不自然な死 の商品レビュー
ピーター卿のシリーズ…
ピーター卿のシリーズ三冊目。上質のスリルと論理を味わうことが出来ます。
文庫OFF
シリーズ第三弾。 ピーター卿とパーカー警部は、飲食店で知り合った医師・カーより、彼の患者だった老婦人・ドーソンの死について聞かされます。 彼が言うには、老婦人の思わぬ速さの死亡に疑問を抱き、解剖を主張したものの不審な点は見当たらず、結局“自然死”として処理され、老婦人の姪や近隣...
シリーズ第三弾。 ピーター卿とパーカー警部は、飲食店で知り合った医師・カーより、彼の患者だった老婦人・ドーソンの死について聞かされます。 彼が言うには、老婦人の思わぬ速さの死亡に疑問を抱き、解剖を主張したものの不審な点は見当たらず、結局“自然死”として処理され、老婦人の姪や近隣住民から顰蹙を買ってしまったとのこと。 この話に興味を覚えたピーター卿は、パーカー警部と共に独自捜査に乗り出しますが・・。 今回は早い段階から犯人の目星がついた状態で話が進んでいきます。 そもそも老婦人の死が“自然死ではない旨が証明できない”段階での、容疑者の決めつけに“これは、ミスリードでは・・?”と思いながら読んでいたのですが、件の“容疑者”の周辺を探っていくうちに、関係者が殺されたり、あのバンターでさえ“容疑者”と思われる“人物”に、尾行を撒かれてしまった事から、“これはホンマに怪しい!”と思うようになりました。 そして、この巻の目玉は新キャラ・“職務に忠実なこと探偵業界一”のクリンプスン嬢ですね。 ピーター卿に依頼されて、死んだ老婦人の住んでいた村に潜入捜査をするのですが、相手の懐への入り方が絶妙ですし、彼女の“読みにくい”報告の手紙も味があって笑えます。 もしクリンプスン嬢がメールやLINEを使用したら、絵文字だらけで意味が分からなくなっていそうだな・・と、つい想像してしまいました(ピーター卿のLINEも地獄な感じですがww)。 こうして、“自然死か他殺か”は置いといたまま、“容疑者”と老婦人周りを洗っていく内に、“財産法”の改正という殺人動機に繋がる事実が判明。 さらに、“容疑者”から新法について相談された弁護士が殺されかけたことも明らかになり、とにかく“邪魔者はどんどん消していく”というスタンスの“容疑者”の冷酷さと、なかなかボロを出さない周到さに、かなり手こずらされました。 何気にピーター卿も“容疑者”の毒牙にかかるところでしたし、終盤のクリンプスン嬢が大ピンチに陥った時はハラハラしました。 いやぁ、本当に今回の犯人は“最後の最後まで”強かな人でしたね。 こんなに皆が全力で真相解明したのに、その報告をした際のカー医師の態度がつれなくて、ズコー!!ミ(ノ_ _)ノ=3 という感じでしたが、ピーター卿、パーカー警部、そしてクリンプスン嬢・・あと、出番は少なかったですが“決定打”の提出で美味しいところ持っていったバンター・・皆さまお疲れ様でした!
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ふとしたことから関わり合うことになった、殺人事件と思しき出来事。 ピーター・ウィムジイ卿は貴族探偵として興味をもっただけだけれども、強かな犯人はまったく尻尾を出そうとしない。 そして続く関係者の不審死。 最初から犯人もその動機も明らかにされていますが、犯行方法だけがわかりません...
ふとしたことから関わり合うことになった、殺人事件と思しき出来事。 ピーター・ウィムジイ卿は貴族探偵として興味をもっただけだけれども、強かな犯人はまったく尻尾を出そうとしない。 そして続く関係者の不審死。 最初から犯人もその動機も明らかにされていますが、犯行方法だけがわかりません。 自然死にしか見えない死体。 毒の痕跡を死体に残さない毒殺方法など、いったいあるのだろうか。 正直展開は遅いのですが、その分丁寧に書かれている会話のやりとり。 ちょっとした違和はちゃんと伏線です。 犯人はわかっているので、最後の怒涛の展開に至るまでに溜まった疑問やら怒りやらがスッキリ解消されて満足です。 特に、私がこの作品で一番のお気に入りの重要人物がピンチに陥った時は、こちらの心臓が止まるかと思うほどドキドキしました。←止まってない ”「驚いた!」とすばやく顔を上げる。 だが今一つすばやさが足りなかった。” え?え? どうなったん? どきどきどき…。 あー、面白かった。
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クリンプスン嬢の軽やかなお喋りと活躍が痛快です。この人、くじ運がものすごく良さそうだなぁ。 犯人は割と早く分かりましたが、(だってピーター卿が目をつけてたから…)こいつが何処までやるつもりなのかは見当がつかなくて、ハラハラしながら読み進みました。ここまでやるやつだったとは!
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ピーター卿シリーズの3冊目▲殺人の疑いのある死に出会ったら?熱々の蝸牛を食すピーター卿とパーカー警部に、突然医者だという男が口をはさんできた▼英国人らしくない男の妄想に、賭けを餌に警部を引き込み、素養あるクリンプスン嬢を「聞きこみ代理人」として雇用、興が乗ってきたら自ら介入と完全...
ピーター卿シリーズの3冊目▲殺人の疑いのある死に出会ったら?熱々の蝸牛を食すピーター卿とパーカー警部に、突然医者だという男が口をはさんできた▼英国人らしくない男の妄想に、賭けを餌に警部を引き込み、素養あるクリンプスン嬢を「聞きこみ代理人」として雇用、興が乗ってきたら自ら介入と完全に趣味の世界!いつものユーモアミステリかと思いきや、サスペンスフルな展開に驚きと楽しみで満足の一冊、キャラとプロットが良いですね。御前の古典引用は、ガンダムおたくの名セリフに置換して、奇矯な残念探偵として楽しみました(1927年)
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セイヤーズは凄い!本統に現代のミステリに通じるセンス・オヴ・ワンダーがある。 今回も例によって発端の事件は地味。いや料理屋で隣り合わせた医師が非難にあった事件にもなっていないある老嬢の死から始まる。こんな、事件にもなっていない1人の死を解こうとする無益な探偵活動から始まり、終わってみれば3人の死者と1人の殺人未遂で終わるという派手な結末となった。 気に入ったのは3点。 まずピーター卿が単純な自然死の真相を暴こうとする動機。「この世には犯罪で殺されるよりも普通に亡くなる人の方が多い。だが普通に死んだ者達の中にも殺された人がいるかもしれない。それはただ単純に発覚しなかっただけで完璧な犯罪だったんじゃなかろうか。6人殺した毒殺魔が7人目を殺した時に捕まるのも、6人目までの手際が良くて発覚しなかっただけなんだ」という趣旨の台詞を述べる。おもわず頷いた。 また、相続税法の改訂が老嬢殺害の動機というのも斬新。P.D.ジェイムズが多分にこの影響を受けたように思える。 そして結末の1人2役だったという真相。1人2役はモーリス・ルブランが多用していたが、セイヤーズのそれは正にメガトン級。思い起こしてもピーター卿もパーカーもメアリーに会っていないから十分成立するのだ。 また、クリンプスン嬢がピンチに遭うというのも物語にサスペンスが加わって非常にいい。 最終的にはかなり凄惨な事件だった。メアリーの悪女振りも凄く、当時の夫人毒殺魔をイメージしているのだろう。読むのに苦労したが苦労して読んだ甲斐が大いにあった。
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ブクログ登録前に読了していたのを再読です。 ピーター卿がとても魅力的です☆彡なんというか・・・軽妙洒脱というか軽薄というか。 でも悩むこともあり、今回のように完全犯罪一歩手前の事件に首を突っ込んだために、あとの殺人が起こったのではないかと教会の牧師さんに相談する場面は、意外だなと驚きがありました。 犯人はほんとに怖くて憎たらしいですが、さみしい最期ですね・・・。 そしてなにより、事件のきっかけを作った医者も憎たらしい(笑)脇役の老嬢がいい味だしてて対照的に大好きです☆彡
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初セイヤーズ作品。ピーター・ウィムジィ卿。 文学作品からの引用が多いのは好きではないが、軽めの文章と、親しみやすいキャラ設定で読みやすい。 クリンプスンさん、大活躍!
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初セイヤーズです。以前から読みたかった作家さん。 かなりおもしろかった。気品と機知と勇気に溢れた 古き良き時代の英国紳士が探偵役。 そして我らの間抜けで優しいスコットランドヤードに席をおくワトソン役。 配役や時代が素晴らしく、ミステリ部分もよければ、 それ以外の部分も魅力的。 は...
初セイヤーズです。以前から読みたかった作家さん。 かなりおもしろかった。気品と機知と勇気に溢れた 古き良き時代の英国紳士が探偵役。 そして我らの間抜けで優しいスコットランドヤードに席をおくワトソン役。 配役や時代が素晴らしく、ミステリ部分もよければ、 それ以外の部分も魅力的。 はじめの方で犯人はわかるのですが、その犯人もなんだか魅力的に見えてくるから不思議。
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ピーター卿シリーズ3作目。自然死か、殺人かわからない死について探求していく。古き良き時代の話かなと思った。現代ではこうはいかないかな。バンターの出番が少なく残念。
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