海辺の王国 の商品レビュー
空襲で家族を失った少年が主人公ではあるが、戦争そのものにフォーカスするのではなく、少年の自立を描いている。 信頼できる人、できない人の見分け。家を持たない中での生き方。全てを体当たりで学んでいく様子を、一人称視点で描いている為、没入感が高くて夢中で読んでしまった。 ビターな終...
空襲で家族を失った少年が主人公ではあるが、戦争そのものにフォーカスするのではなく、少年の自立を描いている。 信頼できる人、できない人の見分け。家を持たない中での生き方。全てを体当たりで学んでいく様子を、一人称視点で描いている為、没入感が高くて夢中で読んでしまった。 ビターな終わり方も、作品のテーマをより深いモノにさせている。
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昔馴染みのともだちと、コロナステイホームで流行っている「7days7bookcovers」をもじって「100days100bookcores」チャレンジという遊びを始めています。 忘れていた、思わぬ本を読み直すきっかけになるのが楽しいのですが、これもその一冊。ジブリの宮崎駿が...
昔馴染みのともだちと、コロナステイホームで流行っている「7days7bookcovers」をもじって「100days100bookcores」チャレンジという遊びを始めています。 忘れていた、思わぬ本を読み直すきっかけになるのが楽しいのですが、これもその一冊。ジブリの宮崎駿が愛した名作です。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202008160000/
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「外国の本っておもしろい! ~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック」の「1. 外国のくらし」で紹介されていた10冊のうちの1冊。
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題名からファンタジーを予想していたのだけれど、完全に裏切られた。ウェストールだもんね。少年が空襲で一人生き残り、ひとりで様々な体験をしながら生きて行こうとする。 最後にどんでん返しがあって、なかなか人生ままならないと思う・・・。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海辺に沿って歩きながら、親切な人、怖ろしい人などなど様々な人に出会っていく。 最後に、自分自身のままでいられる場にたどり着いたと思ったのに。 そんなエンディングになるとは…。 児童書なのに深い。
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戦時下が舞台。でも現代に通じる少年の旅――『海辺の王国』再読 http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20120413/1334270373
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空襲で家と家屋を失ったハリーは、犬とともに海辺を歩き自らの居場所を探すのだった。 12才の少年が戦時下をひとり生きるために歩き続ける。出会う大人たちは皆、ハリーに自分の想いをぶつける。それは善意であったり、悪意であったり、欲望であり希望であり優越感であるかも知れない。そんな様々な...
空襲で家と家屋を失ったハリーは、犬とともに海辺を歩き自らの居場所を探すのだった。 12才の少年が戦時下をひとり生きるために歩き続ける。出会う大人たちは皆、ハリーに自分の想いをぶつける。それは善意であったり、悪意であったり、欲望であり希望であり優越感であるかも知れない。そんな様々な大人たちと出会い言葉を交わしていく中で、ハリーは変わっていく。それは少年が成長することでもあろうし、時代と運命に翻弄されて変わらざるを得なかったということかも知れない。 変わるのは少年ばかりでなく大人も時代と運命に翻弄され変わっていく。ハリーがようやく自分の居場所である王国を見付けたと思った瞬間に失意のどん底に落とされるのも、そんな変わってしまった大人によってのこと。最後の最後で読後感が悪くなるような展開なのに、決してそうはなりません。それはハリー自身の変化(成長)がそんな大人の事情を超越し、自らの力で王国を掴もうとする希望を胸に秘めているからでしょう。王国を見付けてめでたしめでたしと締めるのでなく、王国を見付けることのできる人間になったことを暗に示す。そのことによって希望の灯を見せる。そんな素敵なラストに衝撃を受けました。
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中学生の頃に「十五少年漂流記」を 読みましたが…必ずしも 「ロビンソン・クルーソー」の ように一人ぼっちで生きていくという ことがテーマにはなっていなかった のでこのような偉大な児童文学に 多感な少年時代に出会えてなかった ことを先ず惜しまれます。 さて、第二次世界対戦中のイギリ...
中学生の頃に「十五少年漂流記」を 読みましたが…必ずしも 「ロビンソン・クルーソー」の ように一人ぼっちで生きていくという ことがテーマにはなっていなかった のでこのような偉大な児童文学に 多感な少年時代に出会えてなかった ことを先ず惜しまれます。 さて、第二次世界対戦中のイギリス を舞台に親、兄弟を戦争で失くし はぐれた犬を共に海沿いを放浪 するというお話なのですが… 夢見がちなファンタジーではなく 超リアルなドキュメンタリータッチ 大人たちの愚かさまでも 浮彫りにする社会性が溢れた文体 で生き生きと現実味がどこまでも 追いかけてきました。 人生は「めあき千人、めくら千人」 でもあなたが思うほど悪くはないよと… うーむ理屈では無く感じる文学です。 最後にはあっと驚く結末が待っています。 全ての少年にそして夢を失くしてしまった 僕のような冴えない中年男に是非とも 読んで頂きたい一冊! ウェストール氏に乾杯!
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あさのあつこさんが海外児童文学の中でイチオシで紹介していたので、読んでみた。 まるで、あさの作品「バッテリー」の巧のように、自分に誇りを持って、自分を失わない。けれども、そのまっすぐな少年と相対する大人たちは却っていろんな弱さ、強さ、醜さ、脆さを現す。 時代は、空襲でひとりぼ...
あさのあつこさんが海外児童文学の中でイチオシで紹介していたので、読んでみた。 まるで、あさの作品「バッテリー」の巧のように、自分に誇りを持って、自分を失わない。けれども、そのまっすぐな少年と相対する大人たちは却っていろんな弱さ、強さ、醜さ、脆さを現す。 時代は、空襲でひとりぼっちになる処から始まるので、戦争文学に入りがちかもしれないが、決してそうではない。現代日本でも、貧困の中でもし12歳の少年がひとりぼっちになれば、嫌な「保護」を拒否して、これに似た物語が成立するかもしれない。しかし、果たしてこの物語のように、抑制と具体性と気品を持つことが出来るだろうか。 内容(「BOOK」データベースより) 空襲で家と家族を失った12歳のハリーは、イギリスの北の海辺を、犬とともに歩いていた。わずかな食べ物を犬と分けあい、親切な人や心に痛みを抱えた人、残酷なゆがんだ人など、さまざまな出会いをくぐり抜けるうちに、ハリーが見出した心の王国とは…。イギリス児童文学の実力派作家ウェストールの代表作。「児童文学の歴史に残る作品」と評価され、世界十数ヵ国で話題を呼んだ。ガーディアン賞受賞、カーネギー賞銀賞受賞。 2015年5月22日読了
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さすが、ウェストール。子ども向けの本でも安易な誤魔化しはしない。 少年の成長を描くが、出会う人すべてが現実世界に確かに存在する人物で、いかにも作家が作りだしましたという人は一人もいない。それぞれが自分の人生を抱えているが、戦争中なだけに、楽しく安らかに暮らしている人はいない。 少...
さすが、ウェストール。子ども向けの本でも安易な誤魔化しはしない。 少年の成長を描くが、出会う人すべてが現実世界に確かに存在する人物で、いかにも作家が作りだしましたという人は一人もいない。それぞれが自分の人生を抱えているが、戦争中なだけに、楽しく安らかに暮らしている人はいない。 少年の存在は彼らにとってほんの一瞬の出会いの時もあれば、かけがえのない時のこともある。 それを刹那として生きねばならなかったからこそ、短期間のうちに少年は(したくはなかったかもしれない)成長をしたんだと思う。 ラストの苦さは、しかし、子どもの頃素晴らしい人だった親が、つまらない普通の人間だと、気づいたことのある人なら誰しも納得のできるものではないかと思う。 また、マーガトロイドさんという大きな喪失とともにどうにか生きている人物が少年に希望を与えはするが、自身は更なる悲しみを抱えててしまうところが切なく、この人物こそウェストール自身なのではないかと思った。 息子を失うという辛い体験を通した、宗教観、世界観は、優しく、厳しい。
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