大衆の反逆 の商品レビュー
長く、きちんと読めないまま、来てしまいましたが、読み通しました。1930年に刊行された大衆社会論であり、ファシズム、スターリン的マルクシズムが挫折していく以前の書ですが、説かれている内容は、今こそ、真剣に取り組まなければならないように思いました。 読み返しをして咀嚼していきたいと...
長く、きちんと読めないまま、来てしまいましたが、読み通しました。1930年に刊行された大衆社会論であり、ファシズム、スターリン的マルクシズムが挫折していく以前の書ですが、説かれている内容は、今こそ、真剣に取り組まなければならないように思いました。 読み返しをして咀嚼していきたいと思います。
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あらゆる語彙を尽くして大衆の悪口を書いているのでおもしろい、音楽の違法アプリを使用する人びとなんかを見ると、ここに描かれる大衆の姿というのは今も変わってないなと感じる。
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オルテガ 「大衆の反逆」。大衆社会への批判と国家観を論述した歴史哲学な本。ヒトラーの大衆操作と民族的国家観と 比較しながら読んだ。 著者が伝えたかったのは、大衆を批判することで、人間のあるべき生き方。 「歴史は 農業と同じく、谷間から養分を吸収するのであって山頂から ではない...
オルテガ 「大衆の反逆」。大衆社会への批判と国家観を論述した歴史哲学な本。ヒトラーの大衆操作と民族的国家観と 比較しながら読んだ。 著者が伝えたかったのは、大衆を批判することで、人間のあるべき生き方。 「歴史は 農業と同じく、谷間から養分を吸収するのであって山頂から ではない。社会の平均水準から養分を取るのであって、傑出した人からではない」 大衆=平均人=慢心しきったお坊ちゃん 大衆社会=大衆により平均化された社会 *歴史的水準は向上した *生の水準は向上した ヒトラーは 大衆を言葉と権威で服従させたが、オルテガは 大衆を言葉で目覚めさせようとしたのではないか。国家観については ヒトラーとオルテガは 全く逆。ヒトラーは単一民族主義、オルテガは多民族混血主義。
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エリートの政治から大衆の政治への転換による弊害について述べられたもので、1930年に書かれている。あくまでヨーロッパに焦点が当てられていることと過激な表現が多いことが気になるが、本質を鋭く突いており、とても二次大戦前に書かれたとは思えない。現代社会も状況は大きく変わっておらず、本...
エリートの政治から大衆の政治への転換による弊害について述べられたもので、1930年に書かれている。あくまでヨーロッパに焦点が当てられていることと過激な表現が多いことが気になるが、本質を鋭く突いており、とても二次大戦前に書かれたとは思えない。現代社会も状況は大きく変わっておらず、本書の意見を踏まえ物事を考察していくことは大事であろう。 「大衆人はただ欲求のみを持っており、自分には権利だけがあると考え、義務を持っているなどとは考えもしない」p23 「今日の虎は六千年前の虎とまったく同じである。というのは、虎は一頭一頭、あたかも以前に虎など存在していなかったのごとく、新たに虎としての存在をはじめなければならないからである。ところが人間は、記憶力のおかげで自分自身の過去を蓄積し、それを利用する。つまり新しく生まれてきた人間は、最初から過去の堆積というある程度の高みに立っているのである。その唯一の宝の最も小さな長所は、それがわれわれに、つねに同じ誤りを繰り返すのを避けるために、失敗を記憶することがいかに重要であるかを教えてくれることである」p50 「民族は、過去のあらゆる時代を完全にわがものとし、それを積極的な働きをする財産として保持している」p53 「大衆が(エリートの)少数者に対して不服従となり、少数者に服従することも、少数者の模範にしたがうことも、また少数者を尊敬することもなく、その反対に少数者を脇に押しのけ、彼らにとって代わろうとしている」p73 「(大衆の行う)政治形態は未来のことを計算して出てきたのではなく、現在の緊急事を解決するために出てきた政治形態である。そのため、社会的権力の活動はその時々の葛藤をかわすことだけに限られている。その活動は葛藤を解決するためではなく、さし当たってそれから逃れるためである」p110 「甘やかされた大衆は知性がかなり低く、空気と同じように自分の自由になる物質的、社会的組織も、やはり空気と同じ起源のものだと信じている」p123 「飢饉が引き起こす暴動では、一般大衆はパンを求めるのが普通だが、その際に彼らが用いる手段といえば、こともあろうにパン屋を破壊することである」p124
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全部が全部ではないのだが、ところどころグッとくる記述がある。「一般人が専門家を尊敬しなくなり、専門的な知識でさえ、一般人の直感とそぐわなければバカにする」といったくだりは、今まさに、2ちゃんねるとかみてると、連日のように書き込まれている内容そのものだと思う。ほかにも、大衆というよ...
全部が全部ではないのだが、ところどころグッとくる記述がある。「一般人が専門家を尊敬しなくなり、専門的な知識でさえ、一般人の直感とそぐわなければバカにする」といったくだりは、今まさに、2ちゃんねるとかみてると、連日のように書き込まれている内容そのものだと思う。ほかにも、大衆というより、オタクの説明かと思うような箇所もあり、その新しさ、今でも通用する度に驚いた。なんとなく、再読するとまた新たな発見のありそうな本。ちなみに、前から気になってて、たまたまブックフェアで安く売ってたから買った。""
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スペイン人の著者が、1930年代に、1920年代から30年代のヨーロッパ社会について論じた書。 訳者の要約がわかりやすい。 「…十九世紀は大衆人に恐るべき欲求とそれを満足させるためのあらゆる手段を与えたが、その結果現代の大衆人は過保護の『お坊ちゃん』と化し、自分を取り巻く高度で豊...
スペイン人の著者が、1930年代に、1920年代から30年代のヨーロッパ社会について論じた書。 訳者の要約がわかりやすい。 「…十九世紀は大衆人に恐るべき欲求とそれを満足させるためのあらゆる手段を与えたが、その結果現代の大衆人は過保護の『お坊ちゃん』と化し、自分を取り巻く高度で豊かな生の環境=文明を、あたかもそれが空気のような自然物であるかのように錯覚し、文明を生み出しそれを維持している稀有の才能に対する感謝の念を忘れるとともに、自分があたかも自足自律的人間であるかのように錯覚し、自分より優れた者の声に耳を貸さない不従順で自己閉塞的な人間と化してしまったのである。いうなれば、現代の大衆人は文明世界の中に突如おどり出た未開人であり、『野蛮人』なのである。」 東日本大震災から明日でちょうど1年。まさに今の日本のことを指摘されているかの錯覚に陥るほど、身に染みる逆説である。原発に対して、無知であることは許されないと言われている気がした。
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きわめて強力でありながら同時に自分自身の運命に確信が持てない、自分の力に誇りを持ちながら、その力を恐れている時代。優越感と不安感の入り混じり。 大衆⇔貴族:努力の人、優れた人というに等しい。つねに自己を超克し、おのれの義務と要求を強く自覚して、既成の自己を超えてゆく態度を持つ者。...
きわめて強力でありながら同時に自分自身の運命に確信が持てない、自分の力に誇りを持ちながら、その力を恐れている時代。優越感と不安感の入り混じり。 大衆⇔貴族:努力の人、優れた人というに等しい。つねに自己を超克し、おのれの義務と要求を強く自覚して、既成の自己を超えてゆく態度を持つ者。 大衆が国家という匿名化された機械を使う アメリカはヨーロッパから生み出された若返りにすぎない アメリカが優れているのは市場が広大である事の結果にすぎない 国家(state)は一つの均衡状態を意味する。しかし平衡状態ということは、そのうちにダイナミズムが秘められているという事。 ヨーロッパ各国のアイデンティティのほとんどはヨーロッパ内で共有されている物 大衆の願望は、いかなるモラルにも束縛されずに生きることにある 現代は大衆人(生の計画を持たない存在)が支配している→大衆人の「お坊ちゃん」化。自分を取り巻く豊かな環境を当たり前に感じてそれが生み出され維持されている事に感謝を忘れ、自分より優れた者の声に耳を貸さない不従順で自己閉塞的で野蛮な人間になっている。 現代の危機は、模範的人間の欠如と反逆的大衆の増大の両方。解決するためには、過去の歴史など、現状の背景を意識する必要がある。
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本気なのか?反語なのか?といった攻めている感じの文章がある。その先を続けてよく読めば本当に言いたいことが何かわかるが。センセーショナルな章タイトルや導入部の書き方は、新聞のキャッチ―な見出しやリード(前文)に通じるものがある。 「大衆とは、良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊...
本気なのか?反語なのか?といった攻めている感じの文章がある。その先を続けてよく読めば本当に言いたいことが何かわかるが。センセーショナルな章タイトルや導入部の書き方は、新聞のキャッチ―な見出しやリード(前文)に通じるものがある。 「大衆とは、良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出している」という部分で、自分のことを言われているようだった。 「研究者の仕事がますます専門化する」「科学者が一世代ごとにますます狭くなる知的活動分野に閉じこもってゆく」「自己の限界内に閉じこもりそこで慢心する人間」といった言葉は、思想を持つために知を得る時に陥りがちな専門バカや狭窄的な視点への警鐘に思われた。 また「真に自己を迷える者と自覚しない者は、必然的に自己を失う」「一つの真理を発見するものは、その前に習得したものを粉砕しなければならない」という言葉も心に残った。
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現代社会の主役となった大衆が、現在の自分らを支えている権利や文化、技術の意義を顧みず、あたかも原始人として振舞う(過去の過ちを繰り返す)ことに対して警鐘を鳴らす。社会科学って大事ですね 自然科学にしろ社会科学にしろ、これまで人類が積み上げてきた叡智は莫大な量になった訳だけど、人間...
現代社会の主役となった大衆が、現在の自分らを支えている権利や文化、技術の意義を顧みず、あたかも原始人として振舞う(過去の過ちを繰り返す)ことに対して警鐘を鳴らす。社会科学って大事ですね 自然科学にしろ社会科学にしろ、これまで人類が積み上げてきた叡智は莫大な量になった訳だけど、人間にそれ全部を使いこなす能力はない訳だから、自然と何処かで叡智を機械化、簡略化、ブラックボックス化しないと最先端の事象は扱えない。何でもかんでも顧みてなんて、現実的には無理なんだよな
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大衆とは、閉鎖的で凡俗。凡俗であることの権利を主張し、その一方で無気力。国家へ主張することの意味を自覚しない。この存在が集合体となれば、国家はおろか国際社会をも脅かす強大な力となる。世界で保護主義が蔓延しつつあるいまだからこそ、読んでおくべき一冊。
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