海辺の王国 の商品レビュー
第二次世界大戦下のイギリス。 ドイツ軍の空襲があり、一足先に防空壕に飛び込み家族を向かいいれる準備をしていた少年のまわりで世界が吹き飛んだ。 父と母、そして妹を一度に失った13歳の少年は、避難所にいって可哀想な子供として生き延びるよりも、自分だけで生きていくことを選択した。 野...
第二次世界大戦下のイギリス。 ドイツ軍の空襲があり、一足先に防空壕に飛び込み家族を向かいいれる準備をしていた少年のまわりで世界が吹き飛んだ。 父と母、そして妹を一度に失った13歳の少年は、避難所にいって可哀想な子供として生き延びるよりも、自分だけで生きていくことを選択した。 野宿生活の中で、同じように被災した大きな犬と友達になる。 様々な場所で、辛い目にあい、またとても親切にされと色々な人と出会うことによって少年は成長していく。 そして、戦争で息子を失った男やもめのマーガロイトさんと出会う... イギリスの伝統的な物語として、夏休みを過ごす子供たちの冒険譚があると思う。「海辺の王国」このタイトルから、不思議の国にでかけて冒険する物語だと思って読んでみた。 しかし、そこに描かれていたのは、戦争で肉親を失い、それでも強く生きていく人々の姿。そして、友と共に成長していく少年の姿。 一編の小説なんだけど、とても多くの要素が含まれている物語だと思う。 映画「スタンド・バイ・ミー」のように、少年から成長していく年代の子供に読ませたいと思った。
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優れた児童文学は続きを予想させてくれて、そこに爽やかな希望があるなあ〜。 読後にやるせなさが襲ってきて、どうしてもハリーを哀れんでしまったけど、大事なことはハリー自身が希望を捨てていないこと。彼が世界に正面切って向かってゆくところ。
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孤児になったと思い込み放浪の旅を続けるハリー。物語の 最後で、死んだと思っていた家族と再会する。けれど、温かく幸せだった頃の家族は 大きく変わっていた。そして ハリーもまた大きく変わっていた。 12歳の少年が一人で旅をするだろうか、と思いながら読んでいったが、 (私にとって)...
孤児になったと思い込み放浪の旅を続けるハリー。物語の 最後で、死んだと思っていた家族と再会する。けれど、温かく幸せだった頃の家族は 大きく変わっていた。そして ハリーもまた大きく変わっていた。 12歳の少年が一人で旅をするだろうか、と思いながら読んでいったが、 (私にとって)不自然な内容も消えてしまうような 筆力を感じるし ハリーや戦争の切なさも感じる。 家族とは 何なのかということも考えさせられる。
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本来ならハッピーエンドであるはずのラストなのに、苦い読後感が残る異色の話。空襲で家族と生き別れになった少年が、家族と再会できたんだから、ハッピーなはず、なのに。男は家庭に縛られるより自由に生きるべき、ということなんでしょうか。解放から一気に束縛へ向かうラストって斬新だな。
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空襲で家族を失った12歳の少年ハリー。 普通ならそこで呆然としてしまうところなのに、ひとりで生きていこうとするハリー。お互い一人ぼっちとなってしまったの犬の相棒ドンとともに、いいことも悪いことも乗り越えて、最後にたどり着いたハリーとマーガロイドさんとの幸せの王国。しかしそこには衝...
空襲で家族を失った12歳の少年ハリー。 普通ならそこで呆然としてしまうところなのに、ひとりで生きていこうとするハリー。お互い一人ぼっちとなってしまったの犬の相棒ドンとともに、いいことも悪いことも乗り越えて、最後にたどり着いたハリーとマーガロイドさんとの幸せの王国。しかしそこには衝撃のラストが。 男性作家ならではの男としての生き方みたいなものを感じました。 この1冊でウエストールのファンになりました。
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ハリーの心の冒険と成長がしとやかに描かれて、 心あたたまる話。 最後の家族との再会において、ハリーは家族よりも心が成長してしまったと思われるのだが、冒頭で家族の描写が少なく、こんな家族だったっけ?と思ってしまった。
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空襲で両親と妹を亡くしたハリーが、迷い犬を友に、さまよい暮らしていく。そのときどきで、心の豊かな人とのかかわりもあれば、心の貧しい人とのやりとりもある。 そんな放浪の中、彼は知らぬ間に「人」というものを学び、成長したが故に、思いもかけない事実と、ハリーにとっても、彼の周囲の人間に...
空襲で両親と妹を亡くしたハリーが、迷い犬を友に、さまよい暮らしていく。そのときどきで、心の豊かな人とのかかわりもあれば、心の貧しい人とのやりとりもある。 そんな放浪の中、彼は知らぬ間に「人」というものを学び、成長したが故に、思いもかけない事実と、ハリーにとっても、彼の周囲の人間にとっても、読んでいる私とっても、居心地の悪い結末を迎えなければならない。 人生とは、ままならないものだとでもいうような。
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イギリスの児童文学で少年の成長物語。12歳の少年ハリーは、戦争の爆撃で家族や家と離れ、一匹の犬、ドンと友達になり、共に海辺に沿って自分の居場所を探しに旅(冒険)をしていく。空腹や寝床に困りながらも、様々な人々と出会い、その人々が人間の様々な部分を見せてくれる。また、自然の恐怖や素...
イギリスの児童文学で少年の成長物語。12歳の少年ハリーは、戦争の爆撃で家族や家と離れ、一匹の犬、ドンと友達になり、共に海辺に沿って自分の居場所を探しに旅(冒険)をしていく。空腹や寝床に困りながらも、様々な人々と出会い、その人々が人間の様々な部分を見せてくれる。また、自然の恐怖や素晴らしさ、美しい外見の島なのに、そこに住む人の醜さ等、この世のこと、生きていくということを、少年の視点から様々と教えてくれる。ハリーは賢くて優しく、心の強い少年であり、よく、一人旅をすると良いと言うけれど、まさに大人以上に大人な少年になる程に成長する。しかし、最後の場面で、戦争による愛する家族の変貌ぶりと、ハリーのこれからが悲しくも見えてしまう。感動し、考えさせられる傑作な児童文学でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
見たくない自分の弱さを見せつけられる。 ハリーの状況で、同じ子供だったら、 私は泣いて、座り込んで、動けず、大人に縋り付いて、手を引かれていくのだろうと、10ページぐらいを読んだところで、そう思った。 とにかく主人公の少年ハリーの行動、心の動きが、リアルに丁寧に 時間をとって描かれる。 食べ物、相棒、怒り、歩み、暴力、大人、親切、知識、性、弱さ、 そういうものが、繰り返し繰り返し、ハリーを叩きのめしにきて 息つく暇もない。 幸福や、絶望は、音もなく少年の前に現れる。 「けれど、ハリーにはわかっていた」 この言葉が、読み続けた分だけ、じわっと熱く広がる。 「ハリーは成長した。…パパはそれを知っている。それを憎んでいる」 この話にあったこの一文を読めただけで、 よかったと思えた。 父と息子の物語なのだと実感する。
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童話ならいらない最後の20ページを書くのがウェストール。世界は作り笑いはしてくれない。それにしてもこの人、「妹」になんか恨みでもあるんだろうか?
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