 でも、 だまされたと思って一度読んでみるがいい。 このエンターテイメント性は奇跡的です。
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読みやすい文体 シリーズ3冊ありますが2日1冊のペースで読みおわりました。 2冊目は著者のアフリカ旅行記のようで楽しい♪ 東京の街にアフリカ呪術が表れるあたりからかなりコワイ
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やっぱりらもさんは面白い。 なつかしくて読み返している作品。 『呪術』、視点がすばらしいー! この先にある物語、昔読んだから大体覚えているはずなのに、先が読みたい。 でも、内容的にはらもさんがエッセイ等で描いてきた世界の小説版、みたいな。 洗脳とクスリとよっぱらいと格闘技。
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69/100 No.48「長門有希の100冊」 94年 第47回日本推理作家協会賞受賞 長編部門 文庫本3巻ありまして、まずは1巻目 不慮の事故で娘を死なせ、大学教授の夫はアル中に妻は精神を病み新興宗教に入信。 この夫の専攻は呪術医などの業績がある民族学者、同じTV番組...
69/100 No.48「長門有希の100冊」 94年 第47回日本推理作家協会賞受賞 長編部門 文庫本3巻ありまして、まずは1巻目 不慮の事故で娘を死なせ、大学教授の夫はアル中に妻は精神を病み新興宗教に入信。 この夫の専攻は呪術医などの業績がある民族学者、同じTV番組に出演したよしみでミラクルという奇術師に 助けられ、無事に妻をえせ新興宗教から奪回するというあらすじ・・ んー おもろい。 久々に面白い、小説は自分の知らない世界を知りえてなんぼの世界。 ここ数冊はいまいちのミステリー小説がつづいたので、この本はあたりだと実感した。
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