海辺の王国 の商品レビュー

4.5

35件のお客様レビュー

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2024/12/28

戦争で孤児となったハリーが、戦禍の中で犬のドンとともに海辺で暮らしながら生き抜き、旅をしていく。 唯一の友達であり、守るべき存在であるドンとの出会いが印象的。ドンとの出会いによって心に芽生えた、生き続けようとする意志がハリーを支え続けていた。ハリーがドンを助け、ドンも幾度となく...

戦争で孤児となったハリーが、戦禍の中で犬のドンとともに海辺で暮らしながら生き抜き、旅をしていく。 唯一の友達であり、守るべき存在であるドンとの出会いが印象的。ドンとの出会いによって心に芽生えた、生き続けようとする意志がハリーを支え続けていた。ハリーがドンを助け、ドンも幾度となくハリーを助ける。そんなハリーとドンの固い絆に感動した。 どうにかして一人で生き抜いていこうとするハリーのたくましさも見どころ。海辺で30年も独りで生きているジョゼフに生きる術を教わって以降、ハリーの生き抜く力は格段にレベルアップして、トーチカを自分の家として生活していく様は、軍隊のアーチーが感嘆したほど。 ハリーは放浪していて、一つのところにとどまることがない。だから、いろんな人に出会う。恐ろしい大人や子どももいっぱいいるし、心根の優しい信頼できる大人も何人もいる。これが現実。ろくでもない輩はいるし、安心して頼れる大人もいる。後者になりたい、とこの本を読む子どもには思って欲しい。きっとそう思ってくれるだろう。 悲しみ、不安、危機感、落胆。少年ハリーの旅には、さまざまな負の感情がつきまとい、読み手もそれらを味わいながら旅に同行する。だからこそ、ハリーが安心と幸福に辿り着くときには心底うれしくなる。だが、そこにハリーは留まらず、またその日暮らしの旅を始めてしまう。 明確な目的もない、終点もわからない旅。それに明るい話でもない。なんならハッピーエンドともいえない。でも、ハリーが生きるために厳しい現実の中でもがく姿や、それを切り抜けていくハリーの確かな成長を静かな筆致で描き出すすばらしい作品。こんな作品の魅力にも子どもたちにはふれてほしい。 自分はここに登場した素敵な大人に数えられるような人間になりたい。

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2022/10/17

空襲で家族を失った少年が主人公ではあるが、戦争そのものにフォーカスするのではなく、少年の自立を描いている。 信頼できる人、できない人の見分け。家を持たない中での生き方。全てを体当たりで学んでいく様子を、一人称視点で描いている為、没入感が高くて夢中で読んでしまった。 ビターな終...

空襲で家族を失った少年が主人公ではあるが、戦争そのものにフォーカスするのではなく、少年の自立を描いている。 信頼できる人、できない人の見分け。家を持たない中での生き方。全てを体当たりで学んでいく様子を、一人称視点で描いている為、没入感が高くて夢中で読んでしまった。 ビターな終わり方も、作品のテーマをより深いモノにさせている。

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2020/08/17

 昔馴染みのともだちと、コロナステイホームで流行っている「7days7bookcovers」をもじって「100days100bookcores」チャレンジという遊びを始めています。  忘れていた、思わぬ本を読み直すきっかけになるのが楽しいのですが、これもその一冊。ジブリの宮崎駿が...

 昔馴染みのともだちと、コロナステイホームで流行っている「7days7bookcovers」をもじって「100days100bookcores」チャレンジという遊びを始めています。  忘れていた、思わぬ本を読み直すきっかけになるのが楽しいのですが、これもその一冊。ジブリの宮崎駿が愛した名作です。  https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202008160000/  

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2017/11/14

「外国の本っておもしろい! ~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック」の「1. 外国のくらし」で紹介されていた10冊のうちの1冊。

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2017/03/08

題名からファンタジーを予想していたのだけれど、完全に裏切られた。ウェストールだもんね。少年が空襲で一人生き残り、ひとりで様々な体験をしながら生きて行こうとする。 最後にどんでん返しがあって、なかなか人生ままならないと思う・・・。

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2016/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

海辺に沿って歩きながら、親切な人、怖ろしい人などなど様々な人に出会っていく。 最後に、自分自身のままでいられる場にたどり着いたと思ったのに。 そんなエンディングになるとは…。 児童書なのに深い。

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2016/05/25

戦時下が舞台。でも現代に通じる少年の旅――『海辺の王国』再読 http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20120413/1334270373

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2016/05/25

空襲で家と家屋を失ったハリーは、犬とともに海辺を歩き自らの居場所を探すのだった。 12才の少年が戦時下をひとり生きるために歩き続ける。出会う大人たちは皆、ハリーに自分の想いをぶつける。それは善意であったり、悪意であったり、欲望であり希望であり優越感であるかも知れない。そんな様々な...

空襲で家と家屋を失ったハリーは、犬とともに海辺を歩き自らの居場所を探すのだった。 12才の少年が戦時下をひとり生きるために歩き続ける。出会う大人たちは皆、ハリーに自分の想いをぶつける。それは善意であったり、悪意であったり、欲望であり希望であり優越感であるかも知れない。そんな様々な大人たちと出会い言葉を交わしていく中で、ハリーは変わっていく。それは少年が成長することでもあろうし、時代と運命に翻弄されて変わらざるを得なかったということかも知れない。 変わるのは少年ばかりでなく大人も時代と運命に翻弄され変わっていく。ハリーがようやく自分の居場所である王国を見付けたと思った瞬間に失意のどん底に落とされるのも、そんな変わってしまった大人によってのこと。最後の最後で読後感が悪くなるような展開なのに、決してそうはなりません。それはハリー自身の変化(成長)がそんな大人の事情を超越し、自らの力で王国を掴もうとする希望を胸に秘めているからでしょう。王国を見付けてめでたしめでたしと締めるのでなく、王国を見付けることのできる人間になったことを暗に示す。そのことによって希望の灯を見せる。そんな素敵なラストに衝撃を受けました。

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2015/05/28

中学生の頃に「十五少年漂流記」を 読みましたが…必ずしも 「ロビンソン・クルーソー」の ように一人ぼっちで生きていくという ことがテーマにはなっていなかった のでこのような偉大な児童文学に 多感な少年時代に出会えてなかった ことを先ず惜しまれます。 さて、第二次世界対戦中のイギリ...

中学生の頃に「十五少年漂流記」を 読みましたが…必ずしも 「ロビンソン・クルーソー」の ように一人ぼっちで生きていくという ことがテーマにはなっていなかった のでこのような偉大な児童文学に 多感な少年時代に出会えてなかった ことを先ず惜しまれます。 さて、第二次世界対戦中のイギリス を舞台に親、兄弟を戦争で失くし はぐれた犬を共に海沿いを放浪 するというお話なのですが… 夢見がちなファンタジーではなく 超リアルなドキュメンタリータッチ 大人たちの愚かさまでも 浮彫りにする社会性が溢れた文体 で生き生きと現実味がどこまでも 追いかけてきました。 人生は「めあき千人、めくら千人」 でもあなたが思うほど悪くはないよと… うーむ理屈では無く感じる文学です。 最後にはあっと驚く結末が待っています。 全ての少年にそして夢を失くしてしまった 僕のような冴えない中年男に是非とも 読んで頂きたい一冊! ウェストール氏に乾杯!

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2015/05/25

あさのあつこさんが海外児童文学の中でイチオシで紹介していたので、読んでみた。 まるで、あさの作品「バッテリー」の巧のように、自分に誇りを持って、自分を失わない。けれども、そのまっすぐな少年と相対する大人たちは却っていろんな弱さ、強さ、醜さ、脆さを現す。 時代は、空襲でひとりぼ...

あさのあつこさんが海外児童文学の中でイチオシで紹介していたので、読んでみた。 まるで、あさの作品「バッテリー」の巧のように、自分に誇りを持って、自分を失わない。けれども、そのまっすぐな少年と相対する大人たちは却っていろんな弱さ、強さ、醜さ、脆さを現す。 時代は、空襲でひとりぼっちになる処から始まるので、戦争文学に入りがちかもしれないが、決してそうではない。現代日本でも、貧困の中でもし12歳の少年がひとりぼっちになれば、嫌な「保護」を拒否して、これに似た物語が成立するかもしれない。しかし、果たしてこの物語のように、抑制と具体性と気品を持つことが出来るだろうか。 内容(「BOOK」データベースより) 空襲で家と家族を失った12歳のハリーは、イギリスの北の海辺を、犬とともに歩いていた。わずかな食べ物を犬と分けあい、親切な人や心に痛みを抱えた人、残酷なゆがんだ人など、さまざまな出会いをくぐり抜けるうちに、ハリーが見出した心の王国とは…。イギリス児童文学の実力派作家ウェストールの代表作。「児童文学の歴史に残る作品」と評価され、世界十数ヵ国で話題を呼んだ。ガーディアン賞受賞、カーネギー賞銀賞受賞。 2015年5月22日読了

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