深夜特急(4) の商品レビュー
一人旅とは自由である反面、常に孤独との戦いなのかもしれない。袖振り合うも多生の縁とはいうものの、それはほんのひと時の邂逅であり、また別々の道へと歩み出していく。ドミトリーで出会ったロンドンの青年のくだりはなぜか胸に染み入ってしまった。またフォアマンvsアリの所謂「キンシャサの奇跡...
一人旅とは自由である反面、常に孤独との戦いなのかもしれない。袖振り合うも多生の縁とはいうものの、それはほんのひと時の邂逅であり、また別々の道へと歩み出していく。ドミトリーで出会ったロンドンの青年のくだりはなぜか胸に染み入ってしまった。またフォアマンvsアリの所謂「キンシャサの奇跡」をTVで目の当たりにした主人公の反応も面白かった。旅の終わりを意識し始めた一冊である。
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巻末の今福龍太との対談が面白かった。日本やアメリカは自分から動かないと何かが起こらない場所で、東南アジアや南米などはサムシングハプンズ(無数の物事が起こってしまう)。定住と移動は対になるものではなく、留まる、出る、移る、離れていくなどの違いがあるはず。ブラジルの「サウダージ」とい...
巻末の今福龍太との対談が面白かった。日本やアメリカは自分から動かないと何かが起こらない場所で、東南アジアや南米などはサムシングハプンズ(無数の物事が起こってしまう)。定住と移動は対になるものではなく、留まる、出る、移る、離れていくなどの違いがあるはず。ブラジルの「サウダージ」という言葉はある種の希望がみなぎっている懐かしさや憧れを表し、それは過去の物事ではなく、未来に永遠に先送りされている一つの「夢」に対する懐かしさである、などなど。
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深夜特急の中で一番「旅らしい」巻なのではないだろうか。鬱々とした感じやよろ帯などが詰まっている感じ。ただただきらめくだけが旅ではないことが伝わってくる。
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沢木耕太郎『深夜特急』新潮文庫 読了。旅を人生になぞらえているゆえ、最後の結末は清々しい。目標へ一直線に突き進むだけでは面白くない、気の赴くまま寄り道していい、そもそも目標なんて大事なのか、なんて思い込ませるのも本書の魅力か。かつて旅行で訪れた東南アジア各地の光景が心に浮かぶ。 ...
沢木耕太郎『深夜特急』新潮文庫 読了。旅を人生になぞらえているゆえ、最後の結末は清々しい。目標へ一直線に突き進むだけでは面白くない、気の赴くまま寄り道していい、そもそも目標なんて大事なのか、なんて思い込ませるのも本書の魅力か。かつて旅行で訪れた東南アジア各地の光景が心に浮かぶ。 2015/10/26
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デリー インドの首都としての安定感 パキスタンとの国境に近いアムリトサル 水疱が潰れて出た水分 すいとう水痘か天然痘に罹っていらしい ある種の諦観 ブッダガヤ 流行病がしょうけつ猖獗を極め ポーランドのワルシャワから来た テリブル以外にも悪しざまに罵る言葉を知っていたら 親愛と畏...
デリー インドの首都としての安定感 パキスタンとの国境に近いアムリトサル 水疱が潰れて出た水分 すいとう水痘か天然痘に罹っていらしい ある種の諦観 ブッダガヤ 流行病がしょうけつ猖獗を極め ポーランドのワルシャワから来た テリブル以外にも悪しざまに罵る言葉を知っていたら 親愛と畏敬の念が綯い交ぜになったようなものが 西の搾取に抗した革命の 搾取の主が西から東の民族資本に移行したに過ぎない 陶酔した表情で歌っていた 影を慕って ハロー・グッバイ、と口の中で呟いてみる。そこには妙にセンチメンタルな甘さがあり、思わず顔を赤らめてしまいそうになるが、同時に何か大事なものが過ぎ去っていってしまうという、若い旅人に共通の深い喪失感が籠もっていないこともないように思えた。 ガンダーラ文化の精華せいか 住所不定に長期旅行者にとって、大使館のメール・ボックスは、家族や親しい者と結ぶ唯一の窓となっているのだ。 言葉が言葉を呼ぶダイナミックな会話の喜びから遠ざかって 勇を鼓してゆうをこして 吝嗇りんしょく 印僑のアラビア商人 大いなる義侠心が芽生えてきたらしく まど惑い 嘆声たんせい 廟びょう 山本周五郎の『さぶ』 戦うモハメド・アリとジョージ・フォアマン ザイールのキャンサシャ モスク コーラン 死は老若の区別をつけない 語られる言葉と、叙述される言葉の乖離についての思考が繰り返されている。 興隆と没落 稠密ちょうみつ アンチテーゼとしてあり得る 小田実 何でも見てやろう 理解したいという彼の情熱だけが生きている ペシミズム=悲観主義 一種のパラレルワールドと言いますか、〈夢見られた世界〉は〈覚醒した世界〉と同じ分量と厚みを持って存在しているだろう、という予感があってのことなんです。 「サウダージ」は何か永遠に先送りされている一つの夢に対する感情なんですね。
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内戦前のアフガニスタン、革命前のイラン。貴重な普段着の姿が肩に力が入らないスタイルで描かれています。
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四巻は、アムリトサル、ラホール、ラワール・ピンディー、ペルシャワール、カブール、カンダハル、ヘラート、テヘラン、シラーズ、イスファハンの旅です。 まず、YMCAのボーイがくれた緑の丸薬のおかげで病気が治っていて、安心しました。 デリーにはインドの首都としての安定感があり、だら...
四巻は、アムリトサル、ラホール、ラワール・ピンディー、ペルシャワール、カブール、カンダハル、ヘラート、テヘラン、シラーズ、イスファハンの旅です。 まず、YMCAのボーイがくれた緑の丸薬のおかげで病気が治っていて、安心しました。 デリーにはインドの首都としての安定感があり、だらだらと日だけが過ぎていきます。しかし、“ドミトリーの隣で寝ているフランス人の若者の虚ろな眼を見ているうちに、こうしてはいられないと思ってしまった(p11)”のでした。そして、宿を飛び出し、インドから抜け出します。 ようやく、デリーからロンドンへの旅が始まったのです。デリーの安宿で燃え上がった「前へ」という情熱のため、街から街へ、どんどん進んでいきます。 途中のカブールでは、安く泊まるため、安宿の客引きをします。なかなかできない、貴重でおもしろい経験ができることを、少し羨ましく感じました。そのカブールで、動くことが億劫になってしまいます。 しかし、磯崎夫妻がテヘランに立ち寄ることになり、いる間に会うことができたら嬉しいという日本の家族からの手紙により、前に向かう弾みがつきます。ひとりで海外の旅をしていると、日本語の会話に飢えるのだと知りました。
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パキスタンで宿の客引きをする、映画館で爆弾魔と間違われる、トルコで若者に街を案内され、老人とチャイを飲み、ヒッピーたちと情報を交換する。バスで長旅をする。 インドからトルコに向かう途中の、物価や文化や食べ物の変化で、まさにシルクロードを通って「旅をしている」のが分かる部分。 モヘ...
パキスタンで宿の客引きをする、映画館で爆弾魔と間違われる、トルコで若者に街を案内され、老人とチャイを飲み、ヒッピーたちと情報を交換する。バスで長旅をする。 インドからトルコに向かう途中の、物価や文化や食べ物の変化で、まさにシルクロードを通って「旅をしている」のが分かる部分。 モヘンジョ=ダロを見なくても、アヤソフィアを見なくても、人と街を実感する、まさに紀行。香港の時の新鮮さがなくなって、値段交渉も新しいものへの関心感動も薄れてきているのが残念だけど、心境の変化もまた旅の醍醐味なのかしら。
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今回はサブタイトルの通り、シルクロードの移動をテーマにした物語であった。 1,3巻のようなハイテンショントラベルではないが、ある意味一番「旅」らしい巻だと感じた。 本巻は、ほとんどがバスでの移動がメインとなる。 前巻とはまた違う物語が新鮮で面白かった。 特に、映画館でのトラブ...
今回はサブタイトルの通り、シルクロードの移動をテーマにした物語であった。 1,3巻のようなハイテンショントラベルではないが、ある意味一番「旅」らしい巻だと感じた。 本巻は、ほとんどがバスでの移動がメインとなる。 前巻とはまた違う物語が新鮮で面白かった。 特に、映画館でのトラブルと時計屋での駆け引きはとても印象に残っている。値切り交渉のスキルが確実にアップしているのがよくわかりそれも面白い。 あっという間に4冊目となり早く次巻を読みたいが、もったいないという気持ちもありジレンマである。
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この第四巻はもう一度読み返さないと感想文が書けない感じだ。 カトマンズを出てからは馴染みの無い地名が続き旅の足取りがイメージ出来ないのもあり、ストーリーが線で繋がるイメージではなくて、どわっと固まりのイメージなんです。 本格的な長距離バス移動になり、バスに関する描写も多くな...
この第四巻はもう一度読み返さないと感想文が書けない感じだ。 カトマンズを出てからは馴染みの無い地名が続き旅の足取りがイメージ出来ないのもあり、ストーリーが線で繋がるイメージではなくて、どわっと固まりのイメージなんです。 本格的な長距離バス移動になり、バスに関する描写も多くなる。 ビッピーバスなどのくだりは面白い事は面白いのですが、マレー半島を南下した鉄道の旅のくだりの方が面白い。 何が違うのか?分からないが行間からあまり何も出てこないんです。 前述のビッピーバスや友人との再会がこの巻の盛り上がりどころなんだと思いますが、私はそれほど盛り上がらなかった。 印象に残ったのは街頭テレビでのモハメッド アリ対ジョージ フォアマンのシーン。 それと年寄りは年寄りらしく、若者の様な貧乏旅行をするな、と。 三巻の感想文で書きましたが、定年退職後に貧乏旅行をしたい私には耳の痛い教訓でした。 ここまで書くとこの四巻は駄作なのか!?と思われますが、そんなことはなくて、何度も読み返したい良質な短編集の様です。 そして、旅はまだ続きます。
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