陰翳礼讃 の商品レビュー
日本人の美意識を説いた「陰翳礼賛」他四篇。著者の小説に於ける女性の美に関しては余り好みが合わないが、日常の事に関しては賛同する点が多々。70年経って尚、日本は明るく華美になる途を進み続けているのか。
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西洋式で、電気が煌々と照っているのが当たり前の環境で 生まれ育ったが、自分の遺伝子の奥底にある日本人としての美意識が 呼び起されるような気がした。 住宅、着物、肌の色など、陰があってこそ成り立つ美しさ。 谷崎の小説を読んだ時に感じた日本らしい美の感覚はこういう考えに 基づいている...
西洋式で、電気が煌々と照っているのが当たり前の環境で 生まれ育ったが、自分の遺伝子の奥底にある日本人としての美意識が 呼び起されるような気がした。 住宅、着物、肌の色など、陰があってこそ成り立つ美しさ。 谷崎の小説を読んだ時に感じた日本らしい美の感覚はこういう考えに 基づいているのだなとすごく納得できた。 文豪というイメージが強かったが、「客ぎらい」や「厠のいろいろ」の章では ユーモアも感じられて、ちょっと親近感が増した。
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こないだ借りたSFを思い出した。日本人だけど日本人らしさがなくて、システムでその感覚を手に入れるってやつ
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メモ 日本の闇というのは陰影の中ではなく、闇の中に穴があってその穴の深さの中あたりにあるのではないかと言う中上健次の論(Dommuneの対談にて松岡氏)
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随筆集。日本の建造物、屋外の電燈、肌の色など、いかに陰影が趣きを醸成しているかを力説している。例えば谷崎氏には、料亭の広い座敷の闇が、虹色のかがやきを持った粒子のように見える。このレベルまでくると、礼賛を超えて、陰影への愛を感じる。
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越後妻有トリエンナーレを見に行くのに、展示物の参考になった本としてこの本を読んだ。古き良き日本の姿を映し出しているが、様式美で生活できるような時代でもない。まして今の若者にこのような美意識があるとも思えない。全てに於いて便利さを希求すべきでないが、時代錯誤のように思ってしまう。
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古本屋で100円で買った。定価は1円2銭らしい。エッセイ集。 恋愛及び色情では日本最古のSM文献に触れ、厠のいろいろでは排便と便所の美学について語る大谷崎。 タイトルでもある陰影礼賛は、まるでNHKのドキュメンタリーを見ているかのような語りで、時代を全く感じさせず気持ちよく読める...
古本屋で100円で買った。定価は1円2銭らしい。エッセイ集。 恋愛及び色情では日本最古のSM文献に触れ、厠のいろいろでは排便と便所の美学について語る大谷崎。 タイトルでもある陰影礼賛は、まるでNHKのドキュメンタリーを見ているかのような語りで、時代を全く感じさせず気持ちよく読める。 堅苦しくなく気軽に読める一冊だった。
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蛍光灯で部屋を照らすことが当たり前な人々にとっては知るところがある本。日本のいくつかの物事が、実は、昔々の蛍光灯などない暗がりで成立していたことなど、読むまで知る由もなかった。 現代人からするとまず持つことがなかっただろう視点を知ることができた。
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日本の美意識の根幹とはなにか?本書では、建築、女性美、はたまた厠にまで一貫して陰のおりなす豊かさと解いている。本書は、昭和8年に書き下ろされその時代を反映しているはずだが、80年たった今でもその視点の確かさは揺るがない。時代を超えた共感は、日本人の中に通奏低音のように脈々と流れる...
日本の美意識の根幹とはなにか?本書では、建築、女性美、はたまた厠にまで一貫して陰のおりなす豊かさと解いている。本書は、昭和8年に書き下ろされその時代を反映しているはずだが、80年たった今でもその視点の確かさは揺るがない。時代を超えた共感は、日本人の中に通奏低音のように脈々と流れる感性を正鵠を得る筆致で浮き彫りにしたからでほかならない。日本の「美」や「美意識」を理解を深めさせてくれる名著である。
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再読です。6篇からなるエッセイ集で古を懐中からそっと取り出すような雰囲気が好きです。著者はやはりかなり癖のある人であることが分かります。それぞれが気の利いた日本人・文化論に昇華されており、巻頭の陰翳礼讃では、漆黒の闇と光の間に美を見出す日本人の資質に言及します、その織りなす言葉よ...
再読です。6篇からなるエッセイ集で古を懐中からそっと取り出すような雰囲気が好きです。著者はやはりかなり癖のある人であることが分かります。それぞれが気の利いた日本人・文化論に昇華されており、巻頭の陰翳礼讃では、漆黒の闇と光の間に美を見出す日本人の資質に言及します、その織りなす言葉より喚起される妖しい陰のイメージには心が惹きつけられる自分がいます。いまや日本は明るくなりすぎたのか・・
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