陰翳礼讃 の商品レビュー
以前デザインの仕事をしていた時に読むと良いと言われたことがあります。羊羹(食べるようかん)の所の印象が強いです。 違ったモノの見方の参考になります。どうしてそれがそういう姿であるかということを考えるきっかけになりました。 ただ、人の考え方というのは時代にとても強く影響を与えるもの...
以前デザインの仕事をしていた時に読むと良いと言われたことがあります。羊羹(食べるようかん)の所の印象が強いです。 違ったモノの見方の参考になります。どうしてそれがそういう姿であるかということを考えるきっかけになりました。 ただ、人の考え方というのは時代にとても強く影響を与えるものだと思いました。 同時に普遍的な考え方もあるでしょうが。 陰翳礼賛!
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谷崎潤一郎作品の中で 一番好きな作品がこれ。 言葉の選び方が、 とても心地よくて好きだ。 羊羹について語る部分は特に好きで、 文章だけで 羊羹のツヤや色合いや、あの風味まで 読み手に想像させる文才は 本当に素晴らしいと思う。 更には口に『含む』という漢字を、 『くくむ』(変換...
谷崎潤一郎作品の中で 一番好きな作品がこれ。 言葉の選び方が、 とても心地よくて好きだ。 羊羹について語る部分は特に好きで、 文章だけで 羊羹のツヤや色合いや、あの風味まで 読み手に想像させる文才は 本当に素晴らしいと思う。 更には口に『含む』という漢字を、 『くくむ』(変換だけでは出てこない漢字)という 独特な漢字を使われており、 その『くくむ』という響きがまた、わたしは好きだ。 他にもいくつか短編が入っており、 『恋愛及び色情』は 西洋と東洋の色欲について 比較しながら書かれていて特に面白い。
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今更であるが、読んでみた。 文学というカテゴリであるが、これは日本の空間の在り方の核心をつく、優れた指南書であると思う。 陰翳礼賛、ひらたく言うと「陰を大事にしよう」ということである。 時代のせいか、多少文章は堅苦しいが、内容としては実に単純明快で面白い。 昭和8年に執筆され...
今更であるが、読んでみた。 文学というカテゴリであるが、これは日本の空間の在り方の核心をつく、優れた指南書であると思う。 陰翳礼賛、ひらたく言うと「陰を大事にしよう」ということである。 時代のせいか、多少文章は堅苦しいが、内容としては実に単純明快で面白い。 昭和8年に執筆されたこの書が指摘していることは、今まさに、日本というアイデンティティを認識するのに、恰好の内容であると考える。
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日本のほの暗さをほめたたえる気持をこんなにたっぷりかけるなんてすごいです。今だから彼の気持ちがわかるけれど、昭和40年の人たちにだったらわからなかったのではないかと思いました。
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建築のテキストでしばしば取り上げられています。 比較文化論として非常に鋭い視点があると思います。 文体は、軽いと言うか、とどのつまりは、老人の放言じゃないか、という感も。
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最近の白すぎる家へ、ちょっと疑問…と思う方へ。 日本人と「陰」との関わりあいを考えさせられます。 デザインのお仕事をされている方にも、読んでいただけると○。
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今まで考えもしなかったような角度から、日本人が根底に感覚として持つ、陰影へのこだわりを説明してくれた本。論じている内容は、漆器や家の普請や能楽など、様々な事柄に及んでいて、そのどれもが、言われてみればなるほどと納得するような、驚きと説得力をもっていた。 以前に、「TIME」誌で...
今まで考えもしなかったような角度から、日本人が根底に感覚として持つ、陰影へのこだわりを説明してくれた本。論じている内容は、漆器や家の普請や能楽など、様々な事柄に及んでいて、そのどれもが、言われてみればなるほどと納得するような、驚きと説得力をもっていた。 以前に、「TIME」誌で、「人類のベスト・ワースト」という特集を読んだ時に、「最も醜いもの」として「日本のお歯黒」が挙げられていたのを見たことがあった。あれも、西洋人からしたらまったく意味がわからないものだろうけれど、日本人の肌の色や、薄暗い室内でのみ顔を見せるという文化を考え合わせれば、意味があるものなのだろうと思う。 この本が書かれたのは昭和8年。まだ、その当時だったら、著者が論じているような、電気のまぶしい光ではない、蝋燭の明かりによる生活というものが想像がつく人が多かっただろうし、著者と同じように、陰影の中にこそ現れる美しさというものを理解して、愛でていた人も多かったんじゃないかと思う。 今の時代では、こうして、文章によって語られたことから想像を喚起することでしか、生活の中で陰影が映える情景を思い浮かべることはないけれど、この本を読んだ後ではじめて気づいた、日本独特の美意識というものが数多くあった。 もし東洋に西洋とは全然別箇の、独自の科学文明が発達していたならば、どんなにわれわれの社会の有様が今日とは違ったものになっていたであろうか、と云うことを常に考えさせられるのであう。たとえば、もしわれわれがわれわれ独自の物理学を有し、化学を有していたならば、それに基づく技術や工業もまた自ずから別様の発展を遂げ、日用百般の機械でも、薬品でも、工藝品でも、もっとわれわれの国民性に合致するような物が生まれてはいなかったであろうか。(p.16) ぜんたいわれわれは、ピカピカ光るものを見ると心が落ち着かないのである。西洋人は食器などにも銀や鋼鉄やニッケル製のものを用いて、ピカピカ光るように研き立てるが、われわれはああ云う風に光るものを嫌う。(p.20) かつて漱石先生は「草枕」の中で羊羹の色を賛美しておられたことがあったが、そう云えばあの色などはやはり瞑想的ではないか。玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさをふくんでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。クリームなどはあれに比べると何と云う浅はかさ、単純さであろう。(p.28) 美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。(p.31) もし日本座敷を一つの墨絵に喩えるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床の間は最も濃い部分である。私は、数寄を凝らした日本座敷の床の間を見る毎に、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光と蔭との使い分けに巧妙であるかに感嘆する。(p.34) 日本の茶道では、昔から茶席へ掛ける軸物は書でも絵でも差し支えないが、ただ「恋」を主題にしたものは禁ぜられていた。と云うことはつまり、「恋は茶道の精神に反する」とされていたからである。(p.95) 思うに古えの人の感じでは、昼と夜とは全く異なった二つの世界だったであろう。昼の明るさと夜の暗さ、まことに何んと云う甚だしい相違であることか。一と夜明ければ昨夜の物凄い暗黒の世界はたちまち千里の彼方に去って、空は青々と晴れ、日はきらきらと輝くのである。(p.132)
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2009年9月2日 3週間のパリ旅行になんとなくこれを持っていった。外国で読むと淡い望郷と混じって味わいが変わると思ったからである。 果たしてそうか、と疑問を持たざるを得なった箇所もあったが、筆者のやや傲慢ながら美しい文体にはやはり惹き付けられた。
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なんだかタイトルの豪奢な感じに勝手に悪魔的な内容を想像していたんだけど、のんびりしっとりとした内容なんですね。日本の美の基準をいちいち西洋と比較して随分とコンプレックスが強く、日本人の身体は西洋人の肉体に負け負けだと、そこまで言わなくともと呆れた。古来の日本女性が谷崎がここで描く...
なんだかタイトルの豪奢な感じに勝手に悪魔的な内容を想像していたんだけど、のんびりしっとりとした内容なんですね。日本の美の基準をいちいち西洋と比較して随分とコンプレックスが強く、日本人の身体は西洋人の肉体に負け負けだと、そこまで言わなくともと呆れた。古来の日本女性が谷崎がここで描くようなぼんやりとほそぼそと暗闇に浸るような存在だとしたら、たいそう怖い魑魅魍魎だ。照明・光源の話とか本当に感心して読んだけど、伝統的日本も谷崎の目を通すと異質な日本になる。表題作以外ものびのびと好き嫌い多い感じで好き。狭い範囲をじっくり味わう旅行が楽しそう。また厠の話しも面白かった。
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漆器に関するくだり 「私は、吸い物椀を手に持った時の、掌が受ける汁の重みの感覚と、生あたたかい温味とを何よりも好む。」 こんなに素敵な文章読んだことないかもしれないと おもった。 すーっと読んでいても、くっと引っかかって、 戻ってじっくり読みなおしたくなるような文章が...
漆器に関するくだり 「私は、吸い物椀を手に持った時の、掌が受ける汁の重みの感覚と、生あたたかい温味とを何よりも好む。」 こんなに素敵な文章読んだことないかもしれないと おもった。 すーっと読んでいても、くっと引っかかって、 戻ってじっくり読みなおしたくなるような文章が随所にある。
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