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マローンおばさん の商品レビュー

4.6

16件のお客様レビュー

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2024/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エリナー・ファージョンさんの詩の物語絵本ですね。  この本は、メメさんの本棚登録の素敵な感想に、心を打たれて読みました。メメさん、心洗われるやさしいおばさんの詩編は素晴らしいものでした。ありがとうございます♪ エリナー・ファージョンさん(1881ー1965、イギリスのロンドン生まれ)児童文学作家、詩人。カーネギー賞と国際アンデルセン賞を受賞されています。 絵は、エドワード・アーディゾーニさん(1900ー1979、ベトナム生まれ)イギリスで活躍。絵本作家、挿し絵画家。 訳は阿部公子さん(1948年、兵庫県生まれ)と   茨木啓子さん(1942年、満州生まれ)  マローンおばさん 森のそばで  ひとり貧しく くらしていた。  お皿には ひときれのパン  だんろには なべひとつ  話し相手も じぶんだけ  ひとりぼっちの さびしいくらし。  肩かけをし ずきんをかぶり  家のまわりで たきぎを拾い  古いぼろの 荒布しいて  床の上で ねむっていた。  ………………  ある冬の月曜日  雪は深く ふりつもり  足音ひとつ 聞こえない。  こおった窓をつつく  かすかな音に気がついて  おばさんは 窓べによって  耳をすませた。  そこにいたのは スズメが一羽。  みすぼらしくも よわりはて、   まぶたは半分 ふさがって  くちばしも こおりついていた。  おばさんは すぐに窓を開け  小鳥を中にいれてやり  胸にだいて つぶやいた。    「こんなによごれて      つかれきって!     あんたの居場所くらい     ここにはあるよ」  火曜日の朝に おばさんが  かわいたパンを かじっていると  スズメがそばで パンくずつつく。  (「仲間がいるとは うれしいね」)  火曜日にやってきたのはネコです。そして、次の水曜日には母ギツネと六ぴきの子ギツネ、そして木曜日にはロバが来ました。最後の金曜日にクマが来ましたが、おばさんは、家に入れてやりました。     「次から次へと    家族が ふえた。    でも もう一ぴきぐらい    居場所はあるよ」  土曜日、おばさんは夜になっても起きてきません。  日曜日に、動物たちはおばあさんをロバに乗せて天国の門へと進んでいきました。  やさしいおばさんのお話が、詩で語られています。  エドワード・アーディゾーニさんのペン画が詩の横のページに寄り添うように描かれて、詩を謳歌します。博愛の慈悲の心が美しく、動物たちの真心が痛ましいですね。  心が清らかに癒される想いがしました。  

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2024/09/11

『マローンおばさん』 エリナー・ファージョン  エドワード・アーディゾーニ 絵 訳者 阿部公子/茨木啓子 文庫本をひと回りほど大きくしたくらいの、絵本にしては小さなサイズの薄めの詩の本です。 エリナー・ファージョンの詩(原題:Mrs.Malone)に、その詩の場面ごとに伝える、...

『マローンおばさん』 エリナー・ファージョン  エドワード・アーディゾーニ 絵 訳者 阿部公子/茨木啓子 文庫本をひと回りほど大きくしたくらいの、絵本にしては小さなサイズの薄めの詩の本です。 エリナー・ファージョンの詩(原題:Mrs.Malone)に、その詩の場面ごとに伝える、アーディゾーニのさし絵が添えられています。 「わかちあう愛」〜困ってる者があれば、助けてあげる〜そんな、シンプルだけれども最も大切なメッセージが込められています。 “マローンおばさん 森のそばで ひとり貧しく  くらしていた。“ “だれひとり ひとりとて、様子をたずねる人もなく 心にかける人もない。“  ある冬の月曜日ー窓辺にみすぼらしくも弱り果てたスズメが一羽、マローンおばさんはすぐに窓を開け小鳥を中に入れてやります。  “「こんなによごれて つかれきって!   あんたの居場所くらい ここにあるよ」“  “火曜日の朝に おばさんが    かわいたパンを かじっていると    スズメがそばで パンくずつつく。   (「仲間がいるとは うれしいね!」) “  その日ネコが一匹、水曜日には母さんギツネが六匹の子ギツネを連れて、木曜日にはロバがきて、金曜日には山のほうから一頭のクマがおりてきます。 どの動物にもわずかでも、おばさんは食べ物を分けてあげます。荒布もずきんも肩かけも、パンもお茶もーなにもかも。  “「次から次へと 家族がふえた。   でももう一ぴきぐらい 居場所はあるよ」“ “土曜日の夜が来て、ごはんの時間になったけどー“ ーここまでにしておきますね。この先は、ぜひお手に取られてください。目が霞んでしまいます、、 【あとがきにかえて】より。 『この魅力あふれる主人公(マローンおばさん)は、ファージョン自身に似ているといわれます。ファージョンは人も動物もー特にネコがー大好きで、彼女のところにはみんなの「居場所」がありました。』 とあります。みんなに愛されたファージョンを、この作品から感じることができますね。慈愛に満ちています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー アーディゾーニの絵は大好きで、この作品では詩に合わせてモノトーンのイラストになっています。 この詩の雰囲気ととても合っています。本棚にそっと大切にしまっておきたい一冊です。 (巻末には詩の原文もありますよ〜)

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2023/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

災害用持ち出し袋に入れておきたいと思った。 「汝、隣人を愛せよ」というキリストの教えが基底にある。 他者を慈しむ人が報われるようになっていて、カタルシスがある。 現実では報われないこともある。それでも、相手を思いやって行為した記憶の積み重ねが、結果として自分への信頼になり、それが自分を支えてくれるときが来る。 まわりまわって自分のためになるから情けをかける、というのとは違って。 他者を他者として思いやることの尊さが、挿絵やことばひとつひとつに詰まっている。

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2022/09/24

【あんたの居場所くらいここにはあるよ】 寂しく一人森の中で暮らすマローンおばさん。 決して裕福でも、身体が自由にきくわけでもない。 それなのに、家に辿り着くたくさんの動物たちを温かく助ける。その姿にどこか心をよせてしまう。 素敵な詩、そして挿絵、そこに抜擢された翻訳者のあ...

【あんたの居場所くらいここにはあるよ】 寂しく一人森の中で暮らすマローンおばさん。 決して裕福でも、身体が自由にきくわけでもない。 それなのに、家に辿り着くたくさんの動物たちを温かく助ける。その姿にどこか心をよせてしまう。 素敵な詩、そして挿絵、そこに抜擢された翻訳者のあとがきも熱意に溢れていて好きでした。 居場所があること、その安心感をこの絵本に感じられたら嬉しい限りです。

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2021/11/06

小さな絵本でした。マローンおばさんは貧しくて孤独で、普通だったら周りを怨んだり憎んだりしそうなのに、困った動物たちを次々受け入れ、助けます。 自分だったらこんな風にできるかな?と思うと、まったく自信はないですが(笑)考えさせられます。マローンおばさんのセリフがいいです。一読の価値...

小さな絵本でした。マローンおばさんは貧しくて孤独で、普通だったら周りを怨んだり憎んだりしそうなのに、困った動物たちを次々受け入れ、助けます。 自分だったらこんな風にできるかな?と思うと、まったく自信はないですが(笑)考えさせられます。マローンおばさんのセリフがいいです。一読の価値は、大いにあり。

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2021/07/09

子供の頃からモノクロの挿絵は寂しそうで苦手でした。 底無し沼のような不気味な深さが忍び寄ってくるようで 苦手だったのでしょうか。 困ったもので大人になっても引きずっておりました。 そんな私をファージョンの「マローンおばさん」は 優しい詩のような語り口で そしてモノクロでも暖炉のよ...

子供の頃からモノクロの挿絵は寂しそうで苦手でした。 底無し沼のような不気味な深さが忍び寄ってくるようで 苦手だったのでしょうか。 困ったもので大人になっても引きずっておりました。 そんな私をファージョンの「マローンおばさん」は 優しい詩のような語り口で そしてモノクロでも暖炉のように優しい挿絵で この困ったトラウマを払拭してくれました。 宝物です。我が家に届くまで こんな可愛らしい大きさの本だというのは知りませんでした。 最後に英詩もついています。 この本を制作された方々の愛情を強く感じる本当に良い本です。

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2021/01/25

こういう話だとは知らなかったです! 話というか、詩なんですね。 1人で孤独に生きていても、貧しくても、心優しいマローンおばさん。心は飾れないからなぁ。

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2020/12/06

「わかちあう愛」がテーマでしょうか。心に深く沁みる物語です。「マローンおばさん」、1996.10発行。エリーナ・ファージョン(1881~1965)の詩、エドワード・アーディゾー二(1900~1979)の絵、翻訳は阿部公子&茨木啓子。

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2020/05/27

ちっちゃいときから何故か家にあった本。 はかないんだけど、どうしようもなく大きい優しさを感じる絵本。ずっと持っておきたい。

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2017/01/22

"社会に居場所を失い、非行に走る子どもたち。そんな少年や少女に寄り添い、30年以上、その立ち直りを支えてきた女性がいる。“ばっちゃん”こと、元保護司の中本忠子(ちかこ)さん82歳。長年の経験から「非行の根っこには空腹がある」と確信した中本さんは、広島市内にある自宅を開放...

"社会に居場所を失い、非行に走る子どもたち。そんな少年や少女に寄り添い、30年以上、その立ち直りを支えてきた女性がいる。“ばっちゃん”こと、元保護司の中本忠子(ちかこ)さん82歳。長年の経験から「非行の根っこには空腹がある」と確信した中本さんは、広島市内にある自宅を開放し、手料理を振る舞い、親身になって相談にのりながら、多くの子どもたちを更正させてきた。そんな中本さんと子どもたちの8年間の記録。" NHKホームページより。 2017/1/7放送のNHKスペシャルで取り上げられた"ばっちゃん"、知人とその話をしていた時に紹介してもらったこの絵本。 ばっちゃんもマローンおばさんも、ただ目の前のことに淡々と対応してるだけなんだろうな。 ボランティアが自分さがしみたいになってしまう、それはかならずしも悪いことではないけど…助けが必要なものをただ助ける。そういう姿に学ぶことは多い。

Posted byブクログ