陰翳礼讃 の商品レビュー
厠に付いて熱く語る谷崎先生は、本当に素敵過ぎる…! 陰と陽のコントラスト。私の永遠のテーマであります。
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タイトルが難しい感じだから、中身もそうかと思うと、そうでもない。 すいすい読めました。 内容は、日本の美って本来そういうところにあったんだよなー、って思わせてくれる本です。 「日本人」って思うなら、一度は読んでみてもらいたいかも。 文章もそれほど難しくはないし、いろいろと再発見さ...
タイトルが難しい感じだから、中身もそうかと思うと、そうでもない。 すいすい読めました。 内容は、日本の美って本来そういうところにあったんだよなー、って思わせてくれる本です。 「日本人」って思うなら、一度は読んでみてもらいたいかも。 文章もそれほど難しくはないし、いろいろと再発見させられる本です。 個人的には、畳の部屋で、間接照明かせめて白熱灯(蛍光灯なし)の生活がしてみたくなりました。
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昭和ダンディズムには時々首を傾げるところもありましたが、旅をするならば鈍行に乗れだの、うす暗い光の中でこそ漆器は映えるのだの、厠は風流な和式木造に限るだの、非常に独特の目線で日々の生活を楽しんでいる先生の姿が垣間見えて興味深く感じました。昔は口達者だったのに来客を断り続けていたら...
昭和ダンディズムには時々首を傾げるところもありましたが、旅をするならば鈍行に乗れだの、うす暗い光の中でこそ漆器は映えるのだの、厠は風流な和式木造に限るだの、非常に独特の目線で日々の生活を楽しんでいる先生の姿が垣間見えて興味深く感じました。昔は口達者だったのに来客を断り続けていたら話すことが面倒になり口下手になった、という話にふふと笑いました。
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谷崎潤一郎は好きな作家です。 わりと読みやすいと思います。 日本人独特のうつくしさの精神、伝統美は 次の世代に残したいものです。
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日本の伝統美を陰翳(暗がり、闇)を軸にとらえた書。秀逸なのは、日本人であれば誰もが感じたことのあるであろう、日本建築様式や庭園などに対して抱く美意識を、見事な例とともにに表現しているところ。発想の豊かさについてもそうだけれど、京都の古寺を訪れた時に抱くような、うまく言葉にならない...
日本の伝統美を陰翳(暗がり、闇)を軸にとらえた書。秀逸なのは、日本人であれば誰もが感じたことのあるであろう、日本建築様式や庭園などに対して抱く美意識を、見事な例とともにに表現しているところ。発想の豊かさについてもそうだけれど、京都の古寺を訪れた時に抱くような、うまく言葉にならない感動を的確に言い当てる表現には、ドキッとさせられた。
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バルセロナでふと入った書店で、この本のスペイン語訳を見つけて買ってしまった。 たまに開いて、スペイン語の感触を楽しんでいる。 もちろん、日本語でも時々読んで楽しんでいる。
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バリ旅行中に読んだ。赤道直下の石壁の色は白く、南国めいた梢や花々の鮮烈な色と土埃の赤さが目に飛び込んできた。旅先での情報量は慣れてくるまで視覚的倒錯を及ぼそうとするものだが、それ以上に白人のリゾート地であり、庶民にとり広大な下町であるかの地は必要以上に血潮を湧き立たせる姦しさと漠...
バリ旅行中に読んだ。赤道直下の石壁の色は白く、南国めいた梢や花々の鮮烈な色と土埃の赤さが目に飛び込んできた。旅先での情報量は慣れてくるまで視覚的倒錯を及ぼそうとするものだが、それ以上に白人のリゾート地であり、庶民にとり広大な下町であるかの地は必要以上に血潮を湧き立たせる姦しさと漠然とときの流れに身を任せるかのようなけだるさが目に付いた。 日本唯論のような内情はいただけないにせよ、漆器や料理の色彩、建築と作法、古典文化など、日あるいは灯りの放つ光という色彩観からかくもものの見方について学ばせられるとは。デザイン、様式美、生活環境を学ぶ手引きとなろう。高校生は必読。
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明治の文明開化以降、どんどん西洋化が進む 日本文化について谷潤が思うことあれこれ。 タイトルは難しいですが、中身は案外読みやすい。
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昭和の初めに「世の中が明るすぎる」と嘆いた谷崎翁。 今の日本を見たら昏倒してしまうのではないか。 私もかねてから駅やコンビニ、パチンコ屋などの 過剰な夜間照明に辟易していたので、 311の唯一プラスとなった副産物として 世の中が少し暗くなったのは嬉しかった。 うるし塗りの美し...
昭和の初めに「世の中が明るすぎる」と嘆いた谷崎翁。 今の日本を見たら昏倒してしまうのではないか。 私もかねてから駅やコンビニ、パチンコ屋などの 過剰な夜間照明に辟易していたので、 311の唯一プラスとなった副産物として 世の中が少し暗くなったのは嬉しかった。 うるし塗りの美しさは暗がりでこそ、と谷崎翁。 日本に限らず、中世から近世にかけて キンキラしたものが創られたのも 室内が暗かったからなのかもしれない。 そうしてみると、明るいところでキンキラを見ることは 照明をつけて映画を観るに等しい、ということになる。 夜明けとともに起きて活動し、 日が沈めば我と我が身を夜に沈める。 手元を照らす小さな灯りで書を読むのもよい。 それは健康なことであると同時に、 きわめて美しい暮らし方なのだろう。 宵っ張りの私には無理だとは思うが。。。
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まず最初に。 「★★★★」の評価は、この短編随筆集に収められた表題作への評価です。 漆器の色を「幾重もの闇が堆積した色」といい、絢爛豪華に見える戦国時代の甲冑をほの暗い闇の中で見たならば 「どんなに美しく見えたであろうかと想像して、ただその思いに恍惚となるのである」といいます。...
まず最初に。 「★★★★」の評価は、この短編随筆集に収められた表題作への評価です。 漆器の色を「幾重もの闇が堆積した色」といい、絢爛豪華に見える戦国時代の甲冑をほの暗い闇の中で見たならば 「どんなに美しく見えたであろうかと想像して、ただその思いに恍惚となるのである」といいます。 西洋から持ち込まれた明るさによって「陰影」を失ってしまった現代人は、過去の「美」の本当の美しさを知ることはできないのではないかと思えてなりません。 月明かりの夜道にボンヤリと浮ぶ、黄金と漆黒と朱に彩られた甲冑の幽玄さ、妖しさ、艶っぽさ。そして、わずかな光の中で鈍く輝く日本刀の魔力。 僕らが失ってしまった「陰影」は、僕らからある種の美を奪っていってしまったんでしょうね、きっと。 ちなみに、この短編随筆集の中には、猫や旅についてかかれたものもあり、それらはとてもユーモアにあふれたもので「★★★」くらいかなと……
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